▼replay_ブルーフォレスト物語

■『討魔龍伝承 第三話』/03

←return   →next












▼ 漂流

 出航当初は晴れ渡っていた空も、タダ乗り同然の船代しか払わなかったことが災いしてか、次第に厚い雲が立ちこめ始め、突如降り出した大雨と共に、波も荒れ始める。そして今、彼らは激しい嵐のただ中にいた。

ラージャ:キャーッ!
GM:船長も厳しい顔つきで言う。「久々に海に出られると思ったらこれか! おい、お前らの中に、天に見放されてる奴でもいるんじゃねーのか!」
シアルグ:誰や(笑)?
ラージャ:ほぉーんと、誰かしらねぇ、エルバートさん(笑)。
エルバート:……最近自信なくしてんのに。
GM:船は再び大きく傾き、荒波によって流されてゆく。風も荒れ狂い、雨も激しく降りつけてくる。
エルバート:うへぇ、船酔いするやん。吐くぞぉーっ。
ラージャ:根性で抑えなさいよ。
エルバート:そんなものはない!
GM:海原に木の葉のように流されるだけの現状に、とうとう諦めたように船長が言う。
「この荒れでは、もう船を進めることはできない。ランカル島はまだ先だが、あの波の向こうに島影が見えるだろ。あれがおそらく英雄島、ランカル島に近い小島だ。済まないが、後はあんた達だけで、そこへ向かってくれないか。小舟はこちらで用意する」
ラージャ:えーっ!? こんな荒波に小舟で出ていけっての!?
エルバート:あまりうれしくないな。(と、突然席を立つ)
レーラカイス:エ、エルバートさん?
エルバート:ちょっとトイレ。(と、足早に部屋を出てゆく)
シアルグ:じゃあ俺らも行こか。

 船長に船を追い出された一行は、おぼつかない舵さばきで、なんとか近くに見える島まで漂着。とりあえず上陸した先で見つけた洞穴で、雷雨をしのぐことになる。そして、翌日の昼過ぎ。

ラージャ:あぁ、いい天気ねぇ。
シアルグ:では食糧もろくにないことだし、島の探索でもやってみるか?
GM:その浜辺近くから島の内陸部に進むには、少し山越えする必要がある。地図で示すとこんな感じ。(と、その場で図を描き出す) ここがこーなってて、ここらへんにこう山があって、ここに君らがいて、こっちの方がランカル島。わかる?
ラージャ:今はわかるけど、テープ起こしたら『こう』ばっかしで、わからんやろなぁ。
GM:おぉ、そーか。じゃあこううねうねーっとした島の南東にうねうねーっと山があって、ここにうねうねっと君らがいて、こっちの方がランカル島。わかる?
ラージャ:わかりやすいわ、ありがとう。首洗って待ってなさい(笑)。
GM:とりあえずあんまり険しくない山やから、越えるのは簡単やと思う。
ラージャ:あらエルバート。しばらく見かけなかったわね。
エルバート:ちょっとした下痢や。うー、さむ。
レーラカイス:では山を登りましょう。
一同:おーっ。


