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■『忘れられた黒い魔女』/01

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AD2000/07/23(SAT)03:00
劇団『魑魅魍魎』
双子山ダメダメセッション
『忘れられた黒い魔女』
ver_0.62

system with
『Far Roads to Lord』
[Copyright 1993 遊演体,All Rights Reserved.]



(虫の声)

岡本:日時入れといて。
川崎:えー西暦2000年、7月、日が改まって23日午前3時05分。
大塚:眠いわ。
熊野:カラオケの帰りです(笑)。セガカラにはロードス島戦記が入っていませんでした。(編注:TV版主題歌。菅野よう子作曲のこの初めの歌と、新居昭乃作詞作曲の終わりの歌以外、駄作だった記憶があります。熊野的にはブレイクだったらしい。OVA版は良好) 波ぃのうにゃらららー♪
岡本:山田タケシは大泉公園外の車ん中で爆睡中。山田サチヲは先程、大奥から怒りの妨害電話を受信。説教されながら叢の中へ消えていきました。

(この時点にて既に全員の声が眠たげ)


■ sleep 01
〜館〜

GM(岡本):さて、石小人に殴り殺されたバットが腐敗しつくすまでに、神秘の力で農夫を蘇生させようと、魔法の都ファラノウム目ざして旅を続ける君達。といっても実は現在、風笑人(魔族)のヒュノー=リンしかいません。季節は夏前、ぽかぽか陽気の森の中を、てくてく歩いています。
リン(熊野):(眠たげに)あぁー気持ちいい。
GM:バットに防腐剤入りのクッキーを喰わせた丘小人のシュウ=マッハは、昼は村の診療所の受付、夜は宿場町で鉄馬の洗車に大わらわ。今は女将に説教されている。水妖のアインはある夜、眠りながら川に流され行方不明。アザラシの皮を被った老人フドウは、深い海の底でプロレスゲームなどをこしらえてたりする。さて、リンの肩に担がれていたバットの形見の鍬がしゃべる。
クワッキン(元バット大塚):水浴びさせてくれ。
GM:えっと、クワッキンの幸運状況は?
クワッキン:『好天』てのがあるけど。
GM:すると鍬の精霊体が現れてる。どんな奴やった?
クワッキン:トンボのような羽根、チョウチンアンコウのような発光器、亀のようにひっこむ頭や手足。長い指(40cm)。
(フドウ):気持ち悪い鍬やな(笑)。

(編注:Far Roads to Lordサプリメント『剣と魔法』収録アーティクル(品物キャラクター)ルールでは、感情を持った品物から精霊体が現れる為には、実は様々な条件が伴ってきます。上記の鍬なら『トンボ羽根=午後四時〜六時』『チョウチン=所持者が爆睡中』『亀的手足=所持者の体力値が幸運状況にある時』等。しかし、これらのルールを一読したのが実にアバウトなGM一人であり、更に(元の農夫が死んでしまったとはいえ)ただでさえ自分では満足に行動することもできず活躍の場も少なくなりがちの鍬、並びにプレイヤー達を(不気味に)楽しませる為、当劇団セッションにおける精霊体は、実に適当に出たり入ったりしてをります。あしからず)

