■ sleep 06
〜洞窟〜
崖崩れが静まると一行は結局森の道を進み、ウニ山を登る為の安全な山道を捜すことになる。やがて山の壁面に内部へ続く洞穴を発見。一行は眠りながらも光るクワッキンのチョウチンアンコウを掲げ、洞窟探検を開始する。
フドウ:ところで、サダコさんや、あんたの本名をまだ訊いておらんかったんじゃが。
シュウ:私の本当の名は、シュウ=マッハ=ビヨンディ=チャールズ=ゴメス=フォン=ユークリッド=メディナ=シーボルト=ド=レイファン。詩人だ。
リン:なーがぁー(笑)。(半睡状態でヘラヘラ)
GM:やがて君らはちょっとした広間に差し掛かる。まっすぐ奥へ行く道と、左右それぞれにある道の三本。奥へ行く道の傍らにはなにやら石碑のようなものがある。
フドウ:どれどれ、読んでみましょうか。
GM:君らに古い言葉読める技能あったっけ?
フドウ:さあ?
GM:じゃあ一応、感覚RR20で。詩人のシュウは15でええよ。
フドウ:14。
シュウ:19。リン=タカノリは……爆睡かい。寝に来たんかい、こいつ。
GM:あんたは、カミさんに説教されに来たみたいやけどな。さて、丘小人にはなんとか読めたみたい。それはロルダ古語と呼ばれる言語や。碑文にはこう書いてある。
『閉ざされた楽園の海の山。目覚めし者、立ち入るべからず』
シュウ:と、いうわけだ。
フドウ:はいっちゃ、いかんのか。なら、帰るか(笑)。
シュウ:何をいうか、この四角トドッ! チャアッ! プギュウ!(攻撃SE)
フドウ:はううぅ! 四角く転がる。四角く倒れる。ゴハー、バタリ。
クワッキン:(突然不機嫌そのものの寝ぼけた大声で)ああぁーーっ! もぅはよ行こ! 奥行こぉ!!
リン:(それでなんか目が覚めたらしい。寝ぼけた大声で)チュン、チュチュン!!!
GM:無茶苦茶やな。
クワッキン:おら、奥行く!はよ行く!!(つまり、もぉこんなゲームはよ終わらせて、家帰ってベットの上で寝てぇ、という不平の叫び。マスター心底嫌な気持ちになる。今となっては一年に三回あるかないかという、皆で楽しむゲームの席上で、たかが睡魔に負け寝るだけならず、以下にも更に続けられる愚痴をブチ撒け続けた重罪を、後日、大塚に直接非難したところ、大塚:『俺そんなこと、言ってたか?』などと言いやがった。この男やタカノリ、おまけに公園前で寝ているタケシはもっと『本気で遊ぶ』という姿勢を学ぶべきだと思う。ちなみに、フドウ川崎はプログラマという不健康な職業柄、今夜も最も元気であった。まあ、彼の場合、昔からやたら活力溢るる人間であったが。また、今夜はシュウ=サチヲも珍しく目が覚めていた。大奥の説教電波が効いたらしい)
フドウ:鍬が怒鳴ってるから、行くしかないか。
リン:チュンチュン!!(寝ぼけながらやけくその叫び)
シュウ:気違い共め!
GM:奥の道をつき進むとやがて階段に差しかかる。登るとどうやら山の内部、中腹の方へ向かっているみたいやね。さて、階段が終わると、また小さな広場。道は右と左にある。どっち行く?
フドウ:奇数が出たら右、偶数なら左。(ガシャン)……奇数、右の道や。
GM:しばらくアンコウに照らし出された細道を進むと、なにやら少し大きな空間に差しかかったみたい。感覚RR20でどうぞ。
一同:(ガシャン)……。
フドウ:成功したのは、チュンチュンか。
リン:チュンチュン!
GM:するとチュンチュンは、鳴き続ける『チュン』と『チュン』の間に『ザザッ』『ザザッ』という床を擦るような不吉な音を聞く。どうする?
リン:チュンチュン!
GM:両手をパタパタさせて鳥歩きしていた寝ぼけ風笑人の首に、巨大な節くれ立った生き物が飛びかかってくる。
リン:ギャーッ!!助けてーっ!
GM:運動RR25。で引き剥がすことができる。
リン:(ガシャン)……19。駄目だーっ!
