■ scene 13
〜王子を想い、チョコシュー片手に愛を歌う人魚と、手助けした挙げ句、日陰者達にハメられた司祭〜
ハックル:「それは……盗まれたのか?」
GM:「『歌う壺』は今朝店を開くと、もうなかったんだ。この町の人達を疑いたくはないが、そういうことになるのかなぁ」
ハックル:「では盗難届を出さねば」
GM:「そんなもの、この町のどこに出しにいけばいいんだい? 小人の旦那」 王子とは知らずに、店主は尋ねる(笑)。
(ピノ):(笑)。
モノユニ:「小人の旦那ァ」(笑)。
(ピノ):あーもー、私がいたら(笑)。(編注:『その場にはいないキャラ』ということで、括弧表記にしています)
セシル:「教会ではないな」
ハックル:「教会ではないか。すると自警団?」
セシル:「詰め所のようなものがあるだろう」
(ピノ):色々あるんや。
GM:まー、面倒くさいから教会にしときますか。
一同:うわっ(笑)。
(ピノ):私が行かなくても、教会の仕事がまた増えた(笑)。
GM:まぁ詰め所でも自警団でもいいんですけど。ちなみにその中年商人の名前はペック。海賊の一味ではないみたい。
モノユニ:あ、別口。
ハックル:ほほぅ。
GM:うん。ただのくたびれた中年オヤジ。
(ピノ):あー、そうなん。
GM:というわけで、くたびれた商人ペックの目玉商品探しを、勝手に引き受けたモノユニ。みんなが怪しげな目つきで君を見ている(笑)。
モノユニ:とりあえず黙る。
(ピノ):あ、ダンマリ(笑)?
GM:こんな奴に任せておいていいのかって、気になってくる?
ハックル:「そうだなぁ……」
セシル:(白々しく)「まぁ、一見胡乱に見えますが、案外誠実なところもあるので、この件は彼に任せておいてもいいでしょう」
一同:(笑)。
モノユニ:押しつけられたって奴(笑)?
(ピノ):店主、見放されたー(笑)。
GM:ペックがモノユニの手を握って言う。「頼むよ。あんただけが頼りなんだ」
モノユニ:「任しとけ。あんたの為なら、俺、がんばるよ」
GM:「うれしいなー。この町に来て、やっといいことがあったよ」
ハックル:「安心するがいい。モノユニに任せておけば、なんでも見つけてくれるだろう……でも爺さんは見つからんなぁ」
モノユニ:「な、何を言ってるんですか王子」
GM:「お爺さん? お爺さんって誰のことなんだい?」
モノユニ:「ヨザックさんという老人を捜していてな」
GM:「ヨザック? この壺にもそんな名前が書いてあるな。困った爺さんもいるものだ」
モノユニ:「あ、ペックさん。その壺は、いきなりあったってことだよね」
GM:「あぁ。今朝店を開いたら、テントの傍らに置いてあってね。うちの目玉商品、『歌う壺』が代わりになくなっていたんだよ。ひょっとすると、そのヨザックって爺さんが、自分の酒瓶の代わりに持っていったんじゃ
ないかなぁ」
(ピノ):あらっ!?
モノユニ:「その代わり、か」
GM:「間違えて持っていったとか」
ハックル:壺の名前はどこに書いてあったんですか?
GM:普通に、膨らんだ腹の部分とか。あれ、酒場であるやん。いわゆるキープのネームボトルってやつ。
一同:はいはい(笑)。
ハックル:「するとこれは、ヨザック爺さんが使っていた酒瓶ということになるのかな?」
GM:マジックイメージで閃いてみます? そんなことを呟きながら王子が壺を眺めていると……(カードをシャッフルしつつ)……はい、どれでも好きなのを引いて下さい。
ハックル:とおっ……<鳥>。
GM:急に何かが羽ばたくようなイメージが浮かび上がります。その酒瓶をうれしそうに振り回しながら、町中を駆けめぐる酔いどれ老人の姿とか。広場で蝶のように踊ったり。屋根づたいに飛び回ったり。
ハックル:「どうやら、これは本当にヨザック爺さんの物の気がしてきたな」
セシル:「無くなった物は二つ、と言っていましたよね?」
モノユニ:『生きた毛玉』と『笑う壺』。
GM:『歌う壺』。「あぁ。両方とも、ペック商店の目玉商品だったんだ」と、商人溜め息。
モノユニ:苦労してるんだろうなー、と涙を流す。
セシル:「失った店の品は二つで、増えた物が一つ、なんですね?」
GM:「そうだなぁ。毛玉が無くなったのは、壺よりも少し前のことだけどね」(編注:『生きた毛玉』の話は、次の『リーン、珍獣を飼う』用の伏線。一行の関心がそちらへ向かい過ぎないよう、壺とは別件である点を示しつつ)
セシル:「毛玉は少し前?」
GM:「ああ。壺が無くなったのは今朝だけど、毛玉はもう一週間くらい前にいなくなったんだ」
セシル:「それは旅の途中に見失ったと?」
GM:「いやいや。その頃にはもうこの町に着いていて、店も開いていたんだ。年に一度の収穫祭だし、いいかき入れ時だと思ったんだけど」 ペックははぁーと、また溜め息。
ハックル:「他には何かないのかな?」
ピノ:(突然、呟くように)……凄ぇ、カルシウムそんなに入ってんねん。
一同:?
