■ scene 15
〜台所で閃いた挙げ句、壺を中心にオカシな体勢になり始める人達〜
GM:エリナも急に冷めたような眼差しをピノに向ける。「何か……薬草でも煎じましょうか?」
ピノ:(笑)。
モノユニ:「大丈夫。この人には、もう何も効かないから」(笑)。
GM:あの、そろそろ各自の意見を王子に伝えて下さい。
ハックル:うむ。
ピノ:「あの歌は、ヨザックさん家の裏から聞こえたってことだし、その壺もヨザックさんの持ち物みたいですから、やはりお家の方に届けた方がいいのではないかしら」
GM:「私もそう思います。フローラさんが、ちょうど夕食の支度をしていたところだったと思うから、会いに行くといいと思います」
ピノ:「うん」
ハックル:「では、長屋の方へ行ってみようか」
ピノ:「はい、王子」
GM:えー、長屋の台所では、フローラさんが、鼻歌など歌いながら、タンタンタンとキャベツなど切っています。
ピノ:その鼻歌は?
GM:まぁ、同じ夜のメロディーってことにしておきますか。
ピノ:同じか。よし、<フローラの歌>と名付けておこう。
モノユニ:僕も聞こう。
GM:どーぞどーぞ。好きなだけ聞いて下さい。で、そのフローラが君達に気づいて言う。「あら、皆さん。結局、私の夫は見つかったのでしょうか?」
モノユニ:「遺品が」(笑)。
一同:こらこら(笑)。
GM:「えっ!? そ、そんなまさかっ」(笑)。
セシル:「いえいえ、遺留品が見つかったんです」
ピノ:「じゃ、まだお戻りになりませんの?」
GM:「はい。うちにはまだ……あ、学院食堂の方にはいませんでしたか?」
ハックル:「はい」
ピノ:「その代わりにこの壺が……」
GM:「あ、その壺は確か、うちの人が学院食堂で飲む時に使っていた壺だと思います。そう言えば、昨日も夕方から、食堂の方で随分飲んでいたようですね」
ハックル:「これは今朝、露店商の店の側に置いてあったそうなんです」
GM:「はぁ」
ハックル:「それで、代わりに店の壺を持って行かれたようだと、店の人が嘆いておられました」
GM:えー、全員、霊感で23以上出せますか?
セシル:(ガシャン)……余裕。
モノユニ:やぁっ……
ハックル:無理。
ピノ:無理です。
セシル:31。
モノユニ:29。
GM:じゃあセシルとモノユニはそれぞれマジックカードを一枚ずつ、どうぞ。
モノユニ:やったー、上から。(と、渡されたカードの束を引く)……<四角>。
セシル:……<三角>。
GM:と、同時にその台所から、強烈なイメージが湧き上がります。モノユニは<四角>が出たんですね?
モノユニ:はい。
GM:<四角>は囲うもの。つまり部屋ってことで、『コノ部屋ダッ』という、魔力のお告げを受信します。で、セシルは…
セシル:<三角>だから…
GM:それは『方向』ですね。『アッチダッ』という、台所の隅の暗がりを示す魔力のお告げを受信。なんとなく目を向けると、そこにはカマドがあって、その側にもなにやらあるようです。
セシル:ほほぅ。
ピノ:早い。さすがは本当の魔法使い達は違うなぁ。
GM:一人静かに、そちらに目を向けている司祭様。実はモノユニもそれに気づいてるんやけど、司祭の威光で、よく見えなかったり(笑)。
ピノ:目を細めてるん?