GM:『ミヅアビ、ミヅアビ』と奇妙に錆びた声で、亀頭がリンの頬をヒタヒタと打ちつけてくる。
リン:とりゃっ。近くの沼に投げ捨てます。
GM:優雅な放物線を描き沼に投げ捨てられた鍬。しばらくすると奇怪な水泡が浮き始め、澱んだ水面に黒い影が浮かび上がってくる……アザラシだ!
フドウ(川崎):「あなたの落としたのは、この金の鍬かな、それとも銀の鍬かな?」
リン:「いえ、違います」
フドウ:「するとこの鉄の鍬かな?」
GM:最後に頭に付き刺さってた、みずぼらしい獲物を引き抜き掲げて見せる。
リン:「はい、そうです」
フドウ:「貴様が投げたのかっ!!(笑)。 おかげで儂の頭は血だらけぢゃっ!!!」 娘に投げ返す。
GM:運動対抗リアルロール(以下RR)。各々の運動値+2D10を比べるだけや。二人ともやって。
フドウ:(ガシャン)……24。
リン:18。負けた。
GM:ダメージは鍬が振りや。
クワッキン:衝撃1D6、突き刺し2D6があるけど。
フドウ:衝撃でよかろう。
クワッキン:(ガシャン)……2。
リン:はうぅっ。
フドウ:ザバァァァッ。(沼から這い上がった効果音。サウンドエフェクトの略ってことで、以下SE) ヒタッヒタッヒタッ。(リンににじり寄るSE)
GM:二本足で立ち上がったアザラシ。首から下には皮がなく、虚ろな暗がりが広がっている。そのおくで炯々(ケイケイ)とリンを見つめる二つの眼光。両手に金と銀の鍬を引き摺りながら娘に迫ってくる。
リン:「ど、どうか命だけはお助けをっ!」
フドウ:「全く、人が気持ち良く泳いでいた時に……まぁよかろう、して娘、お主は処女か!?」
GM:いきなり何訊くねん。
リン:12才やから、一応、そうみたい。
フドウ:すると儂にも色々と幸運が舞い込むかもしれんのぅ。(ルール上の話。フドウは能力値『霊感』、魅力値『美麗』『威厳』の三つに関して、『処女が近くにいる』時に行動判定でゾロ目が出ると、完全成功になります)
GM:さて、そろそろ昼近く。お腹も空いてくるけど。
リン:じゃあ魚でも釣りますか。

 その後、リンとフドウは鍬の先に吊した糸で釣った魚を焼いて食べながら、お互いの旅について語る。実のところ彼らは昔、共に旅をしたこともあるのだが、脳天気な娘はもとより、アザラシも年(1994才)のせいか、何も覚えていなかった。ようやく死んだ仲間を生き返らせる(しかし、肝心の死体は現実世界で丘の上の暗闇の中、説教されている丘小人が持ち去ったまま!)旅の目的を思い出した頃には陽はとっぷりと暮れ、彼らは今宵の寝床を確保すべく森を彷徨う。やがて木々の向こうに、いわくあり気な黒い館が見えてきた。

