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■『討魔龍伝承 最終話』/06

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▼ 闇の間へ

ユーリス:その入り口みたいな穴までは、上から何mぐらいあんの?
GM:そやな……10mもない。
ユーリス:じゃあ、上からフック付ロープで降りてくわ。
GM:了解。君達がロープで降りてって入った横穴は、明らかに人工的な石造りの長い通路で、かなり奥まで続いてるみたい。その水浸しの通路をしばらく進んでいくと、やがて上り階段が見えてくる。で、その石段を登りきると、今度は目の前に大きな扉が現れる。「これは……術によって封じられていますね」と呟きながらも、ライフィスがしばらく呪文を唱えていると、やがて扉は重苦しい音を立てて開き始める。と、君達は、その扉の奥から、恐ろしく異様な気配を感じる。知覚ロールを振るまでもないわ。それからレーラカイスは、その奥に罠の気配も感じる。
レーラカイス:罠です(笑)!
ラージャ:そのままやんけ(笑)。

 と、やはり罠の仕掛けられた地下迷宮を奥へ奥へと進む一行。迷宮自体はそれ程広いものではなく、しばらくの後、彼らは魔法陣の描かれたいわくありげな広間に入るのであった。

GM:ライフィスがエルバートに<蘇生術>を施す。ということで、エルバート。全能力1ずつ減らしとけよ。
エルバート:……
ラージャ:勝手に跳ぶから悪いんや。
GM:はいはい。そんなことを言いながら、ラージャ達も降りてきた、と。じゃあ知覚ロール振ってみて。
ユーリス:成功。
GM:ライフィスが厳しい顔つきで呟く。「……聞こえませんか?」
ユーリス:何が?
GM:ドクン……ドクン……ドクン……っていう、心臓の鼓動のような音が、広間の壁や床を震わせて微かに聞こえてくる。
ユーリス:うひーっ。
GM:君らが今いる広間は円形で、結構広いわ。で、床に魔法陣が描かれている。とりあえず息を吹き返したエルバートに、ロミリアが<減命完治>。(ガシャン)……お、おおーっ、7年も寿命縮まったやんけ。
エルバート:ありがとう、ロミリアさーん!
GM:はい。んでその床の六芒星には、風、水、闇、土、火、光、などといった古代文字が、それぞれに刻まれている。
レーラカイス:じゃあ、その中心に、前に拾った像を立ててみます。
GM:意味無し。けどさっき言ったことや、この場所のことも、ヒントになってるよ。
ラージャ:ほぉ……じゃあ、像を水の文字んとこに置くわ。
GM:すると、今度はゴゴゴゴーと低い音が鳴り響き、像を置いたその先の壁が、ゆっくり開き始める。そしてその奥からは、ドクン、ドクン、ドクンという音が、誰の耳にもはっきりと聞こえてくる。
ユーリス:ち、ちょっと覗いてみよか。
GM:あぁ、その隠し扉の奥は、下へと続く螺旋階段になってるわ。
レーラカイス:では、降りていきます。
GM:隊列は?
ラージャ:ほい。(と紙に書いて渡す)
GM:(ガシャン)……えー、3番目のエルバート(笑)。
エルバート:は? またか。
GM:君が仲間に囲まれて薄暗い階段を下りていると、突然真横の壁が砕ける。壁を突き破って触手が飛び出し、猛烈に絡みついてくる。
エルバート:ほんぎゃぎゃーっ!!
GM:ライフィスが素早く斬り落とすが、崩れた壁の奥からは、次々と触手が伸びてきている。「早く階段を下りるんだっ!」って、ライフィスが叫ぶ。しかし、全力で駆け下りる君達を阻止するかのように、壁を砕いて次々と触手が迫ってくる。ドクッ、ドクッと赤く脈打った半透明の触手が次々と…
ラージャ:ウギャーッ!
ユーリス:ホラーやな。
GM:そうこうするうちに、君らは階段のつきあたりまで降りてしまう。すぐ側の壁には、迷宮の入り口と同様、封じられた巨大な扉がある。ライフィスが言う。「私が扉を開くまで、少し時間を稼いで下さい」
ラージャ:「よし、わかったわ」
GM:で、君らが背後から迫る触手の相手をしばらく続けていると、扉がバーンと開く。そしてその奥で、みんなが目の当たりにしたのは、今まさに儀式を終えんとする魔道士ガルナスと、その前で息づく巨大な肉塊! その広間全体には、木の根のようにびっしりと、その降魔核から触手が這いずり回っていて、脈打ちながら四方の壁にめり込んでいたりする。ほい、これがそのイラスト。
エルバート:(描く)時間あったんやろ。
GM:なかったけど、無理して描いたんや。もうこれで最後やし。で、そのおぞましい様子を目の当たりにした君達は、寿命が1D6年減るぞ。
ユーリス:(ガシャン)……ああっ、また6やんけー。
ラージャ:ふっ……美人薄命ね。
レーラカイス:あぁー、ついに80代になってしまった……(編注:本人談によると、89才とのこと。(2D100)/2で寿命が決まるこの世界の人としては、驚くべき長寿です)
GM:しかし君達は、その場から一歩も進み出すことができない。足下を見てみると、黒い砂によって、魔法陣が描かれている。
エルバート:闇の砂の結界か!
GM:そして、どうすることもできない君達の目の前で、その巨大な降魔核が、両手を高々と挙げて絶叫している魔道士の体の中に入ってゆく。魔道士の体は異様なまでに膨れ、ねじ曲がり、血でドス黒く染まった黒ローブが、引き裂かれていく。
一同:ひーっ!
ラージャ:見たくないーっ!
GM:そして、それらが終わった時、君達の目の前には、一匹の巨大な黒龍がとぐろを巻いている。黒龍は、不適な笑みを浮かべているかのような感じで君らを見下ろし、語りかけてくる。「少し遅かったようだな…」
一同:うん。(7話テープ起こし係のレーラカイスによる注:納得するなよ……)
GM:「<降魔吸引>の儀式は今、成就し、私は大いなる降魔の力を手に入れた。この力を持ってすれば、悪魔の月から大量の降魔を呼び寄せ、私の最終目的……この星を無に帰することができるであろう。まず手始めに、中央山地へ赴き、我が父を殺し魔族の長の座を奪ったバギスを始め、ラグ神帝国の者共も、まとめて消し去るつもりだ。お前達には、大砂丘の時のように、置き土産をくれてやるとしよう」

