■ scene 13
〜<巡る罠>を闇に帰す者達と、再び繰り返されるあいかわらずな暮らし〜
GM:はい。まぁ、地下の様子はこんな感じなんですけどね。(と、マスター。もうシナリオの地下地図全部見せてます)……もう途中の部屋と、ボス前のバトルは省略(笑)。
スカイニット:ドカバキドカッと省略SEが出て(笑)。明るくなったら最後の部屋に辿り着いてると。
GM:うん。(と、最後の召還広間のバトルマップをテーブル中央に置きつつ)……ではそれぞれ戦闘配置について下さい。
ラング:はーい。
GM:今回、召還の広間の角の燭台の側の台座には、ゴレイル……つまりガーゴイルを4体ほどご用意したんですが、んなもん相手にしてる時間はもうないので省略。
ラング:キャラクター的にも、相手する余裕はありません(笑)。
スカイニット:(各自のフィギュアを並べつつ) シアンさんどこにいますー?
シアン:(指さしつつ)……うー、そこ。
クコ:僕、ここ。
GM:さて、その地下広間の中央には、巨大な魔法陣があり、そのすぐ側の生け贄の祭壇には、あの肖像画の通りのユイランお嬢様が寝かされている。ぼんやりしてるようで、ピクリとも動いてない。
クコ:操られてるん?
GM:で、その祭壇の前には一人の男……あからさまにギリダンなんですけど……が、「うおぉーっ、大いなる魔族よぉぉーっ」とか言いながらトランス状態。
シアン:え、それは賭場で見かけた神官?
GM:うん。「今、ここに復活おぉぉーっ!」
シアン:「あーっ! あのおじさんですぅーっ!!」(編注:珍しく大声なシアンさん)
ラング:(笑)。
GM:「うるさいっ! 誰だっお前らはっ!!」 めっちゃ怒ってる(笑)。
ラング:問答無用。
シアン:「あの酔っぱらいの神官っ!」
GM:でもですね。その目の前の魔法陣の中からはですね、もうこんなのが半分くらい出かかってるんですけど……(と、イラストを渡すマスター)
一同:わっ(笑)。
クコ:うぅー、これはヤバい(笑)。
GM:十本の蜘蛛足が生えてて、顔は前とか横とかに四つついてるん。で、タマネギみたいな頭に変なわっかが浮いてるでっかい魔族。
スカイニット:「シアンっ! なんとかあれを封じ込める魔法を組んでっ!!」
GM:あー、全員度胸でロールしてみて。こんなモノを目の当たりにして、ブルッちまったかもしれんから。
ラング:度胸ないでぇー(笑)。……(ガシャン)……
クコ:僕もないでぇ。(ガシャン)……
GM:難易度は20。
ラング:足すくみまくり(笑)。
クコ:怯えまくり(笑)。
シアン:14。
スカイニット:……25!
GM:はい。この土壇場な状況でまともに動けたのは、スカイニットだけでした。
スカイニット:だけっ!?
GM:周りのみんなを見回すと、こんな恐ろしい魔族を見たのは初めてで、ブルブル震えて足もガクガク(笑)。一般市民状態です。
スカイニット:「こんなの、ただデカいだけじゃないのっ!」 小刀を抜きはなって、その神官目がけて斬りつける。
GM:あぁ、その振り向いた神官にか。では、運動で対抗ロールやね。
スカイニット:エサイセヴァ、やります。一撃で仕留めるっ!
GM:どうぞ。こっちは22。
スカイニット:(ガシャン)……25。
ラング:お、凄い。
スカイニット:D10でしたっけ?
GM:クリット表ですね。はい。
スカイニット:(ガシャン)……5。
GM:『相手の武器を破壊。使用不能にする』
スカイニット:杖?
GM:ギリダンの手にしていた召喚用の杖が、スカイニットの一撃でまっ二つに折れる。召喚を途中で止められた魔族は逆上したらしく、ギリダンの首を蜘蛛の足で引っかけると、もの凄い勢いで、自分が出かけている魔法陣の中へ引きずり込む。そのデュール派の神官は、歓喜とも苦痛ともつかない喜悦の悲鳴を上げて、黒い光の中に飲み込まれていく。
スカイニット:で、魔族は魔界に帰った、と。
GM:いや。半分出かったままモゾモゾ蠢きながら、そこから這いだそうとしている。巨大な蜘蛛足が、地下室の床を掻きむしっている。
スカイニット:これは、なんとかしないと……
ラング:町が危ないか。
GM:魔族が暴れ出した為に、地下室全体が揺れだし、広間の隅にあった燭台が倒れる。辺りには火の海が広がり始め、パラパラと天井が崩れ始める。祭壇のユイランの周りにも炎の手がっ!
