■ scene 04
〜乱闘騒ぎと、その合間にちょくちょく繰り広げられる呪文制作講座〜
GM:さて、演奏も一息、テーブルの方で夕食となります。そこでは既にクコが、みんなの分の料理も用意しています。今日のメニューはなんでしょう?
クコ:まず、中央の皿には豚のでっかい丸焼きがあって、
GM:『笑う子豚』亭やったらブラックジョークやで(笑)。
ラング:それも獲ってきたん?
クコ:うん。今朝がた森で。野ウサギを一匹。野ブタも一匹。
スカイニット:それ、イノシシ言わへん?
ラング:まぁいいやん。いただきまーす。
GM:ウェイトレスのお姉さんもまたクコが勝手に……って顔で、呆れながら水を置いていく。
スカイニット:あ、タダで食べさせてもらっていいんかな。一応、銀貨2枚くらい払っておこう。
ラング:そやね。
GM:あ、じゃあもうこの気まぐれ料理人さんに払っとけば?
クコ:いいんですか?
GM:うん。銀貨4枚書いといて。そんな感じで夕食が始まると。酒場の片隅では、シアンが爆睡中、と。
シアン:ほぼ爆睡です。
スカイニット:「シアン、食べなくていいのー?」
シアン:魔族やからいいんです。
GM:いいねぇ、その形容詞。『魔族やから』で、その辺のことは大抵なんとかなると思います。さて、そうしてみんなが食事をとっていると、ギーって、少しゆっくりと入り口の扉が開き、一人の若い娘さんが酒場に入ってきます。明らかに場違いな雰囲気を漂わせている。ちょっとオロオロしながら、誰かを捜しているようです。で、やがて酒場の隅で飲んだくれていた明らかにガラの悪そうな二人組の方へ近づいていく。「あのー、ひょっとして冒険者の方々でしょうかぁー?」
ラング:気になってそっちの方をチラッと見てみます。
GM:じゃあラングはその二人組が、昼間、噴水広場で君らに絡んできたチンピラーであることに気づく。スキンヘッドの大男と、目つきの鋭いナイフ使いの小男。演奏してた時にはおらんかったみたいやから、そいつらもついさっき、ここに来たみたい。
ラング:あちゃー。あんなのが冒険者やと思われるのもなんですし、
スカイニット:こっちから声かけに行きましょうか。トトトッと近寄って、チンピラの小さい方の肩をポンポンと叩いて、「やぁ、兄さん久しぶりー」と。
GM:「うるせぇな、今商談中だ……って、お前、昼間噴水広場にいた娘じゃねぇか!」
スカイニット:「だから久しぶり、って言ってんのよ!」
GM:「いいとこで会ったぜ。ここできっちり落とし前つけてやる!」と、早くも一発触発な状況。突然の険悪な雰囲気に、その丸眼鏡の娘さんは、すっかりブルッております。
スカイニット:「何息巻いてんの。とりあえずここでメシでも食べてなさいよ」
GM:「うるせぇ、誰がてめぇの指図なんか受けるか!」 厨房の方からちょっと困ったように顔を覗かせた店のオヤジがクコに伝言する。「ここで暴れられると困るから、表でやってくれって伝えてくれや」
クコ:トコトコ歩いてって伝言。「……だそうです」
ラング:そやね。じゃあ震えてる娘さんに「とりあえずこっちへ」と肩を抱いて、自分達の席へつれてく。
GM:「ゴルァ! 俺達の商談の邪魔をしようってのか!」
スカイニット:「あんた達の商談の続きは、表でたっぷり聞いてあげるわ」 大きい方のスキンヘッドをペチペチ叩いて挑発。表に出る。
GM:相手の方も、逆上してついてきた。
クコ:その後をトコトコついて行く(笑)。
GM:店に残ったラングとシアンの二人は?
ラング:表の二人も心配やけど、とりあえず、娘さんの話でも聞こうかな……って、スカイニット。剣持ってなかったんとちゃうん?
