▼replay_ブルーフォレスト物語

■『討魔龍伝承 第二話』/02

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▼ 闇院

GM:その建物はひっそりと静まりかえっていて、入り口脇には、角灯がほんのり灯っている。
エルバート:ほう。ここが闇院か。薄汚いところだなぁ。
ラージャ:リーダー、どないする?
レーラカイス:入り口に罠がないか、調べてみます。
GM:そんな怪しい所ちゃうって。
エルバート:中にズカズカ入って行く。
GM:中には女性の神官が一人いて、君らを迎えてくれる。
「今晩は、みなさん」
エルバート:「こりゃどーも。でへへ」
ラージャ:「あ、どうも。私達は見ての通りの怪しい者です」
GM:「……闇王への祈りを捧げるのですか?」
ラージャ:「いえ、違います。あの、闇水晶のことについて、お伺いしたいのですが」
GM:「闇水晶ですか……それは先代闇王ガウディラの時代、すなわち降魔戦争以前に使われていたという、『神代闇呪』という呪術を使う為に必要な、数多の触媒の一つだと伝えられています。その闇水晶が何か?」
ラージャ:「ええ。それを悪用するような奴らが現れたのです」
GM:「そのような既に失われた術を行使できるとなれば、かなり力のある者なのですね。しかもかつて亜神達が使っていた術を悪用するとなれば、この地に一体どんな災いをもたらすことになるのか……今、ここにはありませんが、『神代闇呪』の呪文書の写本が、寺院都市カイドウに保管されていたと記憶しています。もし、詳しく知りたいのなら、その地へ赴かれてはどうでしょう?」


▼ 地下聖殿

エルバート:それって、どこにあるのー?
GM:南の方。というわけで、闇院から戻ってきた君らはまた、カルマやナイムと、食後の茶を啜っている。
ラージャ:ジュルジュルズズズズーッ。
GM:下品に茶を啜る人達を眺めながら、カルマがふと思い出したように言う。
「おぬし達。もし興味があるのなら、この寺院の地下聖殿にある、『ユリクスフィナ大師の予言書』を見に行ってはどうかのぅ」
エルバート:予言書ですか。喜んで見せてもらいましょう。
シアルグ:読めるかなぁ。
GM:「おぬし達はこれからも共に旅を続けるのじゃろ? 予言書が安置されておる場所は、神聖な場所故、できれば、誰か一人だけが見に行くことにしてくれんかのぅ」
エルバート:「それでは、私が参りましょう」
GM:了解。「では、儂について来なされ」と、魔道士は大僧正と共に、部屋を後にする。二人が向かったのは、この最終僧院の森院の地下。長い階段を地下へとカルマに連れられて下りてゆくと、エルバートはたくさんの蝋燭の明かりに照らし出された広間にたどり着く。石柱に支えられた広間の中央には祭壇があり、その上には一冊の本が丁重に置かれている。不思議なことに、その祭壇の上には埃一つ見あたらない。
「これが、かつての高僧ユリクスフィナ大師が遺していった予言書じゃ。この本は、読む者によって書かれてあることが変わる。一度だけ、好きな頁を開くがよい」
エルバート:ほー。ずいぶん古くさい本だなぁ、とか思いながら開く。
GM:適当に真ん中辺りを開くと、中にはこんな文字の羅列が。
『フニャララ、フニャララ』(笑)。神代語やから、君には読めんのでは?
エルバート:次のページをペラッ。
GM:全く同じことが書かれているみたいやね。
エルバート:次のページをペラッ。
GM:全く同じことが書かれているみたいやね。

 その後も数回繰り返される不毛なやりとり。

エルバート:ぜぇぜぇ……仕方ない。この内容をとりあえずメモっておこう。
GM:じゃあ、持ち物の中に『予言書の写し』って書いといて。というわけで、エルバートはみんなのところへ戻ってきた。
ラージャ:どぉ、何が書いてあったの?
エルバート:字が難しすぎて読めなかった。
残り:バカヤロー(笑)。

 翌日。

エルバート:ということで、僧院都市とやらへ行きますか。
GM:寺院都市。
ラージャ:寺院都市新宿!(反応なし)……みんな疲れ切っているようね。

──実は一話と二話、立て続けにやっていたりする。
  セッション開始から、軽く四時間は経過していた。

GM:ま、まとめて。
レーラカイス:え……じゃあみなさん、寺院都市へ行くことにしていいですか?
残り:おーっ!
ラージャ:その前に誰か、食糧仕入れてきなさいよ。
GM:寺院都市へ出発することになった君達に、ナイムが別れの言葉を告げにくる。
「カルマ様の話によると、既に魔族の軍隊は出兵しようとしているらしい。故に、拙僧は魔族の本拠地であるランカル島付近を偵察することになった。寺院都市へ行くおぬし達とは、とりあえず陽の月、空に神の月が満ちる日に、中央山地の西側に位置するアウマ族領の集いの村で再会し、互いの首尾を話し合うことにしよう。では、それまで達者でな」 そう言い終えると、修験者は足早に旅立っていった。
エルバート:え?
シアルグ:場所わからん。
ラージャ:「お気をつけてーっ!」
GM:メモっときや。
シアルグ:どこって?
GM:アウマ族領、集いの村。君達が行き先の確認をしていると、カルマもやってくる。
「おぬし達、別れは済んだかの?」
ラージャ:「はい」
GM:「先程、僧の一人に川下りの船を用意させた。おぬし達はその船に乗って大河を下り、寺院都市へ向かうとよい。じやが今、ラグ神帝国では魔軍に対抗すべく、密かに軍を統率しておるとの話も耳にしておる。じゃから、旅を続けるにしても、ラグの地だけは避けて行くようにな」
ラージャ:ラグ神帝国?
GM:うん。「では、気をつけてな」と、老人も杖をつきつつ部屋を出てゆく。
エルバート:は?
シアルグ:場所わからん。
ラージャ:「はーい。いってきまぁーす!」

 その後、食糧と路銀をもらって浮かれ気分の一行は、とりあえず、下流のニトクアの町まで七日間の船旅をすることになる。途中、川辺で賊に追われていたロウディとサラという二人の行商人を助け、お礼にシュリーウェバ各地の四方山話に耳を傾けながら、飲めや歌えやの大騒ぎで一夜を過ごしたりもする。

 また、彼らの話の中で、魔軍がシリス聖王国への侵攻を開始すべく、軍を統率しているという重大な情報も耳にするのであった。……が、大脳まで酒が染み込んだ我らがヒーロー共に、そんな言葉が入る余地は全くなかったのは、当然である。

 そして、最終僧院を出発して12日後、シュリーウェバ暦1999年雨の月23日の昼過ぎ、一行は無事、寺院都市カイドウに到着するのであった。



 
 
 

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