▼replay_ブルーフォレスト物語

■『討魔龍伝承 第一話』/06

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▼ 呪いの道

 最終僧院へ向かって、彼らの最後の強行軍が始まった。

エルバート:あ、ロバちゃんの食糧どないするん? 使い捨て?
ラージャ:まぁ、草でも喰わしといたら何とかなるやろ。
GM:幸い今は草原を渡ってるし。

 などと、ロバの心配などをしながらも旅は順調に進み、9日後の種の月20日には、問題の『呪いの道』の入り口付近まで辿り着く。天王山脈と東方山脈との狭間にあたるその道は、大岩が左右に並ぶ干上った川底にも似た、荒涼たる光景が一行の目の前にあった。

GM:ナイムが厳しい眼差しで言う。「ここからが悪い噂ばかり耳にする、呪われた道のようだ。地図を見る限り、三日程、この山脈の狭間の荒れた道を西へ行くことになりそうだ。ここが正念場。皆、気を引き締めて進むのだぞ」
ラージャ:応!


▼ 呪縛されし者

 こうして呪いの道を進み始めた一行。当初左右にそそり立つ崖の側には大岩ばかり転がっていたのだが、やがてそこには一体いつ誰が建てたのであろう、巨大な石像が立ち並び始める。空気は草原を渡っていた頃よりも薄く感じられ、辺りには濃い霧が立ちこめ始めていた。

 そして夜。一行は濃い霧の中で、鬼火を手にした亡者達の襲撃に遭う。やはりまともな旅人が通り抜ける場所ではなかった、と思い始めた彼ら。二日目の夜、わけあって一人旅をしていたと言う女性を、快く野営に迎え入れてやる。しかしその女は呪いの道に封じられし大蛇の姿となり、一行に災いをなすこととなった。

GM:ってことで魅入られたシアルグ。大蛇の絡みから抜け出せるかどうか、力ロール×1してみて。
シアルグ:う……でえやぁぁ! (ガシャン)……失敗。
GM:では遠慮なく締めつけ攻撃。(ガシャン)……20発。AV(アーマーバリュー、つまり防御力)で引けるよ。
シアルグ:それでも18発。ベキベキベキ、ムギャーッ!
GM:アバラが折れたな。
エルバート:確実に。
ラージャ:数本ね。
シアルグ:くっ、苦痛状態や。
GM:しかも女に化けていた大蛇は、君の首筋に鋭い牙を突き立てる。吸血。ナイムは大蛇に命中斬り……59、失敗。他の人は?
レーラカイス:<献身治癒>……無理?
GM:相手の側で掌をかざさなあかんから、ちょっと無理。大蛇までツヤツヤするで。
レーラカイス:じゃあ、シアルグさんに当たらないことを願いつつ、命中斬り。
GM:(バトルマップを見て)その位置から飛び込んで斬り込むには、難易度一段階上げて1/2ロールやな。
レーラカイス:(ガシャン)……あ、失敗。
ラージャ:力斬り。
GM:どうぞ。同じく1/2ロールで。
ラージャ:シアルグ、刺さったら許してっ! とりゃっ!(ガシャン)……失敗。
シアルグ:許す前に死にそうや。
エルバート:<火炎弾>。
GM:そんな呪文も持っとったん?
エルバート:発動させてもええか?
GM:飛び込んでいった仲間にも当たる確率あるで?
エルバート:(キッパリと)かまわん。
三人:ひーっ!
エルバート:(ガシャン)……63、成功。ダメージは……6発。
GM:問題はどこへ飛んでいったかってことで。1D6で決めよか。1ー4が仲間達。5、6が大蛇ってことで……(ガシャン)……レーラカイスに着火(笑)。
レーラカイス:ギャッ!
ラージャ:このインチキ魔道士め!
シアルグ:うおーっ! ヘルプ! ヘェウプミーィィッ!!
GM:では遠慮なく大蛇の締めつけ攻撃。(ガシャン)……成功。ダメージ15発。
シアルグ:15発?……もう死んでるぞ。
ラージャ:女の色気に引っ掛かったあんたが悪い。死をもってその罪をあたしに償うのよーっ! ホーッホッホッホ!

──絶命した仲間に高笑いを浴びせる女剣士。
  蛇を斬る気はあっても、仲間を助ける気はあまりなかったらしい。

GM:大蛇はまだシアルグを離さない。精気を勢いよく吸い出し続けている。君らの目の前で、呼吸の止まった呪術師の皮膚がカサカサに干からびて痩せ細り始め、見る見るうちにシワシワの木乃伊と化してゆく。
シアルグ:ヘッヘッヘー。
エルバート:気持ち悪いなぁ。
シアルグ:ヘッヘッヘー。
ラージャ:もうええわ。ソレごと斬る!

 その後、仲間を殺られたことの怒り……というよりも、仲間の命を気にせず戦える安心感からだろう、彼らの攻撃が小気味よく大蛇に当たり続ける。結局、3R後の修験者のナギナタで、戦いに終止符が打たれることとなった。

ラージャ:やはり、こいつは昨夜の……
エルバート:今更言うでも遅い。
GM:同感。(昨夜の幽鬼との戦いで伏線はっとったのに……) えー、ナイムがシアルグに<蘇生術>……とりあえず一命はとりとめる。見た目はゾンビってるけどな。
シアルグ:ア゛オ゛オ゛オ゛ーッ!(咽奥から太い低音を搾り出すような、異様な発声。デスメタル系) わ、私は見たぞーっ、死後の世界を(笑)。
ラージャ:あなた、気絶してるんでしょ。
GM:というわけで、翌朝。ナイムがヨボヨボに萎えたシアルグを担ぎ上げ、野営地を出発する。「だから言っただろ、レーラカイス。あの女には気をつけろ、と」
レーラカイス:「はい、すみませんでした」
ラージャ:「酷いわ。お姉様があんな化け蛇だったなんて」
GM:呪いの道に立ちこめていた濃い霧は晴れ始めていて、西へ進む君達の元にも心地よい風が吹き込んできている。そしてその日の昼頃には、谷間を抜けるわけやけど、君らはそれまでに数多くの白骨死体を見ることになる。
ラージャ:きっと、あの化け蛇にたぶらかされた人達なのね。
エルバート:嬉しいじゃないですか。死体を喜んで漁る。
GM:えー、種明かしをすると、谷間の左右に立ち並んでいた石像は、大蛇を古来よりその地に呪縛しておく為のものやってん。
ラージャ:ほーっ。

 そして一行は、シュリーウェバ暦1999年雨の月1日。ようやく川辺に建つ最終僧院へ辿り着くのであった。


 
 
 

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