スカイニット:うん。スラれたまま(笑)。
ラング:戦歌好きなシアンさん、そろそろ出番なのでは?
シアン:ついて行っても、魔法使えないから……
GM:え? カード持ってますよね。
シアン:一枚だけ。
GM:むー、じゃあここでさっそくカード集めてみます? 戦歌を聞いていい気分でうつらうつらしていたので、霊感で……
スカイニット:(隣のシアンのキャラシートを覗き込み)……霊感16もあるやん、判定する必要あんの?
GM:26以上出たら、カード差し上げます。
シアン:(ガシャン)……26。
GM:では、うたた寝で夢を見た、ということでカード三枚どうぞ。なんなら、他にカード持ってる人から吸い取ることもできますし。
スカイニット:ドレインされる(笑)。
ラング:ドレインゆーな(笑)。
シアン:これは四枚の中から三枚を使って、魔法を作るってことですか?
GM:とりあえず三枚以上ということで。四枚でもいいよ。
スカイニット:色のカード一枚と、あとなんか二枚のイメージを組み合わせるんです。
GM:色は魔力源。車で言うところのエンジンみたいなもの。残りのイメージは、ハンドルとかタイヤみたいな部品。それらを術者の想像で組み合わせて魔法を作るわけ。
クコ:カードが多くなると、作るのが大変。
GM:そう。(編注:クコとスカイニットのプレイヤーさんは、一年前に既にこのGMの改造ローズを体験済だったりします)
シアン:白とか引いたけど、これは何回でも使える?
GM:一回だけ。でもその即席呪文が成功したら、
スカイニット:そのキャラシートの隣の呪文欄に呪文としてストックできて、あとはMPがあれば、何度でも使えます。
GM:使ったカードは回収します。でも、非常時にカードが欲しくなった場合は、その呪文を分解して、
クコ:カードに戻せます。
シアン:魔法はなくなっちゃうんですか?
GM:覚えた呪文はなくなるけど、そのカードでまた別の呪文を組み立てることができるようになる、と。シアンはしばらく何か呪文が作れそうか考えといて。で、魔法の解説はこれくらいにして、状況を酒場の路地裏に戻します。悪党共は今にも襲いかかろうとしてる。関係者のようにさりげなく表へ出てきたクコは? 何か罠とか持って来てるん?
クコ:いや、手には鍋が一つだけ。
ラング:鍋(笑)。
クコ:しかもコックの格好のまま(笑)。
ラング:コック(笑)。……とても不安になってくるんやけど。
GM:そやね。その場所は、酒場の裏手ということで、トイレかなんか、酒場の方の小部屋の小窓から、その緊迫した状況を観戦することはできそう。まぁ、普通に裏口から参戦してもいいんやけど。
シアン:じゃあ、おもしろそうなので、窓から顔を覗かせる。何が始まるのかなぁー(笑)?
スカイニット:路地裏で、「さぁ、エサイセヴァ(終始剣)を極めたあたしのこの剣であんた達なんか……って、あれ!? 剣が! 剣が!!」(笑)。
GM:「ケッ、獲物もなしで、俺達の相手をするつもりだったのかよー」 ニヤニヤ嫌らしい笑いを浮かべる悪党共、じりじりと近づいてくる。
シアン:あのー、魔法カードの意味が知りたいんですけど。
GM:そこにある表とかキャラシートにも書いてます。本当は、その時々の直感で適当に作るのが一番いい方法やから、適当でいいよ。
ラング:フリーリードでいいらしいです。
スカイニット:「あんた達なんて、素手で充分よ」
GM:「ほぉ、娘のくせに、このドーフ様に素手で喧嘩を売ろうなんざ、いい度胸してるじゃねーか」
スカイニット:「まぁね、それにこっちには……」
GM:問答無用! いきなりパンチが飛んできます。……運動で26以上。
スカイニット:えぇーっ、悪党め。……失敗。くらってしまった。
GM:まぁ軽いボディーブロー。7発。
スカイニット:結構痛かった。
ラング:おや? 「剣が! 剣が!!」って声が、しなくなったぞ(笑)。
GM:その乱暴を目の当たりにした鍋持ってる小人は?
