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■『討魔龍伝承 第一話』/03

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▼ 旅立ち

GM:では次の日。種の月4日やけど、朝目覚めた君らはどないする?
シアルグ:そらやっぱり、なんてゆったっけ? その坊主。えーっとなぁ……そうそうツバルカンサルマさんに会いに行かなあかんやろ。
GM:……カルマ……。
シアルグ:あ、はいはい(笑)。
ラージャ:じゃあ出立の準備でもしましょうか。
レーラカイス:じゃあ僕は、ダイシュウソウハンの場所を、
GM:……最終僧院……。
レーラカイス:あ(笑)。最終僧院の場所を酒場の人達に詳しく訊いてまわります。
GM:了解。旅人が一人、食事をしているのを見かける。そこに大柄な騎士がやって来て、
レーラカイス:「おはようございます」
GM:「あっ、おはようございます」
レーラカイス:「最終僧院というのは、一体どの辺りにあるのでしょうか?」
GM:「ええ。私も随分旅を続けてきましたが、その名は何度か耳にしたことがあります。確かそれは、遥か西にある大河を北上したところにあったはずです。南からの巡礼者が、旅の終わりに訪れる場所だという話も聞いたことがあります」
エルバート:(ゲーム付属の地方地図を見て)ここにちゃんと書いてるぞ。
GM:プレイヤーは知っても、キャラクターは未だ知らんの。レーラカイスは、旅の男からそんな話を聞かされ、朝食の席でみんなにも伝えてる、と。
ラージャ:へぇ、お坊さんがいるわけね。これも風王様のお導きかしら。
シアルグ:これもきっと幻王様のお導きやな。
レーラカイス:やっぱり陽王様のお導きです。
エルバート:僕は星王様のお導きだと思います。

──単にGMの引力だったりする。

 その後、依頼を本当に引き受けるかどうかで散々揉めた後、結局吟遊詩人ライフィスの頼みをマジメにきくことにした、ワルになりきれない一行。最終僧院へ『まぼろしの種』を渡しに行く為、七日分の食糧等を買い込む。そして、種の月4日の昼過ぎ、心地よい日差しの中、彼らは聖都アロカランを出発することになる。ひとまず目指すのは、シリス聖王国北西辺境の町、マデュラ。馬はもとよりロバを買う金にも困っていた彼らが、遠足気分で歩いていったことは、依頼人は知る由もなかった。


▼ 前兆

 エルスフィア。
『神々の書』には、天に輝く星のようなもの、と記されている。

 その世界において、かつて森王ナウマニカがその慈悲をもって治めていた地方があった。
 いつの頃からか、人々はその地をシュリーウェバと呼んだ。

 そして今、そのシュリーウェバ地方北東に位置するシリス聖王国の都、アロカランから続く西の街道を四人の旅人達が西へ歩み続けていた。彼らが聖都を出発して、既に二日が経ち、三日目を迎えようとしていた。

GM:えー、君達は今日も朝からのんびり歩いてる、と。相変わらずの晴天続きで街道沿いの旅は快適。北にはノウルと呼ばれる荒野が国境を越えて広がっている。南には街道沿いに鬱蒼と森が茂っている。そんな景色を眺めながら歩き続けていると、陽はあっという間に傾き、夜になりました。さて、今晩はどうしましょ?
レーラカイス:昨日と同じで。
GM:了解。じゃあ、野宿の見張りは、レーラカイス、ラージャ、シアルグ、エルバートの順やね? では、レーラカイス、知覚ロール×2してみて。×2やから、%ダイスを二回振って、どちらかが『知覚』以下やったら成功ってことで。
レーラカイス:(ガシャン)……91。
GM:も一回。
レーラカイス:(ガシャン)……お、おんなじ……。
シアルグ:また91!?
GM:……まぁ、大失敗やけど、珍しい出目やからちょっとサービス。ウトウトしていた君の耳に、「ドッカーン!」という豪快な爆発音が聞えてくる。
エルバート:んなもん、ロールせんでも聞えるやろ。
GM:気にするな。爆発は君達が夕方近くまで歩いていた背後の街道沿いで聞える。
レーラカイス:とりあえず、みんなを起こします。「起きてください……」
三人:グーグーグー(笑)。
GM:声が小さいようですな。もっと大声で怒鳴らなあかんやろ。
レーラカイス:刺します。プチッ。
GM:グチャッ!グチャッ!グチャッ!
三人:…………
レーラカイス:ま、まだ寝てますねぇ。毛布をバッと剥ぎ取ります。
ラージャ:「ウガーッ! ハッ、一体何!? 何があったの!」
レーラカイス:「向こうの方から何か、爆発する音が聞えたんです」
GM:君達がその方向を見ると、暗闇の中に巨大な火柱が立っている。
ラージャ:「何っ! (暴発魔エルバートに向かって)貴様かっ!?」
エルバート:(寝ぼけた声で)「んー、なんだぁ?……火柱……火柱が欲しいのか? よし、わかった」
ラージャ:や、やめぇ!
エルバート:(ガシャン)……えーっと、<溶岩噴出>発動。ちゅどーん!(自前火柱SE)
GM:き、君らの目の前の焚き火跡からも、火柱が噴出した。激しい熱風が寝ぼけ眼の冒険者達を襲い、その場にいた全員が、チリチリ茶パツ、パンチアフロヘアーとなる。
ラージャ:ウキーッ!
シアルグ:ウァチャチャチャ!
GM:みんな、目覚めたな。
レーラカイス:それでは先におきた火柱の方へ行ってみます。いいですか?
ラージャ:いいよ。
レーラカイス:じゃあ、行きます。
ラージャ:剣をシャキンと抜いてねっ。
GM:どんな風に行くん?
ラージャ:ガーッと走って、ペイッて構えて、警戒しながらケペケペーッて行くわ。
GM:君らが怪しげな動きで近づいていくと、先程のアフロ熱風よりも凄い熱気が吹きつけてくる。なにやら肉の焦げた臭いも混じっているみたい。
エルバート:「うーむ。私の呪文の威力も随分上がったものだなぁ」って感心している。
シアルグ:ちょっと違うと思うぞ。
GM:現場には既に何人かの人影が見える。走ってきた君らは今、森の木の陰に潜んでいる状態なので、相手には気づかれてないと思う。でもさっきのショボい火柱のせいで、実際のところはよくわからない(笑)。
三人:エルバートぉ……
エルバート:……。
GM:詳しい状況は……ちょっと待って……ディスクアクセス中(と言ってGMは、イラストを描いた紙をクリアケースに入れて渡す)……
ラージャ:ほぉーっ。