(『ピーポーピッ!プゥッププー!』 不気味な携帯電話の呼び出しが三度その場に流れた)
シュウ:『俺ちゃうぞ』
(MAXフドウ・スミアキ、腰から電話を取り出し、おもむろに応答を開始)
フドウ:(tel会話) お、ついに起きたか。……今? 丘の上。この場所何てゆーたらええんや?(と向かいの岡本に尋ねる)
GM:『池の側の花見の丘のてっぺん。<双子山、標高52m>』や。
(どうやら車の中で戦う前から死んでいた山田タケシが黄泉帰ったらしい。この男、無精髭は毎日剃るくせに、筆不精で電話無精の横着者故、川崎への電話は、ない知恵を絞っての最後の緊急手段であったと思われる。どうやら目覚めると自分を残していなくなっていた悪友共を、必死で捜し回っていたらしい)
GM:リンに飛びかかったのは体長3mはありそうな大ムカデ。引き剥がしに失敗したから鋏み喰いのダメージ、(ガシャン)、15発。リンの首元、一番おいしそうな場所に喰らいついた。
リン:ウギャーッ!!
フドウ:でかいなぁ、光るクワッキン振り上げて襲いかかるぞ、ってこの鍬、勝手に飛びかかるんか?
クワッキン:(突然大声を上げる)「土を耕しtaiィィィイイイイ!!」
(一同笑)
クワッキン:突き刺しダメージ(ガシャン)……6や。
GM:(命中判定なしかい!)あー、柄にアザラシを引き連れたまま、突然トンボ羽根で闇の中を滑空した光る鍬は、大ムカデの背に深々と突き刺さり、青い体液が噴き出す。ムカデちゃんはリンを鋏みこんだまま痛さに身悶え、近くにおった君らはもう体液まみれや。
一同:嫌やなぁ。
シュウ:バックステップ、後退っ!
フドウ:儂も鍬を手放して逃げるぞ。
GM:では、慌てるアザラシ目がけてムカデの尻尾が飛んできた。運動RR25以上で成功や。
フドウ:(ガシャン)……25! ギリギリ逃げた。カクカクと部屋の隅に転がる。
シュウ:もう一回行けっ! 蹴飛ばす。
フドウ:アッ! そんな御無体なっ!
GM:リンはどうすんの? 君の頭上で飼いトンボのアミバが大慌てや。『リン! しっかりしろ、寝むっちゃ駄目だっ!』
リン:戦う。
フドウ:って、どおやって、喰われてる最中やろ?
リン:振りほどく。
GM:ではムカデと体力の対抗RRやな。(ガシャン)……ムカデの体力に2D10足して……28以上や。
リン:高ぁ……(ガシャン)……24。失敗。
GM:両腕の力を振り絞って牙を引き剥がそうとしたものの、ムカデ体液で手が滑り、ますます深々と挟まれた。首半分ちぎれるわ。
シュウ:死んどるで、それ。
クワッキン:儂はムカデに突き刺さったままか? こんな所は嫌だぁっ。暴れるぞ。
GM:短い亀手足をじたばたさせる度に、体液が噴き出す。
シュウ:そのまま飛んで、ムカデごとどっか連れて行けや。
クワッキン:……むぁ? ああっ!? ゥギャアアアーッ!!!
(現実世界。少し明るくなり始めた紺色の空の下、丘の向こうから上半身裸体の変質者がゆらゆらと這い上がり、膝を抱えて眠りかけていた大塚に絡みついた)
GM:鍬は叫び激しく身悶えしている。
フドウ:仕方ない。金の鍬と銀の鍬を振りかざし、二刀流でリンを助け出しにカクカク行こか。
GM:ムカデと対抗運動RR判定、(ガシャン)……こっちは16。
フドウ:それくらいなら、てりゃ(ガシャン)……19。攻撃成功。こぅ四角の軌跡をイメージしつつ、両腕の鍬を振う。ダメージは、おおっ、6、6じゃ!
リン:やった!