ピノ:(菓子袋の品質表示を示しながら)いや、カルシウムがこんなに入ってるのって……ごめん、進めて下さい。
GM:で? 何g入ってんのん?
ピノ:いや、だって700って、一日に必要な分のカルシウムが全部入ってるん。チョコシュー(クリーム?)のくせにっ(笑)。
GM:それだけ喰うわけにもいかんでしょ。
モノユニ:うむ。
GM:さて、といった感じで、露店の方は、もう訊かなくてもいいのかな?
三人:うん。
GM:では、再び広場に戻ると、ピノがチョコシュー片手に歌ってます。周りの客の反応はいかがな物でしょう。なんか振ってみる?
ピノ:何歌おっかな。
セシル:ピノは歌ってるねんね。
GM:うん。
セシル:あー、じゃあ、(ピノの)出た目で、手伝うか手伝わんか決めよう。
GM:はいはい。
ピノ:とりあえずまず、『麗しのアムール』がLv1で、かなりヤバげなので。「この歌だけはちゃんと歌えないといけませんわっ」……で、(ロールは)何で? 美麗?
GM:歌の技能と好きな能力で2D10。能力はどういう歌い方をするかによって変わります。
ピノ:『麗しの』やから美麗で。
セシル:あとは<詩歌>の技能とか。
ピノ:あっ、<麗しのアムール>以外にも、<歌唱>とかも足していいん?
GM:うん。全部足していいよ。(編注:ロールに足す技能は、基本的には一つにするべきですが。ピノの低能力を考慮し、複数可能としました)
モノユニ:何を足すん?
GM:<歌唱>と曲名やね。
モノユニ:あ、曲名か。
ピノ:(ガシャン)……全部で……22です。
GM:それなら、結構ウケは良かったみたいです。道行く人達も、ピノの歌声に足を止める。「お? あの娘さん、結構いい歌歌ってるじゃないか」とか。
ピノ:「麗しのアムール♪」(笑)。
GM:しばらく歌っていると……(ガシャン)……銀貨6枚ほどの投げ銭もあります。
ピノ:「私はここで王子を待つのー♪」みたいな(笑)。
一同:(笑)。
GM:すると通りの向こうから、小人の王子がトコトコやってくる。
ハックル:なはは(笑)。トコトコと。
ピノ:では、「あっ、そこに見えるのは王子っv」
GM:ピノの歌にいい気分でノッていた通行人達は、小人を見て驚く。「えっ、あの歌に出てた『王子』って、あの小人のことかよー」 あからさまにガックリしたようにクールダウン(笑)。
セシル:クールダウンはマズいな。コーラスでもつけて持ち直してあげよう。(ガシャン)……28ですな。
GM:歌も上手かったんですな、司祭様。やってくる王子の背後でコーラスをつけることによって、無理矢理通行人達の気分を高揚させるセシル。
モノユニ:うわー、また目立つことをー。
セシル:楽しい歌はやはり盛り上がらないと。
ピノ:『麗しのアムール』って、楽しい歌やったん? 夜な夜なバルコニーで歌う歌やのに(笑)。
GM:とにかく広場の人達は、再び人魚の歌う王子の歌に感動したようです。曲レベル、上げといてくれていいですよ。
ピノ:いいっすか? Lv2?
GM:えー、2D10振って、その技能レベル以上が出たら、1D3上がります。Lv1なら、まず上がるでしょう。
ピノ:(ガシャン)……18。
GM:あとは1D6の半分。端数切り上げで。
ピノ:(ガシャン)……あ、6。
セシル:やから3。
ピノ:おーっ、一気にLv4。
セシル:コーラスしてあげたかいがあった。
ピノ:「司祭様っ、ありがとうございますぅー」(笑)。
セシル:「いやいや」
ピノ:「こんなに歌がお上手なのに、司祭様がコンテストに出場しないのがとても残念ですわっ」(笑)。
モノユニ:「いや、全くですよ司祭様っ」(笑)。
GM:交渉する?
セシル:あっ、そう来ましたか(笑)。
|