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■『ユイラン、町へ出る』/02

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■ scene 02
〜またやって来た眼鏡娘と、彼女が作った香水を悪用して消えたお嬢様〜

GM:さて、そんなことを話していると、『笑う子豚』亭の扉がバーンと開け放たれ、小柄な人影が飛び込んでくる。新米錬金術師のポリーさんですね。
ラング:おや?
GM:「ちょっとみなさん! そんなソテー食べてる場合じゃないんですっ!!」
スカイニット:「なんだポリーちゃん。ソテーが食べたいんなら、そう言いなさいよー」(笑)。
GM:「じゃあ私も頂きます。パクリ……おいしー……じゃなくて! ゆっくり夕食してる場合じゃないんです!! 実はこの間の香水の件で大変なことが起きてしまって……」と、あたふたするポリーの後ろに初老の男がやってきて「ウォホン!」と一つ咳払い。とても身なりのいいその人は、見るからに執事って感じの人ですね。ポリーが言うには、この人はマイゼル公爵家の執事、テナイさん。
スカイニット:えーっと、香水の依頼してきた?
GM:うん。で、この町でかなりのお金持ちが多く住むという、さくら通りにあるマイゼル家の執事さんなんやけど。そのテナイさんが直立姿勢のまま、少しだけ身をかがめ声を潜めて言う。「実は……私どものお嬢様が、行方不明になられまして……」
ラング:ほぉ。
GM:「私が悪いんです!」と、ポリーは頭を抱えてうなだれる。
スカイニット:「まぁ、落ち着いて。鹿のソテーでも食べながら、詳しく話してよ」
GM:「あぁ、このソテーおいしいですねー……じゃなくて!」
ラング:おもろい人やなぁ。
クコ:「『私が悪い』ってことは、行方不明の理由について、何かわかってるんですか?」
GM:「この間、みなさんにも手伝ってもらって作った香水、『緑の月の祝福』がマズかったみたいなんです」
スカイニット:「というと?」
GM:「実はあれには副作用がありまして……」
クコ:副作用(笑)。
GM:「月明かりの中で使うと、姿が消えてしまうんです」
一同:…………
スカイニット:「……便利じゃん」
GM:「いや、でもあれは一応香水ですし、執事さんに渡した時に、ちゃんと注意書きもつけてたんですよ。『月明かりの下で使うと、香水としての効果は薄れます』って」
クコ:「……それがマズかったみたいですね」(笑)。
GM:それまで黙って聞いていた執事のテナイさんが、「ウォホン!」と一つ咳払い。「あの悪戯好きなユイランお嬢様のこと。最初からその副作用が目当てだったのでしょう。珍しく香水などほしがるものですから、旦那様も大層お喜びになっていたのですが……」
クコ:悪戯好きなお嬢様に共感を覚える(笑)。

 テナイはそのユイランという公爵家の娘の悪戯前科をあれこれ披露し始める。(クコ:前科(笑)。) 彼女は普段、黙ってさえいれば、白銀の髪がきらめく深窓の令嬢なのだが、町に来た雑伎団の公演や演奏会、酒場の歌合戦等々、おもしろそうなことを侍女から聞きつけては、一人で町へ飛び出していくという。窓から抜け出したり、門番に眠り薬を飲ませたり、侍女に変装したり。様々な悪戯を駆使して事あるごとに町中へと繰り出しているらしい。

