■ scene 04
〜時間差ツッ込みと、外人化する日陰者〜
ハックル:「その歌会というのは、女性限定なのかね?」
GM:いや。実際にはノド自慢大会みたいなものやから、誰でも参加可能です。ただ、一応『歌姫コンテスト』なので、女装は必要みたいです。仮に歌が下手でも最低、ウケは狙えるでしょうし(笑)。
ピノ:愛嬌で説得(笑)。(ガシャン)……(編注:ここより以下、『GMと王子』、『その他三名』との異なる主題の会話が同時進行で行われています)
ハックル:「それなら私も出れるようだな」
GM:歌が得意なら是非どうぞ。
ピノ:愛嬌で20。
モノユニ:(ルールに詳しいセシルに)美麗で振っていいん?
セシル:うん。魅力値での交渉は、「自分は何々だから……」とかいったある程度の理由を付けて行えば、どの能力使ってもいいよ。
ピノ:美麗は8あるよ。(←この人魚の最高能力値。キャラとして、ちょっとアレです)
ハックル:「あぁ、歌の巧さか。それはちょっと無理かな。そもそも王子たる者、そのような変装など…」
GM:嫌なんですか?
ピノ:えっ、魅力で対決ですよね?
セシル:ただ、抵抗は同じ能力値でした方がいいと思うけど。この場合は愛嬌。
モノユニ:愛嬌で抵抗?
GM:(隣の会話に乱入)だから、相手の弱い魅力値を狙うんですよ。
モノユニ:(ガシャン)……無理(笑)。(編注:『愛嬌7』のピノに対し、モノユニは『愛嬌8』だったのですが)
ピノ:じゃあ愛嬌だから、じゃれ合ってる感じで説き伏せる(笑)。
GM:そんな風にじゃれ合ってると、ユイランが溜め息混じりに言う。「でも今回の歌姫コンテスト。またあのエウヴァさんも出るみたいなのよ」
ピノ:「エウヴァさん?」
ハックル:「誰だ? それは」
GM:『笑う子豚』亭とかで有名な歌姫です。「ほら、今日はこの店にも来てるわよ」とユイランが目で示す。『麗しのアムール』亭一階の酒場の、ちょっとお立ち台みたいになってる場所に、一人の美しい女の人が上る。25人の(笑)、客達が拍手を送ってる。
ピノ:歌姫にね?
ハックル:「ほほぅ。あの人のことなのか」
GM:そして彼女は静かに歌い始める。曲名は『ラウナレランの恋歌』っていう、彼女の得意な持ち歌。周りの客達を静かに聴き入られる程の力のある歌です。全員感覚で13以上振ってみて下さい。
モノユニ:それはもう、余裕ですね。(←『感覚9』)(ガシャン)……
ピノ:ははは(笑)。全然ダメ。(←『感覚4』)
GM:成功した人。
ピノ以外の三人:はーい。
GM:感動して投げ銭をしたくなります。好きなだけどうぞ(笑)。
ハックル:(パチパチパチと大仰な拍手)
ピノ:私一人だけ「あんな歌には負けませんわっ……えっ、王子っ!?」(笑)。
ハックル:「……素晴らしい」(笑)。
GM:ピノは王子の態度に愕然となる。
セシル:あー(歌姫の)名前なんでしたっけ?
GM:エウヴァ。「ヴァ」は「バ」でなくて「ウ」に点々の「ヴァ」ですよ。
ピノ:(笑)。
セシル:はいはい。
GM:あ、王子。いきなり金貨投げんでも、銀貨に両替してからでもいいですよ。
ハックル:両替してから投げる。「いきなり金貨など投げては、失礼に値する」
ピノ:(笑)。
ハックル:……(ガシャン)……銀貨一枚。
GM:少なっ(笑)。
モノユニ:お金ないから投げれない(笑)。
GM:なんか別の物でもいいよ。
セシル:「彼女が有名なエウヴァさんか」
モノユニ:「王子王子っ、彼女を是非、王国の歌姫にっ」(笑)。
ハックル:「ふむ……」
ピノ:「何を言っていますのっ、あんな人には負けませんわっ」 キーッ(笑)。
GM:対抗意識をメラメラ燃やしております。
セシル:「噂以上に綺麗な方じゃないですか」
GM:滅多に人を褒めないセシルから見ても、確かに彼女は力のある歌姫であることがわかる。
ピノ:くそーっ(笑)。
ハックル:「なんだセシル、あの歌姫が気になるのか?」
セシル:「いえ、そういう意味では……」
ピノ:「王子への愛では、私の方が上ですわっ!」……嘘つけっ(笑)。(←『……』の間に誰もフォローが入らなかったので、照れながら一人ボケ、一人ツッ込み)
モノユニ:(笑)。
ハックル:「ピノッ、大丈夫かっ」(笑)。
GM:王子は、すぐ隣でヒステリックになってるピノの姿に驚く。ユイランが話を戻す。「で、結局ピノは参加するのね? 歌姫コンテスト」
ピノ:「勿論、出ます。あんな方には負けませんわっ」
GM:「それからモノユニはどうするの?」
モノユニ:「えー?」
GM:「まぁ、コンテストは三日後だから、それまでに考えればいいんだけど」 あ、それからコンテストに出場する人は、持ち歌の曲名とか三曲ほど考えといて下さい。それに1D6振って技能みたくレベルを決めつつ。で、三日後の本番まで練習することによって、レベルアップもできます。
ハックル:「そうだな。モノユニも出てみたらどうだ?」
モノユニ:「えっ!?」
GM:交渉する?
