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■『ポリー、森へ行く』/05

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■ scene 05
〜乱闘騒ぎと、その合間にしつこく繰り広げられる呪文制作講座〜

GM:で、呪文、どっちにかけるん? スカイニットを殴った大男か、小人を狙う小男の方か。
シアン:頑丈そうな奴の方を。
GM:壁にうずくまるスカイニットにとどめの一撃を与えようとしていたドーフが突然、ガクッと倒れてハナ提灯。さて、小男ペスが、「串刺しにしてやるぜっ!」と、ナイフでクコに攻撃……お、運動で35以上が出れば回避できます。
クコ:35以上か……
シアン:カードは返します?
GM:返して下さい。
クコ:19、失敗。
GM:ではダメージを、と……
シアン:MPはさっき使ったのん?
GM:3、減らしといて下さい。で、小男のナイフは……1発だけでした。
クコ:鍋(笑)。(編注:防御力1で完全防御の意)
ラング:防御成功(笑)?
GM:小男の激しい突きを、キーンと弾き返しました。「チクショウ!」と悔しそう。ついでやから、罠が発動したかどうか試してみる?
クコ:え、どうやって?
GM:とりあえず感覚で対抗ロール。こちらは16。
クコ:あ、15。
GM:「なんだこりぁっ!」と足にまとわりついていた縄を地面に打ち込んでいた杭ごと蹴飛ばす。クコの罠は獲物をとらえることなく、空しく宙を舞った。
クコ:強度が足りなかった……あ、これ<罠>技能2を足していい?
GM:いいよ。と、落ちてきた縄と杭が、まるで生き物のように毒づく小男に絡まった(笑)。路地裏では大男が膝をついてウトウト、小男が縄に絡まってバタバタ、と案外間抜けな光景が繰り広げられてます。さて、酒場にいるラングさん。傍らにいたその丸眼鏡の娘さんが心配そうに話しかける。「外へ行った人達、大丈夫なんでしょうか?」
ラング:「いやぁ、さっきまで『剣が! 剣が!!』とか、聞こえてたんですけどねぇ」(笑)。
GM:竪琴が、ジャラーン、と何かの危機を告げるかのように、独りでになり始める。
ラング:おや? これは一体……と竪琴を手にしてみましょうか。
スカイニット:いや、竪琴はこっちで背負ってたままみたい。
GM:すると、裏路地の方から、そんな切迫した音が鳴りました。
ラング:なんだスカイニットの奴、竪琴なんて弾き始めて(笑)。余裕? BGM付かよー(笑)。とりあえず、お嬢さんの名前を訊こう。「お嬢さん、お名前は?」
スカイニット:ナンパしてるしぃー(笑)。
GM:「ポ、ポリーヌと言います」
ラング:「ではポリーヌさん、ここで料理でも食べながら、少し待っていて下さい」
GM:「あ、これはおいしそうな豚の丸焼き」(笑)。キラーンと丸眼鏡が光ります。「食べちゃっていいんですか?」
ラング:「はい、いいですよ」
GM:「じゃあ、いただきまーす」
ラング:じゃあ僕は、シアンの後ろから、窓を覗いてみよか。ちょぃと。
GM:えー路地裏では壁を背にして蹲って呻く雪精、
スカイニット:でもトトは勝手に鳴り続けている。
GM:と、その前で目覚めようとしている大男。それからその向こうでは、縄に絡まってバタバタしている小男と、その向こうでガッツポーズの丘小人。
クコ:チビ男に向かって(笑)。
ラング:読まれへん(笑)。そんな戦況さっぱりや。まぁ、スカイニットがやられているみたいなので、とりあえず裏口から外へ出て、助けに行きましょうか。
GM:では次のラウンド登場、と。大男の次のラウンドから暴れ出す。小男はこのラウンドだけ縄を切り捨てる為に暴れている。さっきの罠は前のラウンドの仕掛けやったから、クコはまだ行動できるよ。なんかやる? 一発逆転の罠とか。
クコ:一発逆転ったってなぁ……それじゃあ三人纏めて……じゃなくて(笑)、二人纏めてしとめられるような罠……大罠を(笑)。
GM:って、どんな罠?
クコ:それは……鍋とロープと壁を使った……ドリフ(笑)。
一同:ドリフ!?
クコ:たらいが落ちるやつ(笑)。

   (一同爆笑)