クワッキン:おお。家がある。今晩こそはちゃんとした鍬掛けに吊されて眠りたいぞ。もうその辺の木などにたけかけられて眠るのは嫌ぢゃっ!
リン:はいはい。
フドウ:贅沢な鍬じゃな。
リン:その屋敷をぐるりと眺めてみます。人の住んでる気配とかは?
GM:茨の塀の向こうにはなかなか格式ありげな古びた建物が見える。そこからは人の住んでいる気配などはちょっとわからんよ。
フドウ:ここで立ち往生していても仕方あるまい。門を押しあけて屋敷の中へ入っていく。ヒタッヒタッヒタッ……コンコン。(ドアノックSE)
GM:鉄の門を軋ませて屋敷に足を踏み入れたフドウ一行。霊感RR振ってみて。難易度は15以上。
リン:24。
フドウ:19。
クワッキン:儂にはそんな能力ないぞ。
GM:人間のシートと同じ欄の能力使って。書いてある文字が違うだけ。鍬のシートなら魔力RRやな。
クワッキン:23。
GM:するとその古びた鉄の門を潜った時、三人の頭の中に不思議なイメージが沸き上がる。『青い水溜まり。その中に黒い剣が突き立っている。剣に巻きつけられた黒い鎖が水辺まで伸びていて、その上を馬車から外れたらしき木の車輪が一つ、剣へ向かって転がっていく』
フドウ:ほほう。
GM:さて、アザラシを先頭に屋敷の中へ足を踏み入れた君達。広く長い通路の奥の階段から、黒い衣を纏った一人の人物が降りてくるのを目にする。
「これはこれは、変わったお客さまじゃ」
フードを目深に被っている為表情は伺い知れんけど、引き摺るような歩き方と嗄れた声からしてどうやら老婆のようやね。
フドウ:「夜分に申しわけありません。実は我々、かくかくしかじかな旅人でして、今宵一晩、この屋敷に泊めて頂きたいのですが……」
GM:「えぇ、ええ。このようなあばら屋で良ければ、いくらでも、おくつろぎください。私も近頃、すこぶる体の調子が良くなり始め、誰かと共に夕食の語らいなど、したいと思うておりましたところですから……」
フドウ:「それはそれは、願ったり叶ったり」
リン:(笑)。
GM:さて、そうして屋敷の奥へ招かれた一行。廊下をずんずんと進んで行くんやけれど、途中色々と奇妙なものを見かける。色々な時代の様々な格好をした等身大の戦士像とか、ばらばらに活けられた花とか、この辺りでは見かけなくなったような鳥の剥製とか、部屋の片隅に何気に立てかけられた車輪や、奇妙な形に積み上げられた石とか。
クワッキン:ハンティングが趣味なのですかな。
リン:珍品収集なのでは?
GM:さて、先頭の老婆がしばらくして入っていったところが、どうやら食堂らしい。ちょっとここでも霊感RRしてみて。難易度25。
フドウ:ちと、厳しいな、(ガシャン)……19、失敗。
リン:あー、24。
クワッキン:失敗。
GM:すると、リンだけがふと気にかかる。食堂に入っていった老婆の足下、黒衣の中から何やら重い物を引き摺るような音が聞こえたような。
リン:?
GM:食堂は広く虚ろな様子。中央に長い食卓と椅子があるのみ。君らのすぐ側、入口近くには剣を振りかざした古びた騎士像が、壁の蝋燭の明りに照らされてる。屋敷全体が奇妙に古びた雰囲気ですな。さて、食卓でしばらく待っていると、老婆手ずから君達に食事を運んでくる。思ったより簡素な食事やけど、味は悪くない。ガチャガチャと、音を立てて食事を始めるのをしばらく眺めていると、老婆が口を開く。「寝室は隣の部屋を用意しておきました。今日はゆっくりと休んで下さい。私もそろそろ休ませてもらいます。どうぞ後は皆さんで、ご自由におくつろぎ下さい……」 それだけ言うと、老婆は食堂の扉を閉めて去っていく。スパゲティをフォークでくるくるしながら、リンは向かいのフドウと喋っている。
リン:うーん、フドウさん、この屋敷、何かおかしくはないですか?
フドウ:変わっておる、といえば変わっておるのぅ。よし、ここは一つ冒険者として調べてみるとするか。な、クワッキン。
クワッキン:儂ゃ……もう駄目だ。(つまり大塚健司が睡魔侵入により、グロッキー状態)
GM:鍬の先から突き出した亀頭がぐったりと萎え、ぶらぶらと力なく揺れている。
フドウ:これ! しっかりせんか! ピンッ!(亀頭を指で弾いたSE)
クワッキン:はうっ!
リン:じゃあ、とりあえず食堂の近場から調べてみましょう。
GM:2、3部屋あたってみたけど、奇妙な置物が多い、という点以外は、特におかしなところは見つからなかった。……おお、月が奇麗ぢゃ。(マスター夜空を見上げる)
リン:わぁ、ほんまやねぇ。
GM:ま、今日はもう寝てもいいんとちゃう? ここでも寝かけの鍬がおることやし。
フドウ:うむ、ひとまず儂等の寝室も特に変わったところはないようじゃし、寝るとするか。寝台の上にゴロリ。アザラシの皮が寝袋代わり(笑)。
GM:鍬は希望通りに眠れたのかな?
クワッキン:……うーん、儂は、他の農機具達と眠りたいぞ。
GM:とかいってるけど、リンが連れていく?……って、こら、君まで横になるなよ。(現実世界。丘の上で横になる熊野)