モノユニ:いや、視界には入れないようにしてるし(笑)。
セシル:(笑)。では、そちらの方に。探してみるとしよう。
GM:台所の隅へ向かったセシル。カマドの側に……こんな壺が見つかりました。(と、イラストを渡すGM)
セシル:わーっ、こ、これは(笑)。
モノユニ:あっ、僕より司祭が先に行ったんや。暗がり好きやのに(笑)。
GM:はいはい(笑)。モノユニはちょっと吃驚する。今まで輝かしい人生を歩んできたセシルが、おもむろに台所の隅の暗がりにしゃがみこんだりし始めたので。
ピノ:それは、吃驚するわ(笑)。
モノユニ:興味深く観察する。(うれしそうに)堕ちてきたかお前もっ、て感じで(笑)。興味津々で、ちょっと近づきつつ。
ピノ:でもやっぱり眩しい(笑)。
セシル:壺を手に立ち上がるよ。「モノユニ君。実はこんな物を見つけたんだがね……」(と、自分だけが見ていたイラストを、向かい側のモノユニとピノにも見せるセシル)
ピノ:……こっ、これわっ(笑)。
その紙切れには、いわゆる『ハクショソ大魔王の壺』が描かれていました。(しかも色付)
セシル:「これが例の『歌う壺』とかいう物ではないのかな?」
モノユニ:(壺に)「おい、歌ってみろ」
GM:……
モノユニ:……反応しないんや。じゃあフローラさんに訊いてみよう。「あの、フローラさん、この壺はなんなんですか?」
GM:「えっ? そんな壺、うちにありましたっけ?」
セシル:「あまり、いい趣味とは言えませんが」
GM:「まぁ、うちの人のことですから、変わった物を拾って持って帰ってくることも、よくありますねぇ」
ピノ:「おかしな壺ですわねぇ」
GM:「ですねぇ」
ピノ:その壺を見て何か?
GM:あぁ。霊感試すなら、全員24以上で。
ピノ:(ガシャン)……駄目ーっ。
ハックル:無理っ。
セシル:32。
ピノ:凄ぇ。
モノユニ:えー……29。
GM:では壺を眺めていたセシルとモノユニの頭に、こんなイメージが浮かび上がります。(と、今度はカードの束のランダム引きではなく、予め用意したイメージを言葉で記した紙と、それに伴うマジックイメージを数枚、セシルに渡すGM)
その紙切れには、『赤い首なし人がさまよう黒い丘状の迷路。その中央には青い円。円の上には、小さな生け垣。その中に一輪の百合と楽しそうな子犬達』という謎めいた光景が記されていました。GMがセシルに手渡したカードは、<赤><黒><青><白>、<山><小枝><百合><犬>の八枚。
セシル:……ふむ……
GM:他の人らに語ってもらってもいいですよ。とりあえずその壺に何か感じたらしいモノユニとセシルの動きが止まります。
ハックル:「ん? 二人とも、どうしたのだ?」
セシル:……このイメージを歌にして、みんなに伝えてみようかな。
ピノ:歌?
セシル:うん。<詩歌>に乗せて。
GM:<詩歌>に乗せて? いきなり歌い出すんですか(笑)?
セシル:うん。
GM:司祭様、突然歌い出しました(笑)。
ピノ:あはは(笑)
モノユニ:とうとうとち狂いやがったな(笑)。
セシル:いやいや、見た時のイメージやから、言葉で伝えるよりも、歌の方が伝わりやすいかな、と思って。
ピノ:あー、なるほど。
GM:とりあえずロールでもしてみて下さい。そこそこの数が出れば、みんなの頭の中に、セシルの歌による壺のイメージが伝わります。
セシル:(ガシャン)……38。
ピノ:おー、凄ぇー。バッチリや。
GM:それは大成功ですな。では、みんなもこのイメージ文を読んで下さい。(とセシルに見せた紙をみんなにも見せるマスタ)
ピノ:「……なんだか……おどろおどろしいような……それでいて美しいような……」
ハックル:「うむぅ……」
ピノ:「丘状の迷路……」
GM:他に何か試してみたい人とかいます?
モノユニ:僕、壺の中を覗いてみよう。
ピノ:「赤い首なし人がさまよう黒い迷路か……」
セシル:まぁ、壺は既に私が手にしていますが。
GM:ではそこへ、モノユニがうれしそうに近寄ってきています。
モノユニ:暗い中、見たい(笑)。
セシル:魔法のランプみたいにこすってみよかな。
モノユニ:擦ってる司祭の上から壺の中を覗くよ。
ピノ:なんだか妙なポーズになってきてる二人(笑)。
GM:王子的には? 覗くのはちょっと、背ぇ、届かんよ。司祭が手にしてるから。
モノユニ:下から見上げる(笑)。
ハックル:では下から見上げるか。
ピノ:「私に言って下さればよろしいのにぃ。持ち上げて差し上げますわっ」(笑)。
GM:何だか壺の周りで妙なことになってる集団。しかも台所やし。フローラさんもあっけにとられて成り行きを見守っている。
ピノ:全く。人ん家の台所で何やりだすんやら(笑)。
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