GM:はいはい(笑)。それは大技ですな。(編注:一昔前のゴールデンタイム番組、『八時だよ、全員集合』等でやっていたドリフターズの芸の一つ。ショボい家のセットの天井などから金だらいが落ちてきて、メンバーの頭にパコーンと派手に当りヘロヘロになってみせる、という体を張ったわかりやすいお笑い芸)
スカイニット:戦う気、失せるなぁ(笑)。
GM:そんなものを仕掛けるには激しい運動が必要になりそうなので……運動で28以上。お願いします。
クコ:……こいっ、(ガシャン)……えーっと、12(+運動16+<罠>技能2)で、30。
GM:成功。突如狭い路地裏の壁を駆け上がり始めた丘小人。暗闇の中を縦横無尽に跳躍。あちこちに縄を張り巡らし、鍋を吊す。敵そっちのけで、かなりハードな運動をしてる。
クコ:セッティング。
GM:シアンはなんかする? さっきの魔法のかかりは浅かったようで、大男は早くも目覚め始めようとしてるけど。出来た呪文を普通に使うこともできるよ。
シアン:でも呪文の効果は変わらないんですよね?
GM:そやね。毎回1Rしか効かへん呪文ってのも使えんやろから、1D6でよかったら、そのつど効果時間決めてくれていいよ。ただし、一回使った相手、ここでは大男に続けて眠りの呪文をかけることはできない、ということで。縄を斬ろうと暴れてる小男の方になら、かけることはできるよ。
シアン:じゃあ小男の方に。
GM:えー(ガシャン)……霊感22以上で成功します。まぁ、ゾロ目でも出ん限り成功でしょう。
シアン:(ガシャン)……20、失敗……あ、ゾロ目が出てます。
GM:確か君の場合、ゾロ目が出るとピンチやったと思うんやけど。不運な状況は?
シアン:『嵐でない』
GM:ですね。
ラング:『軍歌も鳴ってないし』(笑)。
スカイニット:え? トトは?
GM:むー、微妙やけど、竪琴は君らが鳴らしたわけじゃないし、今は嵐でない方がはっきりしてるから、今回は大失敗、ということで。シアンの眠りの呪文は、どういうわけかウトウトしていた大男を完全に目覚めさせた。「うおぉぉっ! 妙な魔法使いやがって!!」と、チンピラは小窓から覗いてるシアンを見つけ、襲いかかる。「お前かぁっ!」
シアン:「違います」(笑)。
GM:長ドスを引き抜いてバッサリ振りかぶる。
ラング:これはマズい状況だ。
スカイニット:マスター。
GM:はい。
スカイニット:<紫>と<三角>で、『正気を失わす、というか精神を混乱させる呪文』を。
GM:もう一枚ほしいですな。
スカイニット:では<木の枝>を足して、混乱を助長させる魔法。
GM:はい、どうぞ。
スカイニット:これやと20?
GM:うん、そこから触媒とMP分引いてロール。
スカイニット:触媒は……今、トトが鳴ってるんですよね?
GM:『トトの音』でもいいよ。それやと2点。MPは?
スカイニット:2使って、霊感16以上で、(ガシャン)……29。
GM:どっち狙ってました?
スカイニット:そりゃヤバそうな大男の方を。
GM:こちらの抵抗は失敗。どう混乱したんでしょう。
スカイニット:えーとりあえず、現状を把握できなくなるような混乱を起こした、ということで。
GM:じゃあ大男の攻撃目標は、仲間の小男やちょうど裏口から出てきたラングも含めて、ランダムで決めますか。(ガシャン)……ラング(笑)。
ラング:俺かっ(笑)!?
GM:スカイニットの呪文のとばっちりを、相棒が受けることになりました。えー、大男の長ドス攻撃は……運動で23以上で回避成功。
ラング:(ガシャン)……あ、ゾロ目や。でも幸運(『穏やかな音楽が聞こえる』)でも、不運(『嵐の中』)でもないわ。
GM:じゃあ偶数不運、奇数幸運で、運試しを。
ラング:(ガシャン)……0、大失敗。
GM:14発。裏口からのこのこ現れた道化師の首にドスが振り下ろされ、ドバーッと鮮血が派手に吹き出す。
ラング:うわぁ、一気に負傷値入った。
GM:さて、それまでどこか間が抜けていた路地裏の様子も、にわかに血みどろになってきました。
クコ:刃傷だぁ。
GM:ラングの首筋からはドクドク脈打ちながら血が噴き出し続け、表通りの通行人も、そろそろ気づき始めてくる。「おい、あそこの暗がり。今誰か、悲鳴上げたかったか!?」
ラング:そんなに酷かったん? これはちょっと怒らなあかんな。<終始剣>使える?
GM:使えるよ。こっちの運動は……20。<終始剣>の最初の一撃特典で+5して出してみて。技能レベルも足していいよ。
スカイニット:え? 武術にレベルってありました?
GM:あ、なかったわ。普通に+5で。
ラング:(ガシャン)……えー、またゾロ目が出ました。
GM:じゃあまた偶数奇数で。
ラング:(ガシャン)……
スカイニット:また不運やん(笑)。
GM:ファラノウムの道場で覚えた<終始剣>によるラングの裂帛の一撃は、突如暗闇から落ちてきたクコの鍋によって打ち砕かれた(笑)。剣もポキリと折れてしまう。さぁ、大ピンチ。で、激しい大罠を完成させたクコ……ってか、鍋はもう、ラングの不運効果で落ちてしまったけど、どうする?
クコ:こうなったら……チンピラ共を、脅す(笑)。得意げに愛嬌を振りまきながら言う。「見たか。これと同じ鍋が、お前達の頭上には、あと25個仕掛けられている」

   (一同爆笑)

GM:仲間の剣もへし折る程の獰猛な罠を見せつけられて、チンピラ共はかなりたじろいた。……でも状況が状況やし、愛嬌で脅すってのもねぇ。
クコ:いや。にこやかに振る舞うことで、逆に恐怖感を煽る作戦(笑)。
GM:なるほど。では交渉は愛嬌25以上で。
クコ:(ガシャン)……28、成功。
スカイニット:さすが陽気な丘小人。
GM:「チッ、すっかり酔いが醒めちまった。今日のところはこれくらいにしておいてやるぜっ!」と、チンピラ二人組は愚痴りながら、表通りの人混みへ消えてゆく。
クコ:撃退した(笑)。
GM:さて、出血多量でヘロヘロのラングと、ようやく立ち上がることができたスカイニット、それからハッタリが成功して得意げなクコが酒場へ戻ると、テーブルの上の夕食は、綺麗さっぱりポリーさんによって平らげられていました。先程までの怯えた感じはすっかりなくなり、満ち足りた幸せな表情で、「あ、皆さん、ごちそうさまでしたー♪」……傍らでシアンも呆れている。
ラング:そういうオチですかい(笑)。


 
 
 

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