クコ:じゃあ、その悪党共の周りをチョロチョロ走り回る。
スカイニット:マスター。
GM:はい。
スカイニット:<紫>と<三角>で、
GM:あー、ちょっと待って。先にクコの行動済ますから、呪文の組み立てはその間に練っといて。
スカイニット:あ、はい。
GM:さて、小人にカラまれたチンピラ共は逆上。「うっとーしいんだよ!」 今度はクコ目がけて襲いかかろうとする。
クコ:走りながら罠を張り巡らす。
GM:どんな(笑)?
クコ:えー、走りながらやし、簡単なやつ。縄で相手を転ばせるのとか。
GM:まぁ、簡単そうやし、感覚で16以上。
クコ:<罠>技能を足してちょうど16。
GM:では次のラウンド発動、ということで。他の人はなんかします?
シアン:えー、白色のカードがあるけど、
GM:じゃあそれと、他のカードを適当に足して早速魔法が使えます。
シアン:<白>と<蝶>で『眠り』(編注:シアンさんによる呪文名は、『蝶が運ぶ夢』)
GM:むー、もう一枚、なんか付け足してほしいところですねー。
シアン:<丸>
GM:<円>の解釈は?
シアン:存続。
GM:眠りを続かせる……より激しい昏睡の呪文、ってとこかな。
シアン:<蝶>は夢。幻覚やから。
GM:それなら終わらない幻を見せ続ける呪文でもいいよ。名前とか何にします? 白はイーヴォの神様やから、<イーヴォの眠り>とかが基本やけど、他にもっとひねった名前でもいいし。まぁ、名前は成功した後にでも適当に考えといて下さい。とりあえずロールの難易度は、魔力源で10、イメージがそれぞれ5やから、その三枚でとりあえず20。そこから、何ポイントのMPを使うかで、難易度を下げれます。それからどんな触媒を使うかでも下げれます。例えば今やったら、懐から占いのタロットなどを取り出して魔力のよりどころにする、とか。触媒を使うと、次から呪文を使う時も必要になるけど、とりあえず最初は呪文を作らなあかんから、僕がプレイヤーやったら、触媒は絶対使います。
シアン:触媒は一回使ったら、次からは使えないんですか?
GM:ものにもよります。例えば、杖とかやったら何度でも使える。けど、一回こっきりで無くなってしまいそうな、魔法の粉、とか珍しい物の方が、より多めの修正を加えられる、ということで。
シアン:他の魔法でも一つの触媒は使えますか?
GM:使えます。
シアン:じゃあ杖を触媒に。
GM:それはいつも持ってるなくならない杖なので、修正は……2。MPはいくら使う?
シアン:3。
GM:じゃあ霊感で15以上。
スカイニット:それって失敗しないんじゃ?(編注:シアンは霊感のある魔族な上に、霊感の増すメデュート神を信仰している為、霊感が14もありました)
GM:いや、不運な状況でゾロ目とか、幸運状況でもピンゾロが出れば失敗します。
スカイニット:なんにせよ強ー。
ラング:大魔法使いやん。
シアン:えー、霊感でした、ね……
GM:ゾロ目は?
シアン:……出てません。
GM:じゃあ成功。呪文名は適当に決めといて。……こちらの抵抗は失敗。とりあえず1D10ラウンド、狙った相手を昏睡させる、ということにしておきましょう。
シアン:(ガシャン)……あっ、1。
GM:ガクッ、と膝が落ちた程度かな。10秒程、ウトウト。
ラング:それ昏睡ちゃうやん(笑)。
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