リン:え? 何で(笑)?
GM:間違いなく寝るから。
リン:寝るシーンをロールプレイしてるねん(笑)。
フドウ:リアルに寝るな(笑)。
クワッキン:仕方ない。儂は自力で仲間(農耕具)の元へ行ってみよう。
GM:鍬の先から亀頭やら亀手足を生やして、寝室の扉の隙間から鍬が這い出て行った。長くて暗い廊下をひたひたと進んで行く。で、どこまで行く気やねん。
クワッキン:愛しの備中鍬ちゃんのもとへ。
GM:しかし、屋敷の入口まできて、クワッキンの目の前には重厚な観音開きの扉が立ちふさがる。クィィィッと亀頭を押しつけてしばらく奮闘したものの、やはり鍬だけの力では開きそうにない。キュウって萎える。
フドウ:そもそもノブ回さなあかんやろ。
クワッキン:し、仕方ない。そこらへんの階段の手すりにでもぶら下がって眠るぞ。
GM:結局全員眠りましたか。じゃあ夢を見る眠りか、見ない眠りかを決めて。%があるやろ?
フドウ:25、夢を見た。
リン:あの、私の欄には何も書いてないんやけど。
GM:魔族の君は、寝る度に確率を決めれる。ちなみに夢を見たら魔法が使える霊縁カードがもらえる。爆睡したら体力回復できる。
リン:じゃあ今日は90%で、(ガシャン)……13成功。
クワッキン:じゃあ、儂(ワシ)は『100−所持者の%』ってなってるから10%かよ。(ガシャン)……勿論失敗。
GM:するとフドウとリンは夢の中、真っ白な世界に一人横たわっている自分達の姿を空からの視点で眺める。で、ふと気づくと君らの傍らに黒ずくめの人物が現れ、僅かに伸びた君達の影に向かって振りかざした短剣を何度も突き立てている。
フドウ:不気味じゃのぅ。
GM:で、この夢のイメージとは別に魔法の為のカードを渡しておきます。
リン:これはどうやって使うの?
GM:(君、もう何回かやっとるはずやのに……) 叫ぶんや。『アブラカダブラーッ!』って。それまでカードの中は見てはなりません。(編注:眠かったからとはいえ、我ながらなんて投げやりな説明……) さて、翌日。君達は何事もなく目覚める。
フドウ:あぁ、いい気分ぢゃ。
GM:なんとなく体がだるい。眠気もあまりとれていない。
フドウ:あれ?
リン:クワッキンがいない。捜しに行きます。
GM:廊下へ通じる扉が少し開いている。
フドウ:また勝手に歩き出しおったかい。あの鍬め!
GM:リンが廊下をしばらく進むと、玄関近くの階段の手摺に鍬がぶら下がっている。
クワッキン:妙なところで寝て、体の節々が痛いわい。
GM:やってきたリンを見ると、鍬が手摺を滑り落ちてくる。
クワッキン:マイ主人ーっ! 今日は歯を研いでくれーっ!
フドウ:注文の多い鍬じゃなぁ。
クワッキン:しっかり歯を研いで! もっと汚れを落として! 焼き入れ直してぇ!
GM:亀手足をパタパタ、亀頭をヒョコヒョコ、提灯をピカピカさせながら、廊下を這い寄って来る。
リン:嫌やなぁ。
GM:どうする?
リン:無視する。
GM:柄の部分を掴み上げると、歯の部分で気味悪い精霊体が必死に暴れてる。
クワッキン:手入れしてくれぇぇっ!
フドウ:むぅ、体がだるいのぅ、と部屋を出ると、鍬がうるさく暴れていたので、一発ヤキ入れちゃる。こりゃ、静かにせんか! パコン!
クワッキン:あおっ!
GM:で、今日はどうするん?
フドウ:例のお婆さんに、一晩泊めて頂いたお礼を言いに行きますか。婆さん捜す。
GM:階段下りてきた。「おお、もう目覚めなさったのかい」
フドウ:「おはようございます。昨夜はどうもありがとうございました」
GM:「いえいえ。はて、こんな朝早くから鍬などを肩にしているところを見ると、もう旅立たれるのですかな。せめて朝食だけでもとられてはいかがですか」
フドウ:「重ね重ね申しわけない。では、朝食を頂いて行きましょう。魚を」(笑)。
GM:フドウは食卓に出された焼き魚を両手に掴み、被ったアザラシの皮の下の暗闇へ次々と放り込んでいる。リンも?
リン:うん。ぱくぱく。
GM:隣の椅子に立てかけられた鍬が、深緑の得体の知れない物体をぱたぱたさせて暴れてるけど。
クワッキン:もう、いい。だんまりだ。精霊体を全て引っ込める。
GM:リンが餌を食むのに夢中になっているのを見て、ついに鍬が拗ねた。
フドウ:普通の鍬に戻った。
GM:さて、そうこうするうちに食事を終え、身仕度を整えた君ら、老婆は館の玄関まで見送ってくれる。
フドウ:「随分とお世話になりました。どうぞお元気で」
GM:「達者でな」
リン:「おばあさんもお元気でねぇー」
GM:で、再び森の中に踏み込んだ二人と拗ねた鍬。で、どこ行くん?
リン:それを聞かれると困る。やっぱり都?
フドウ:さて、リンさん。これも何かの縁ですじゃ。儂はあんたの旅に御一緒させてもらいますぞ。


 
 
 

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