クコ:まだ、正気には戻らないんですか?
GM:ってか、半分眠らされてる状態やからね。
ラング:とりあえず助けに行くか。
GM:でもスカイニット以外は足ガクガク。猛烈にブルッてます(笑)。
ラング:うわっ(笑)。
スカイニット:みんな、正気に戻らないんですか?
GM:怖い魔族が目の前におるからダメ。とりあえず、みんなを奮い立たせる必要がありそう。
クコ:じゃあなんか音楽とか。
シアン:戦歌希望(笑)。
GM:トトもジャラーンと鳴りながら、『おいスカイニット、ここで演るしかねーだろ』
スカイニット:「うん」 魔法が欲しいなぁ……じゃあとにかく、アップテンポで猛々しい戦歌を。
GM:霊感20以上。
スカイニット:<演奏>足していいんですか。
GM:いいよ。
ラング:それなら楽勝やろ。
スカイニット:(ガシャン)……大丈夫。34くらい。
ラング:っしゃ!
GM:蘇る魔族を目の前に、激しく竪琴をかき鳴らすスカイニット。周りのみんなを奮い立たせるような力強いメロディーが、崩れ始めた地下室に鳴り響く。
クコ:心の底から勇気が湧いてくるんですね。
GM:では、みなさん、それぞれ最後の行動を一つずつどうぞ。ラングも刃先の欠けた剣使えるよ。でも、魔族に突っ込むとか、そういう馬鹿な考えは止めておいた方がいいと思う。
ラング:そんなことは全く考えてない(笑)。
GM:クトルフチックなたぐいのモンスターやから、まともに戦っても勝ち目はありません。
ラング:となるとやはり魔法陣か。今から消しても意味ないんでしょうね?
スカイニット:まだ完成してないから、今の内になんとかするとか……
GM:なんにせよ、まともに戦うのは無理。
ラング:そんなつもりは全くない。
GM:そのまま魔族をほったらかしにして逃げ出すのもヤバい。町が一つ無くなるのは確実。
ラング:魔法陣の一部になってるのが、とりあえずあのお嬢さんやから、まず運動の高い人が、
クコ:お嬢さんを助けに行く。
ラング:で、こっちは魔法陣をなんとか消さねばならないので、
GM:やっぱ、占い師の魔法の力がいるでしょう。
シアン:魔法陣を消す……?
ラング:ってことで、俺はなんにもすることがないのだーっ(笑)。
スカイニット:シアンを死守する(笑)。
GM:わかりました。次のラウンド、思いっきり蜘蛛足を延ばしますので(笑)。
ラング:もう体を呈して死ぬ気でやるしかないっしょ。……なんかこんな役回りばっかりやったな、俺(笑)。
スカイニット:で、私は……シアンの助力兼、クコの助力……ということで、とりあえず戦歌を演奏し続ける。
GM:でも辺りの燃え広がる火の海を押さえるには、<氷の手>とか使うチャンスかもしれませんよ。
スカイニット:あぁ……いや、ファンブルが怖いんで、戦歌を演奏し続けます。
ラング:あの、<知識>関連結構持ってるんで、この魔法陣、例えばこんな魔族が出てくる魔法陣とかを壊す知識……とか知ってませんか?
GM:こんな土壇場でそんなことを思い出せるかどうかは……知力……いや、感覚ってか、霊感で閃くかどうか、20以上。
ラング:<知識>関係足していいんですね……では(ガシャン)……あ、いったいった。辛うじて成功。
GM:ではこいつらは、幽魔族といわれる類の存在で、その中でも闇の神官によって呼びだされた存在やから、やっぱり光の類に弱い。
ラング:光に弱い。「あの魔族は光に弱い!」
シアン:「光っ!?」
クコ:<ランプ>は明かりになるね。
と、ここでスカイニットさんの携帯が不気味に鳴り響きます。
スカイニット:『もしもーし。あ、はいー、もうじき戻りまーす。はいはい……はいはい……』
現実世界の時間は4時35分を突破。既にロスタイム入りです。面目ない。このサークルFINの運営隊長であるスカイニットことCan Iさんは、この後しばし、年末の行事予定について、通話先からあれこれ質問を受けられ始めます。
スカイニット:『(忘年会)……多分やると思いますけど……』
シアン:……光の結晶……
クコ:ではその間に、僕はお嬢様を助けに行きます。
スカイニット:『はいはい……別に第二(日曜日、つまり月例会の日)とかに忘年会でもいいんじゃ……』
シアン:あー、でも色のパワーとか、持ってないー。
ラング:えっ?