▼ 匍匐前進

GM:山の頂上からその先、つまり島の内陸部を眺めてみると、なかなか広い草原と、その更に向こうには鬱蒼とした森が広がっている。で、その森の近くの平地には、村らしきものも見える。
シアルグ:じゃあそこへ行ってみるやろな。
ラージャ:ええ。でもこの村って……
シアルグ:かなり怪しいな。
ラージャ:ひょっとしたら、魔族の村じゃないの? ランカル島にも近いし。
GM:ナイムも言う。
「確かに一理あるな。レーラカイス、おぬしはどう思う?」
レーラカイス:それでは近くまで行って探索してみようと思います。
GM:誰が行くん?
レーラカイス:はい。
一同:おーっ。
GM:では山の麓まで下りた君達の中から、レーラカイスが駆け出す。
レーラカイス:いえ、あのー、茂みに隠れながら、サササーっと。
GM:でも君のような大柄な騎士が隠れられるような茂みはないよ。
ラージャ:じゃあ、ほふく前進で行きなさいよ。
シアルグ:迷彩塗装したるで(笑)。
エルバート:あやしー(笑)。
GM:じゃあ見事なほふく前進ができたかどうか、運動ロールしてみる?
レーラカイス:よし、悟ってみんなを驚かせよう……あ、失敗。
GM:レーラカイスは自分の匍匐前進が完璧な出来映えで、誰も草原を軽やかに進む自分には気づかないだろうと思っている。端から見ている人は、巨大な物体がひょこひょこと、シャクトリ虫のように前進する姿を目撃してしまう。
ラージャ:……バカ(笑)。
シアルグ:おーい、見えてる、見えてるぞーっ(笑)。
GM:しかし、自分の匍匐前進にすっかり酔いしれている彼の耳には届くはずもなかった。さて、そういう風に、村の側まで怪しく近寄ったレーラカイス、どうする?
レーラカイス:中に入ってやるぜ。
ラージャ:ほんま酔いしれてるわ。
GM:村の中までエセ匍匐前進?
レーラカイス:いや……じゃあ外壁からちょこっとだけ覗いてみます。
GM:外壁なんてありません。木で組まれた柵やったらあるけど。
レーラカイス:あ、じゃあ柵からちょこっと……
GM:顔を覗かせて様子を窺う、と。村の中には、ごく普通に見える人達が行き交う姿がちらほら見える。知覚ロールしてみて。
レーラカイス:(ガシャン)……失敗。
GM:しばらくその様子を見ていたレーラカイスは、彼らにどことなく人間っぽくないような妙な違和感を覚えながらも、結局よくわからないまま、山の麓のみんなのもとへ帰ってくる。みんなにその情報を伝える?
レーラカイス:なんか……人間らしくない奴らがいっぱいいやしたぜ。

   (一同爆笑)

GM:完全に盗賊口調やん。
シアルグ:人間らしくない!?
ラージャ:やっぱりね。
エルバート:例えば?
レーラカイス:例えば……
エルバート:顔が蛇だとか、手を開くと口があるとか、目が三つあるとか(笑)。
ラージャ:肩から棘が生えてるとか、角が生えてるとか、体中から異様な臭いを漂わせているとか(笑)。
GM:だぁーっ! そこまで変化せんでもええやろ。レーラカイス、見た目をはっきり伝えたりや。このまま言わせとくと、バケモンになってまうで。
エルバート:鱗が生えてて、目が伸びて、触覚がついてて、
シアルグ:なんか『ばるばる』してきたな。(編注:昔あったTRPG雑誌『RPGマガジン』に出ていた『ばるばる子ちゃん』より。Bローズ追加セット『変異混成術師の夜』ルールによるキャラメイクによって、目が伸びて触覚がついているキャラが誕生したという記事がありました)
レーラカイス:え、見た目は……なんかホビッ卜みたいな優しそうな人でした。
GM:やってさ。
ラージャ:これ勝手に言うてええの? ホビッ卜ってさぁ、
エルバート:トールキンの著作やで。
GM:原稿書く時は、ハーフリングにでもしとくわ。

──そのまま書いてます。

シアルグ:それ新和の著作やで。ビホノレダーかて手足つけて鈴木土下座衛門やし。(編注:昔あった漫画『バスタード』で、そういうドロドロした問題が発生していました。和訳D&Dを最初に発売した新和の悪名の高さは、『スォード』等の誤表記を含め、今も伝説として語り継がれています)
GM:だぁーっ! 妄想はもぉええ。で、どないするん?
ラージャ:そうねぇ……騎士がホビッ卜みたいな優しい奴って言ってるけど、実は凶暴な魔族やったりしたら……
シアルグ:村人に袋叩きか?
エルバート:フッ、勝ち目はないだろう。
ラージャ:そぉーなったら騎士の責任よね(笑)。
シアルグ:袋叩きと吊し上げと三角木馬くらいはせななぁ(笑)。
レーラカイス:えっ……こ、こうなったらみんなで走って行きましょう。それっ(笑)。
一同:おーっ(笑)!?
エルバート:待ってくれぇー(笑)。
GM:さっきの偵察の意味って、一体……



 
 
 

▼replay_ブルーフォレスト物語

■『討魔龍伝承 第三話』/03

←return   →next