 一行が目の当たりにしたのは、白い仮面をつけた黒ローブ達が黒い馬に乗り、一人の男を取り囲む光景だった。白仮面のうちの一人が乗っていたらしき馬は焼けこげ、既に倒れていた。

GM:全員知覚ロール×1/2してみて。1/2やから、二回振って両方成功せなあかんよ。
シアルグ:はらひれはれほれ。なんのことやらさっぱり。
エルバート:一回しか成功せんかった。
ラージャ:……二回成功!
GM:じゃあラージャには、その者達の話し声が微かに聞える。君達からは背を向けて馬に乗っている黒衣の男が、馬の足を一歩進めながら言う。
「<溶岩噴出>……か。しかも夜の馬を一撃で屠るとは、かなりの手だれ。同じ地呪を使う者としては、殺すに惜しい男だ。素直に闇水晶を渡せば、命までは失わずに済むものを……」
エルバート:は? 誰に向かって言ってるん?
GM:黒馬集団に囲まれてる人に向かって。
エルバート:……が、こっちに向かって?
GM:違う! 誰も木々の合間に隠れてるあんたの方なんて向いてないって。
ラージャ:あたしら盗聴してるの、ペーッて。
GM:(また妙な擬音使ってるし)……えー、黒ローブ達に囲まれている男が答える。
「お前ら、何寝ぼけたことを言ってるんだ。俺は見ての通り、ただの旅人。闇水晶? 一体何のことやら、さっぱりだな」
シアルグ:ただの旅人がいきなり<溶岩噴出>なんかするか、普通。
GM:まぁ、野宿中に溶岩が噴出するようなご時世やからな。黒ローブも男の言葉を軽く受け流す。
「いつまでシラを切っていられるか見てみたくもあるが、あいにく時間がなくてな。お前は間違いなく十日前、ノウル山脈にあるソアの村から闇水晶を持ち去り、ここまで逃げてきた! その証拠を今から見せてやろう」

 黒ローブの男の低い詠唱が、夜の闇に吸い込まれてゆく……と、突然、集団に囲まれていた男の背負い袋から発せられた、光とも形容しがたい奇妙な輝きが、闇を切り裂く。
「やはり持っていたか。さぁ、これが最後の警告だ。闇水晶を渡し、おとなしくこの件から身を引くのだ!」

 男の返事は返ってこない。黒ローブ達は、ザッ、と馬の足を更に一歩進め、男を囲んでいる輪を縮める……という状況。
エルバート:「ラージャさん。彼らは何を話してるのですか? さっきから妙な光が出たりしてますけど、僕に何がなんだか、さっぱりですね」
ラージャ:「かくかくしかじか、や」
エルバート:成程なるほど。よく状況が呑み込めませんねぇ。
ラージャ:バカはほっといて。リーダー、どないしょ?
エルバート:おどおどしとく。
ラージャ:私はリーダーに従うわよ。
シアルグ:同じく俺も。
エルバート:(ちょっと不安そうに)三人で突撃していくんか?

 ちなみに呪文の使えないエルバート一人の戦闘力は、町の広場で鬼ごっこしているガキ数人でも、なぶり殺しできるような微々たるものであった。

シアルグ:はっきり言って、バンザイアタックと言うても過言ではないな(笑)。(編注:大東亜戦争の頃、『天皇陛下万歳!』などと叫びながら突撃してくる日本兵に対し、米軍が名付けた『バンザイアタック』。つまり無謀な玉砕攻撃の意)
レーラカイス:やっぱり多勢対一人は騎士道に反すると思いますので、真ん中の人を助けるために走り出します。
エルバート:「んー、仕方がないなぁ」と言いながら、呪文印でも結んどく。
GM:いきなり駆け出したレーラカイス。他の連中に「みんなっ、いくぞっ!」とか叫ぶのが、リーダーの勤めなのでは?
レーラカイス:えっ……(何を言ったものか、急に困るリーダー)
残り:ほーれ、ほれほれ。言っちゃいな。楽になるぜぇ(笑)。
レーラカイス:……「やっ、野郎ども、やっちめぇぇぇっ!!!」

   (一同爆笑)

ラージャ:知らなかった……私達、やっぱり賊だったのね(笑)!



 
 
 

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