■ scene 10
〜自分が仕掛けた罠に取り込まれて喜ぶ小人と、娘二人に励まされてす巻きを狙う詩人〜
クコ:多分、この屋敷のどこかに、下へ降りる階段があるはず。
スカイニット:屋敷の構造とか分かりませんかね。
GM:台所の隣の暗がりから、そんなものはわかりません。
スカイニット:ですよね。なんか魔法でも作ろうかなー。
ラング:下に降りる階段ねぇ。
一同:…………
暗がりで考え込む一同。実は扉の向こうの廊下では、例の赤帽子のカード男、ハウゼムが待ちかまえてたりします。現実世界は4時15分を突破。残り時間は、あと15分。んな所で考え込まず、とりあえず前進してくれ、と焦るマスター。とっととそこへ向かって欲しくてウズウズしてたりします。地下への階段情報はそこで出せますし。
クコ:なんか魔法ねぇ……
スカイニット:<車輪>って、どんなイメージやったっけ。
GM:シアンさん、ちょっと霊感……全員でもいいですけど、霊感20以上振ってもらえます?
スカイニット:(ガシャン)……無理でーす。
ラング:失敗。
シアン:失敗。
クコ:成功。22。
GM:クコは、隣の廊下から怪しい気配を感じる。
クコ:ん?……なんかいそうな気配?
GM:うん。人間じゃないような薄い気配。でも確かになんかいる感じ。
クコ:怪しい。鍵穴から覗けるかな。
GM:暗くて、穴からやと見えませんね。扉を開けて出ればわかると思う。
ラング:いやーっ、いやいやいや(笑)。
時間がないのにやたら慎重な詩人。さすがイーヴォ派。ゲームに集中してくれるのはうれしいのですが、マスターはそれどころではありませんでした。
クコ:これは……扉を開けて出るか?……どうしよう?
GM:すると扉の向こうから聞いたことのある声がする。「いつまでそんなところに隠れてるつもりなんだ? それならこっちから攻撃してもいいんだぜ」と、ピラッとカードをめくる音がする。
クコ:あっ、あいつか……扉をカチャッ。
GM:と同時に、カードが飛んでくる。運動28以上で回避。
クコ:頭の上飛び過ぎないですか(笑)?
(一同爆笑)
GM:過ぎません。避けたら後ろの人に当たる。
クコ:(ガシャン)……避けました。
スカイニット:じゃああたし? (ガシャン)……16、失敗。
GM:じゃあクコの次に廊下に出たスカイニットの足元をカードが掠める。8ポイント、MPにダメージ。グッと気力が吸い取られるような感じがします。「また、お前達をカードの中に閉じこめるのも楽しいかもしれないがなぁ」 薄暗い廊下の奥に立っていたのは、あの赤い鍔なし帽子のカード男やね。
クコ:「おまえはっ」
スカイニット:「あんたっ! あの時の酒代払いなさいよっ!」
GM:「いや、悪かった悪かった」
スカイニット:「悪いと思うのなら、謝礼がわりに地下室まで案内なさい!」
GM:「地下室? なんのことだか知らないなぁ」と、あからさまに知ってるような笑いを浮かべる。
スカイニット:「これだから態度のでかいバカな男は」
GM:「まぁ、俺もこの屋敷の古い友人に頼まれてな。護衛を任されてるんだ。そう簡単にお前達を通すわけにもいかなくてな」
クコ:「ふっ、全てはわかっているんだ」(笑)。
GM:「へぇ、それはおもしろい」
クコ:「どういうわけだ」
GM:「わかってるんなら、俺に訊くなよ」
(一同爆笑)
クコ:「そこはそれ。ちょっと確認したかったまでだ」
ラング:そのカードって、そんなに飛ぶん?
GM:5、6mくらいは軽く飛ぶみたい。
クコ:魔法的なものなんやろね。
スカイニット:で、そのカード男はどこにいてるんですか?(と見取り図を見ながら尋ねる)
GM:(フィギュアを置きつつ)……この辺かな。
クコ:(と見取り図を見つつ)……するとその奥の扉が、怪しい(笑)。
スカイニット:論理的にはそうなるね。
GM:「さて、そっちが何もする気がないのなら、またこっちからいくぜ」 カードをまた投げようとしてる。
クコ:突っ込む。
ラング:えっ(笑)?
GM:ではクコから、どうするん?
クコ:カード男の足下グルグル回りながら、ロープを繰り出す。
GM:また罠かいな。でも相手は人間じゃないから、それこそ人間離れしたような激しい罠を仕掛けないと(笑)。
クコ:それなら、(と見取り図を示す)……この廊下の両側の壁をも使って、縦横無尽な激しい罠を。す巻きにしてやるっ(笑)。
GM:じゃあ暗闇で繰り出すので感覚で26以上。失敗したら、勢いがつきすぎて、自分がす巻きになります。
クコ:うわぁ。……(ガシャン)……あー、無理……!、いや、<罠>足してちょうど26!