 魔龍の周囲に赤い光が集まり始め、術の詠唱が広間に響き渡る……

ラージャ:「そんなことはさせーん!!」
GM:で?(とっとと、剣の特殊能力使えよ)
ラージャ:叫んどく(笑)。
GM:……次の瞬間、魔龍を中心に、広間中が爆発する! 広間を支えていた石柱は次々と崩れ、炎が荒れ狂う。そして、その中で再び起きた爆発的な音と共に、魔龍を包んだ赤い光が天井を突き破って空の彼方へと飛んでゆく。で、君達は……
ラージャ:はい。
GM:もう遅い。なにが『叫ぶー』じゃ。
ラージャ:<瞬間移動>!!
GM:自分だけ逃げてどうする。<結界>はれよな、<結界>。でももう遅いけど。
ラージャ:じゃ、どないせーちゅうんや。
GM:しらんわ。魔龍から放たれた爆発的な熱と風に巻き込まれ、君らもアッという間にドロドログチョグチョや。皮膚は醜くただれ、内臓ビロビロで髪の毛シューじゃ! いや、そんでその後は蒸発やな、蒸発(笑)!
一同:おいおいおいおい(笑)。
エルバート:おい、最後までそんな無様な死に方なんかよぉ。
GM:嫌なんか?
一同:嫌。
GM:……では、そんな死に様を思い描いた君らやったけど、ハッと気づくと、荒れ狂う炎は君らの目の前で見えない力で阻まれている。額に汗を浮かべたロミリアが、とっさに呪文を唱えたみたい。「後を追いますっ」と、ライフィスも呪文を唱え始める。
エルバート:でもどーやって!?
GM:あんねん、こっちにも。向こうが赤ならこっちは青ってことで、神代風呪の<青龍飛翔>ってやつ。というわけで、崩壊してゆくその地下広間から青い光に包まれ飛び立った君達。青い光は、ナウマニカの離宮を後にし、厚く立ちこめる雲を突き抜けて星空の下に出る。そして見つけるよ。雲海の彼方を飛ぶ赤い光を。それから、その星空の遙か高みには、何人もの人影らしきものも見える。降魔の気配を感じて集まった亜神達かもしれんわ。

 さて、その赤い光を追って再び雲を突き抜けた君達の眼下に、中央山地と思しき山影の連なりが見えてくる。そこでは既に、魔軍とラグ神帝国軍との戦いが行われていて、山々の至る所で戦火が上がっている。そしてその戦いのまっただ中に降り立った赤い光を放つ黒龍。ライフィスが突然叫ぶ。「みんな、目を閉じろっ!!」 と、次の瞬間、中央山地が光り、もの凄い爆音と共に山々が吹き飛ぶ。

 しばらくして目を開けると、既に形の変わった山頂が見える。その燃えさかる山の上から、今度は天空に向かって耳をつんざく金属音と共に、赤い光がまっすぐ雲を突き抜けて飛んでゆく。そんな消し炭と化した兵士達の死体が見渡す限り転がっている焼けた大地に降り立った君達。目の前には、血のような赤い燐光を放つ黒龍がいる。



 
 
 

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■『討魔龍伝承 最終話』/06

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