スカイニット:『あ……んー、そうですねー』
GM:さぁ、どうするか決めて下さい。クコはユイランを助ける、と。小人やのに、人間の娘引っ張れるかな。
クコ:小人パワーで(笑)。とりあえず、魔法陣から引き離す。
スカイニット:『(宴会の席とか)んー、とれなかったらー……はい、じゃあ、そういうことで』
GM:シアンさんは決まりました?
シアン:<黒>、<ランプ>、<四角>で、『光の結晶』(編注:シアンさんによる呪文名は、『輝く水晶』)
GM:黒の魔力源の意味は?
シアン:創造……。
GM:では、あとはいつも通りってことで、霊感15以上かな。
スカイニット:(電話を切って突然復帰) それはもう、絶対失敗しないのでは?
GM:一応、ゾロ目とかあるから。
スカイニット:いえ、今『戦歌を奏でてる』から、シアンは幸運な状況です。
GM:あ、そうか。
スカイニット:それで演奏してたんですけど。
GM:なるほど。でもピンゾロがまだあるので(笑)。ちゃんと振って下さい。
クコ:1、1以外。
スカイニット:100分の1(笑)。
シアン:……(ガシャン)……
(一同驚愕)
GM:……なんぼやったん?
クコ:……3(笑)。
ラング:1、2かよ(笑)。
GM:シアンの唱えた呪文は、魔法陣から這い出そうとする黒い魔族の頭上で、閃光となって弾ける。その魔族は地の底から湧き上がるような恐ろしい悲鳴を上げながら、歪んだ魔法陣の中へ再び吸い込まれていく。と、同時に、床の炎は一気に燃え広がり、君らも火の海に囲まれる。
スカイニット:じゃあ、ここで<氷の手>を。(ガシャン)……23、出てます。
GM:炎はスカイニットが床に振れた途端、氷となって砕ける。と、今度は、魔族が吸い込まれていった振動で、地下広間は崩壊寸前。
スカイニット:「エヘヘヘヘヘーッ」て、笑ってる(笑)。クトルフ状態。タカが外れたかのように、アコーディオンをブオーンブオーン弾いてるし。
クコ:こっちも崩壊寸前(笑)。
ラング:こりゃあかんわ。じゃあユイランお嬢様を背負いつつ、スカイニットの手を引っ張って、地上へ駆け上がる。
スカイニット:「エヘヘヘヘヘーッ」、ブオーンブオーン(笑)。
GM:さて、君達が崩壊するギリダン邸から抜け出すと、あのチンピラ共は既に、蜘蛛の子を散らすようにして逃げ去った後みたい。仕事はもうそっちのけやね。ギリダン邸もガラガラーッと豪快に崩壊する。
ラング:助かったぁー。
GM:ということて、人知れず町のピンチを救った君達。今回の話をネタにまた酒場の方も盛り上がるんとちゃう? ポリーさんも、なんとか自分の仕事の後始末が出来たみたいで一安心。錬金術の仕事場、ペトラ工房の方も、その後は順調にいくことでしょう。さて、ユイランお嬢様の方は、壊れたギリダン邸の外で気がつくと、何事もなかったように自分の屋敷へ帰っていく。「またなにか、おもしろいことがあったら来るからね」とか言って。
ラング:いや、もうこんでええ(笑)。
GM:「こんなに色々楽しいことがあるのに、あんな屋敷の中に籠もってるなんて、私にはできないわっ」とか言ってる(笑)。
スカイニット:「お願いですから、じっとしてて下さいー」(笑)。
実は、屋敷を飛び出した一行に、あのチンピラデコボココンビ、ドーフとペスが飛びかかり、ポリーを拉致。金銭目当てにユイランとの交換を強要。しかし、平然とチンピラに向かって歩き出したユイランは、チンピラの前で再びあの香水の力を使って、ふと消えてみせる。で、驚いたチンピラ共をその隙に退治しましょう、といった展開が用意されていた……のですが、余裕の時間切れにつき、ただのマスターの妄想と相成りました。
GM:あ、それから中央広場の方の歌姫コンテスト。
スカイニット:無事終了しましたか?
GM:うん。結局あの『笑う子豚』亭の看板歌姫、エウヴァさんが優勝したそうな(笑)。
(一同爆笑)
スカイニット:のど痛めてたん違うんかー、あの姉さん(笑)。
GM:病み上がりで飛び入り参加。優勝賞品もゲットしていきました。
ラング:そういうオチですかい(笑)。
シアン:プロフェッショナル(笑)。
クコ:料理コンテストの方は(笑)?
GM:それも『笑う子豚』亭チームの優勝、ということで。そんなわけで、君達はまた、酒場で歌ったり、占ったり、料理したりして、楽しく暮らしていくのでした。というわけで、おしまいです。
一同:お疲れさまでしたー。
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