GM:ちょうど? では、暗闇の中を壁を蹴って駆けめぐり罠を仕掛けたクコ。しかし小人の限界を超えた速さでロープを繰り出し続けた為に、自分自身もその罠に捕らわれてしまう。カード男と一緒に一つの見事なす巻きの一部になる。「わっ、なにするんだ! カードが投げられないだろっ!」
クコ:「わっはっは」
スカイニット:慌ててる?
GM:慌ててる。結構チャンス。もう時間もないし仲間もろとも殺るしか(笑)。
ラング:仲間もろとも(笑)!
シアン:(笑)。
ラング:俺に一刀両断なんてできんやろなぁ。
スカイニット:あのー、MPが減りすぎて錯乱しちゃうと、なんにも出来なくなるんですか?
GM:休憩して回復するまではね。(編注:間違い。MP3段階のうち、『放心』『錯乱』までは、実は特に問題なく行動できます。能力値と体力等が直結しているオリジナルルール風に解釈するなら、『錯乱』状態では各ロールの難易度を+5等するべきなのでしょうが、このゲームのキャラって、それほど強い冒険者が生まれるシステムになっていないので、ペナルティはなしとしています。ただ、『発狂』にまで陥るとNPC扱い、ということで。この改造ルール作ったの、このGMなんですけどね……)
シアン:え? これって、魔法使っていったら錯乱するんですか?
GM:うん。MP減りすぎたらね。……と、(隣のクコのキャラシートを覗きつつ)……あ、『錯乱』はまだ自分の意志で動ける。『発狂』にまで減ったらダメってことで。仲間になんとかしてもらわないと。
スカイニット:じゃあもう、さっきの攻撃で目が虚ろになりかけてるんやけど。
GM:シアンは?
シアン:魔法使えるかな。
GM:相手はかなり魔法慣れした……実は魔族なんで、結構術をキメるのは難しいかもしれません。でもさっきの丘小人の攻撃でちょっと慌ててるから、仕留めるなら今しかチャンスはないような気もします。
シアン:うーん……
クコ:一緒に絡まりながら「ふっふっふ」と、これが作戦だったかのように(笑)。
GM:じゃあとどめはラング?
ラング:いや。果たしてそれ……俺に斬れるん?
GM:そやね。<終始剣>が決まれば、カード男を仕留めることができる。でも失敗すれば、小人に当たる。
クコ:大丈夫。小さいし(笑)。
ラング:リアルロール+5で15か……なんにせよ一発勝負やな。
GM:(シアンに)……決まりました?
シアン:えっと、『剣の攻撃力を上げる』魔法を作ります。<赤>と<山>と<ユリ>で。
GM:いいですね。触媒とかMPはいつも通り?
シアン:はい。
GM:じゃあ難易度霊感で15以上。ゾロ目でも出ない限り、大丈夫でしょう。
シアン:(ガシャン)……あ、5で……15以上ですね?
GM:うん。
シアン:19で成功。(編注:シアンさんによる呪文名は、『山に咲く聖なるユリ』)
ラング:おおっ。
GM:す巻きに向かって狙いをすましていたラングの剣が、力強い赤い輝きを放つ。もう殺るしか(笑)。
スカイニット:<赤>と<鎖>と<五芒星>で、『大地の力を体に留めて運動能力を上げる』魔法……できます?
GM:できます。界王拳ですな(笑)。(編注:ジャンプ漫画。ドラゴンボーノレの必殺技)
スカイニット:じゃあそれをラングに。
ラング:おおーっ。
GM:いきなり強化人間化され続けてます(笑)。
ラング:余程たよりないということか(笑)。
GM:触媒は?
スカイニット:触媒ねぇ……今はトトも鳴ってないし……ないなぁ……じゃあなしでいいです。
GM:MPは?
スカイニット:減らしたくないけど、3で。難易度は17以上ですね。(ガシャン)……14の……27です。発動しました。
GM:その燃えるような剣を見つめるうちに、詩人の体の中にも、ムクムクと湧き上がる熱い力(笑)。……二人ともカード3枚の魔法でしたね。とりあえず、1D10で、その効果を決めて下さい。
スカイニット:でかい目出ろっ……(ガシャン)……あかん、3しか上がらん。
シアン:2(笑)。
GM:剣の効果はダメージを上げる? それとも達成値?
ラング:達成値の方がいいやろ。
シアン:うん。
スカイニット:こっちは運動能力を上げる魔法やから、達成値ですね。
GM:では結局ロールに+5。エサイセヴァを足して+10やね。
ラング:じゃあ……斬ろか。
スカイニット:ほんま、大丈夫かいな。
ラング:しゃあないやろ。他にやることあらへんし(笑)。
シアン:「クコー、危ないよー」(笑)。
クコ:汗をたらーっと流す(笑)。
シアン:あ、(MP切れで)魔法使えなくなりました。
GM:あぁ。ちょっと休憩が必要ですね。す巻き状態で目が回る小人の耳に、「クコッ、覚悟ーっ!」という素っ頓狂な叫びが聞こえる。
クコ:「なっ、何ぃーっ」(笑)。
GM:「お命頂戴っ」(笑)。
ラング:「ゴメンッ!」(笑)。(ガシャン)……
クコ:「目をつむるなーっ」(笑)。
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