ラング:凄ぇ(笑)。激しいな。
スカイニット:かなりのオテンバってことですか。
シアン:はいはーい。質問ー。
GM:はい?
シアン:その香水の副作用の効果はどれくらいなん?
GM:ポリーがソテーを食べながら言う。「副作用……って大げさに言っちゃう程、ひどいものじゃないんです。姿が見えなくなるのはせいぜい2、3時間。それも月明かりが出ている間だけですから」
シアン:「なるほど。じゃあ屋敷を抜け出す間、消えていれば良かったってことなんですね」
GM:「ウォホン!」とテナイさん。「おそらく、お嬢様はその目的で使われたことと思われます」
シアン:ってことは今頃、その白銀の髪を振り乱してその辺散歩してるかも、ってことですよね。
GM:かもしれませんね。
ラング:しかし、そんなに演奏会やなんやを覗き込みに来てるってことは、俺らも見たこととかあるんとちゃう? そのお嬢さんを。
スカイニット:そんな気がしますねー。
GM:かもしれませんね。
ラング:白銀の髪で綺麗な女の子って、かなり目立つんじゃ?
GM:まぁね。この町には色んな国の人や人種、旅人達もやってきてるから、白銀の髪、そのものはそれほど目立つ要素にはならないと思う。シレリ(雪精)のスカイニットかってそうみたいやし。
スカイニット:え? そうやったん?
GM:うん。それに、ターバンみたいな飾り布とかで隠すこともできるし。テナイさんが一つ咳払いをして話を続ける。「実はお嬢様が屋敷を抜け出したのは、昨日の夜のことなんです。もちろんそれまでにも散々屋敷を抜け出してはいたのですが、次の日にはちゃんと帰ってきていたのです。それが、今日に限って帰ってこないとなると……お嬢様の悪戯に困らされていた私どもも、さすがに心配になってきまして……あ、それからこのことは申し上げにくいのですが、今回のことはまだ、旦那様には申し上げていないのです。余計な心配をおかけしたくありませんので…… 今のところは侍女のマリアが、ユイランお嬢様のフリをして、部屋で風邪で寝込んでいる、ということにしてあります」
クコ:なかなかの悪戯ぶり(笑)。
GM:「それでこちらのポリー様が、あなた方なら必ずお嬢様を見つけだしてくれる、と申されますので。是非、ユイランお嬢様捜しの件、お願いできませんか?」
スカイニット:今、夜ですよね?
GM:はい。ユイランが屋敷を出た翌日、ということになります。「あぁ、捜索に必要な資金はこちらでご用意させて頂きます」 テナイさんが、テーブルにずっしりと重い小袋を置く。ズシャッと。
クコ:ズシャッと?
GM:金貨100枚程。
一同:おぉーっ。
ラング:凄ぇ(笑)。(編注:ちなみに日本円に換算すると、5000万円くらいになるようです)
スカイニット:……ま、引き受けていいんじゃないの、人助けだし。
クコ:鹿のソテーを食べつつ頷く。
GM:「それでは、私はマリアが心配になってまいりましたので、これで失礼させて頂きます……あ、それとこれを」と、テナイさんは、去り際に、布がかけられた大きな四角い板のようなものを君らの側に置いていく。
スカイニット:「何、それ?」
GM:布をめくるとわかります。肖像画ですね。お嬢様の。
クコ:そんなものを酒場に(笑)。もっと小さいのはなかったの?
ラング:ほんまや(笑)。
GM:「いえ、屋敷にあった一番小さなものが、これなんです。どうぞ、お嬢様を捜すのにお役立て下さい」……はい、これがその肖像画。(と、イラストを渡すマスター)
ラング:ほぉー。
GM:あ、忘れてたけど、あの二人組のチンピラの絵もありました。(と、イラストを渡すマスター)
スカイニット:わっ(笑)。ほんまチンピラやーっ(笑)。
クコ:そやね。
シアン:え?……このチンピラは?
スカイニット:ほら、第一話で戦ったあの乱暴者やん。
クコ:でっかいのとちっちゃいのん。
シアン:……あぁ。
GM:めっちゃ興味なさそう(笑)。
スカイニット:で、このバカでかい肖像画を眺めつつ、この女の子に見覚えはないですか?
GM:そやねー。では路上演奏家の二人組は、思い出せるかどうか、知力で難易度24以上。
スカイニット:(ガシャン)……あかん、ピンとこなかった。
ラング:惜しい、こっちは21やった。
GM:むー、それらしい娘さんを見かけたような見かけなかったような……
スカイニット:白銀の髪なんて、結構いるしねぇー(笑)。
クコ:そうなん(笑)。(編注:目の前にいます)
ラング:……お……おおっ!?……知識関係、リアルロール+5がありました! それ足したら26になる。(編注:イーヴォ派の信仰特典)
スカイニット:おぉーっ。
GM:では、ラングは、噴水広場で白銀の髪の娘さんが歌っていたのを思い出す。二、三日前のことですね。
ラング:へぇ、歌ってたん。
GM:その娘は旅人風の格好で、髪も結い上げていて短く纏めてたみたい。でも、その白銀の髪はやっぱし少し珍しかったみたい。記憶に残るくらいやから。
スカイニット:二、三日前か……
GM:でもその旅人の格好も、旅慣れて着古したかんじではなく、いかにもどこかの古着屋とかでそこそこ綺麗なものを買って衣装として着込んだ、って感じに見えなくもなかった。
ラング:ふむぅ。
スカイニット:まだその執事の方はいます?
GM:テナイさんはいます。肖像画を見てちょっと涙ぐんでます。「お嬢様、早く帰ってきて下さいませ」(笑)。
スカイニット:「あの、テナイさん。お嬢様は二、三日前、屋敷の方にはいらっしゃいました?」
GM:「二、三日前……と言われましても、お嬢様はことあるごとに屋敷を抜け出されますから、私も見かけないことの方が多いのが普通でして……」
スカイニット:っー……
クコ:「最近、古着とか買われていたことは? 町へ買い物とか」
GM:「買い物? 買い物はあまりされない方ですが……」
クコ:「髪型を変えたとか……」
GM:「そうですね。よくおかしな格好はしているようです。マリアが申すには、お部屋のタンスの中には、何やら妙な服ばかり入っているようで。旦那様も大層お嘆きでございます」
クコ:「そうなんや……」
ラング:「とりあえず、肖像画の方は持って帰って下さい。ちょっとここでは大きすぎる」(笑)。
GM:「え、持って帰っていいのですか」とやや驚いた感じのテナイさん。一方、すっかり食事に夢中になってるポリーさん。「あぁー、この鹿のソテーおいしいわー」とか言ってる。
ラング:「うん。もう顔の方は覚えましたし」
スカイニット:「そうね」
GM:「では、肖像画の方は、持って帰らせて頂きます」と、テナイさん。では、みなさん。それぞれのこれからの行動を決めて、リーダーが纏めてみて下さい。


 
 
 

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