ハックル:威厳で。(←13)
モノユニ:……威厳ないっ(笑)。(←5)
GM:では簡単に台詞など付けつつ、ロールどうぞ。
ハックル:「モノユニも歌は得意なのであろう。ならばここで自らの力を試してみてはどうだ?」
モノユニ:フードを深く被り直して、「お、王子。そ、それは……それはちょっと……」
GM:どうも女装をしなければならないということに抵抗があるようです。
モノユニ:いえ、それ以上に陽の当たる所に出るのが苦手で(笑)。
ハックル:「大丈夫だ。私が見ていてやる」
GM:セシル的にはどうなんですか? モノユニがお立ち台に上がるのは。
セシル:セシル的には……全然問題ないですよ。
GM:身も蓋も弁護もない。
セシル:その代わり、女装とかはしなくても、そのまま素で出ても大丈夫でしょう。
GM:まぁ森妖精やしね。
ピノ:紅一点(←自分)が美麗で負けてるし(笑)。
ハックル:「ということで大丈夫だ」
モノユニ:「ええっ!?」 せ、先生。これは抵抗出来ないんですか?
先生呼ばわりされたGM:威厳を持って語りかけてきた王子に、同じく威厳で抵抗してみて下さい。
ハックル:(ガシャン)……
GM:まぁ、魔数とか出れば抵抗できるかもしれません。(編注:『魔数』とは、各種族ごとに設定された1〜20辺りの数値で、2D10にてその数が出れば、もう一回オマケで追加ロールできるというもの。破壊と創造の神、デュールの影響が大きい人間族は13。(←出やすい。変化、予測不能の表れ) 調和と永続の神、イーヴォの影響が大きい妖精族は3。(←出にくい。不変、予測可能の表れ) などというように、各種族の個性が表れていたりもします)
セシル:(隣の王子の出目を覗き込みつつ、嬉しそうに)無理だな、31だ。
GM:抵抗できそう?
モノユニ:『0、0』とか出さないと無理。
GM:あ、それから潜在力とかも使っていいですよ。全部使い切ったら死んじゃうので、最低でも1は残しておいて下さい。(編注:『潜在力』とは、各種族ごとに設定された1〜100内の数値で、ロール前に宣言することによって好きなだけ達成値に加えることができます。ただ、一度使った数値は回復せず、もし全て使い切ると、真っ白に燃え尽きて死んでしまいます。これも、人間族は多く、妖精族は少なかったりします)
セシル:『0、0』が出れば抵抗できるよ。
GM:自動的に大成功か。それから『0、0』以外のゾロ目とか出た時も言って下さいね。ピンゾロ(←『1、1』 自動的大失敗)以外なら、その時の幸運状況で結果が変わってくるから。
セシル:うん。そやね。
モノユニ:神様助けてーっ(笑)。
GM:あ。あと『加護』もあったっけ。『信仰』欄にある神様に拝めば、神様が出てきて助けてくれるかもしれません。でも1%とかやったと思うけど(笑)。といったオマケルールも色々話しましたが、とりあえず威厳で対抗ロールしてみて下さい。
モノユニ:(ガシャン)……3と8。
セシル:失敗ですね。
GM:説き伏せられてしまいました。
モノユニ:「えぇーっ!」
ピノ:あははっ(笑)。
GM:素っ頓狂な声を上げる森妖精。
ハックル:「我がアムール王国の国土を広げる手伝いをしてくれるのであろう?」
モノユニ:「えぇーっ?」……えー、しか言えない(笑)。
ピノ:あ、じゃあ『アムール国の歌』も持ち歌に入れよう。
ハックル:「頼んだぞっ」
ピノ:「男として決断の時ですわよっ」
モノユニ:「え、えっ?……ヒトマエ、ウタ、コワイ」(笑)。
(一同爆笑)
GM:なんでそこで外人なんねん(笑)。
ピノ:「じゃ、周りにいるのはみんな、イソギンチャクと思えばいいんですわっ」
モノユニ:「お、王子。人には得手不得手というものがあると思うんですが。ダメですかね?」
ピノ:目隠しとかする?
ハックル:「では私が、王家に先祖代々伝わる、『度胸のつく歌』を伝授しよう」
GM:そやね。ピノさんも何やらアムール国に纏わる歌を歌いたがってたし、何か適当に作曲してもらっていいですよ。
ハックル:「そう。我が王国では度胸をつける為に、手に『アムール』と書いて飲む方法もあるぞ。王国の大河、アムールを飲みほす、という意味なのだ」
モノユニ:(開眼したかの如く)「……アムール!!」
(一同爆笑)
ピノ:わぁー、胡散臭ぇーっ(笑)。(編注:王子による胡散臭い慣わしと、それに対し大仰に驚く胡散臭い日陰者、その両方に驚かれています。今回のプレイヤ、全員芸達者で笑えます)
ハックル:「どうだ。これで度胸がつくであろう」
ピノ:「私も早速試してみますわぁ」
モノユニ:「そうかっ。さすが王子」 掌に『ペット』って書いて飲み干す(笑)。そして「えぇーっ」って、また脱力。あぁ、憂鬱な日々がまた始まるのか。やるせなさが体中に湧き上がる。
ピノ:(笑)。
|