GM:むぅ、それは大ダメージやな。大ムカデの背中は、フドウ爺さんに四角く活け作りされ、大量の体液をブチまける。弱ってる。
シュウ:(突然駆け寄り)トドメは俺に任せろっ!! ウクレレソードでヤッ! ブチュゥゥウウ!!……で、どうやって判定すんねん?(なんも聞いちゃいねぇ) 武術技能に<暗夜刀>とかいうのがあるけど。
GM:<暗夜刀(ダイノバウ)>か。それはなんか相手の生命値を直接狙って攻撃できる必殺技やけど、ムカデもぅ死にかけやからいらんやろ。第一ルール載ってる本持ってきてないから諦めて。普通の攻撃は能力値の運動で2D10するだけや。
シュウ:16。
GM:こっちはもう弱ってるから半分の能力で、(ガシャン)……あ、よけたわ。
シュウ:ゴハッ!?
GM:ムカデが暴れると牙がまたリンの生首に食い込む、4発追加。で、どうする?
リン:仲間は当てにならないので、自分で攻撃します。ランセヴァーン(長剣)で。(ガシャン)……あ、運動ロールで4、4のゾロ目が出ました。
フドウ:おおっ! で、幸運な状況のとこ、何て買いてあるん?
リン:えー『戦歌、軍歌が聞こえる』
シュウ:ウクレレソード空振りして音出たぞ。ポロロローン!
GM:歌なんか歌ってたか?
シュウ:(突然甲高い声で歌い出すサチヲ)『♪ボインわぁぁーっ! お父ちゃんのためにあるんや、ないんやでぇぇーっ!!』
(一同笑)
フドウ:なんちゅう軍歌や(笑)。
シュウ:『♪ボインわぁぁーっ! 赤ちゃんのためにあるんやでぇぇーっ!!』
GM:大ムカデの背中から、リンのランセヴァーンが突き抜けた。活け作り完成。ムカデ絶命。未だ痙攣している残骸を毟り取りながら体液まみれで、首の半分千切れたリンが笑ってる。
フドウ:こんな部屋、はよ出よか。
GM:道をしばらく進むと、また少し広がりを感じる空間に出くわす。そこは干上がった川跡らしい場所で、君らの前方には向こう岸へ続く木の橋が掛かっている。
フドウ:ふむ、道は合っておるようじゃな。アンコウ掲げながら、橋を渡ってみよう。
GM:そろそろ出るか、水の妖精アインさん。どう現れる? 橋のしたから飛び出すとか?
シュウ:(大喜びで)『アァーマァーゾォーン!!!』(笑)。(by『仮面運転手』より)
フドウ:水ないって(笑)。
アイン:橋の真ん中でぐーすか寝ている。
GM:では、提灯の明かりの中に、木乃伊のように干からびて行き倒れになった娘が現れる。
(現実世界の丘の上。辺りが明るくなり、鳥のさえずりが聞こえ始める)
フドウ:しっかりなされ。こんなところで何故寝ておる!? ペチペチ(ビンタSE)
アイン:……ああ、これは蜂須賀小六殿……って、あなた一体誰、ですか。
フドウ:儂は……儂は? ……なんですか?(自分の名前を人に尋ねる困ったアザラシ。コイツもさり気なく寝ぼけていたようだ) ……あ、フドウ。山のフドウと申します。
この最後の乱入者も完全に、旅の仲間や目的を忘れていた為、GMは三度、紹介と解説を始めるはめになる。
GM:えー君を助けたアザラシは、以前どこかで見たことのある光る鍬を携えながら、口もとを真四角の形にしながら笑ってる。
フドウ:四角、四角はどこぢゃ!
GM:老人の隣には首から夥しい体液を流しながら抜き身の長剣振り回して笑ってる、これまた以前どこかで会ったことのある気がする娘がいる。ちょっと様子がおかしい。
リン:チュンチュン!
GM:で、最後はウクレレ片手にヤル気の抜ける軍歌を歌っている丘小人。ところでシュウは、まだ腐ったバットを詰めた袋引きずってんのか?
シュウ:なに、それ?
GM:ほれ、キャラシートに書いてあるやろ。
シュウ:あぁ?(と今更ながらキャラシートを検分するサチヲ) ……あ。『バット腐敗まであと71日』ぃ? いつの間にこんなん書いたんや。
GM:それ、まだ持ってるんか?
シュウ:さぁ、どっかほってきたんちゃう。知らんぞ。
GM:成程。腐った農夫は投棄したか。君ら、旅の目的なくなったぞ。
リン:もう誰も覚えてないから、大丈夫です。チュンチュン。
フドウ:ではその干上がった娘もつれて前進、前進。カクカク。
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