■ scene 17
〜絡み合う二人に飛びつく小人にしがみつく人魚〜
GM:セシルはどんな感じ? せっかく自分がクシャミして呼び出したというのに、大魔王はちっとも自分の言うことをきいてくれそうにないんですが。
セシル:ふむ……
ピノ:せっかくコショウかけたのに(笑)。
セシル:「仕方ありませんね。では最近、その<王子の歌>を聞いて招かれた御仁はいらっしゃいますか?」
GM:「ええ、います。あのうるさい老人までついてきたのは癪ですが、子供達が四人程、王子の招きを受けました」
セシル:「ふむ……で、その子らは今は……」
ピノ:「どうしておりますの?」
GM:「かの者達は、王子の離宮にて、楽しく過ごされております」
モノユニ:「離宮?……」
GM:「ええ。王子も久々に同じ年頃の子供達と遊ぶことができ、大層喜ばれております」
ピノ:「申し訳ないんですが、こちらの世界の方達が、かなり心配しておりますの。その子供達を探していたお嬢さんが倒れてしまう程に」
GM:「はぁ……」
ピノ:「なんとか子供達を帰して頂くわけにはいかないでしょうか?」
GM:大魔王に交渉でもしてみますか?
ピノ:うん。
GM:どんな風に?……泣き落とし?
ピノ:うーん……
セシル:(妙に優雅な口調で)「ここはみなさんで、合唱してみましょう」
ピノ:「『帰して下さいと』」
セシル:とりあえずさっきの歌を歌って、壺の反応を伺いましょう。
GM:え?……じゃあピノは普通に交渉?
ピノ:へ?
セシル:いやいや、ここはやはり、『虎穴にいらずんば虎児を得ず』ってことで。
GM:セシルは既に発声練習を始めてる、と。
ピノ:あ。じゃあそれを聞いて、「司祭様、何か名案が?」って感じで、あたしもなんとなく発声練習(笑)。
ハックル:王子もなんとなく歌ってもいい気分だな。
GM:じゃあセシルがみんなを纏めれたかどうかを試して、それから全員の歌をそれぞれロールしてもらうということで。とりあえず合唱の方、どんな能力使うんですか?
セシル:ふむ……ここは……素朴な歌やねんね?
GM:はい。
ハックル:哀愁?……そんな能力ないか。
ピノ:思いつきの歌だから、ここはいっそ度胸でいくとか。
セシル:……よし、みんな美麗でいこう。
ピノ:ありがとう(笑)。(←美麗のみ人並みの能力値な人魚)
GM:皆で美しい合唱が出来るかどうか試してみる、と。難易度は……18で。
ピノ:私達も?
GM:うん。全員でどうぞ。
セシル:(ガシャン)……いけました。24。
ハックル:おーりゃーっ! (ガシャン)……
ピノ:20、出ました。
モノユニ:24。
GM:王子は?
ハックル:「オ゛、オ゛ォォォーッ」(笑)。
GM:成る程(笑)。では皆の美しい合唱の中で一人、デスメタル調のしゃがれ声が。
ピノ:隣で歌いながら、「王子のそんなところも素敵っv」とか思いつつ(笑)。
GM:やはり王家の者は庶民とは違うんでしょう。色々と。
ハックル:しょうがないじゃん、11だし。
GM:痰の絡んだ山男風の声を出しながら、『しょうがないじゃん』と訴えるように、指揮をとるセシルを見上げる王子。
セシル:……
モノユニ:「お、王子っ!?」とか、しゃがんで王子を覗き込む。「なぁーんだ、王子にも苦手なことあるじゃーん」とか思ってる(笑)。
ピノ:ジロッて、日陰者を見る(笑)。
GM:セシル的にはどうなんでしょう? このまま壺に歌いかけると、約一名、足を引っ張りそうな人もいて、ちょっと不安になったりもするんですが。
セシル:まぁ……大丈夫でしょう。歌の技能持ってる人達もいることだし。
ハックル:がんばりましょう。
GM:では、歌の難易度は24。デスメタル調にその歌を歌う王子は-3の修正で。
ピノ:うーん、ちょっと高いなぁ。
GM:あ、潜在力とかも使えますよ。ロールする前に宣言して下さい。
ピノ:あー、もう振っちゃいましたー。しかも全部で19。
GM:じゃあまぁ、も一回潜在力足してやり直してもいいですよ。
モノユニ:基本的には美麗だけで判定するんですよね? 技能とかは?
GM:技能も大丈夫。ロールする前に潜在力を足すこともできます。0になったら死んじゃいますので、気を付けて下さい。
セシル:(ガシャン)……25。
ハックル:こっちは24+3の難易度27だから、潜在力を20使って8以上。これなら出るだろう。
モノユニ:王子の意地が試されるんですね。
ハックル:ハッ! (ガシャン)……ややっ(笑)!?
モノユニ:王子、素敵(笑)。
ピノ:あと1足りてないなんて……「だ、大丈夫ですわっ、王子っ。私も失敗しましたからっ」
モノユニ:慰めになってない(笑)。ちなみに私は成功してます。
GM:王子のデスメタルに引きずられるように、ピノの音程もずれてしまいました。歌いながら司祭が、腹立たしげに、その二人組を見てる(笑)。
セシル:とりあえず私は成功してるんですが。
GM:すると司祭の耳に、その壺の中から微かに少年のような声が聞こえてくる。君らの歌ってるのと同じ歌が流れ出してきます。それと、子供達の楽しげな笑い声も、聞こえてくる。少し驚いたように魔神が言う。「皆さんの歌が、王子に届いたようですなぁー」
モノユニ:(パキリとせんべいを囓りながら)ひとまず作戦大成功?
ピノ:(せんべいに手を伸ばし)あ、私も頂きまーす。
GM:そやね。もー一押しって感じです。
ピノ:もー一押し。
ハックル:頑張らねばならぬか。
セシル:まー相手は精霊だし。(モノユニに)霊感使って俺ら二人で、あと一押しするか。
ピノ:うん、ファイトッ(笑)。
モノユニ:えーっ!? よりによって、あんたと霊感交信?
GM:で、あと一押しって、デコボココンビで一体何すんの?
ピノ:それはもう、『光と影のハーモニー』でしょう(笑)。
(一同爆笑)
光:そうそう。主旋律が私で副旋律がモノユニということで。
影:やっぱりそういう役どころかい。
ピノ:渾然一体となった素晴らしい音楽が(笑)。
GM:ではその日陰コンビの霊感ソングは……難易度26以上ってことで。
ハックル:(隣のセシルのシートを覗き込み)……13以上か。<歌唱>は入るでしょ?
GM:うん。技能とかも足してくれていいですよ。
セシル:うー……(ガシャン)……オッケーッ!
ハックル:余裕じゃん。
GM:モノユニはプレッシャー?
モノユニ:いゃ、まぁ。余裕余裕。(ガシャン)……ほら、いけた。33くらい。
GM:二人とも、歌上手かったんですね。では、その壺を前にしたデコボココンビの光と影のハーモニーが台所に響き渡ると、突然セシルとモノユニの身体がヒュルヒュルヒュルーっと延びて、二人は壺の中へと吸い込まれて行きます。
セシル:え゛っ!? 二人っ!?
GM:うん。二人。しかもグネグネと絡み合うように(笑)。
モノユニ:よりによって、こんなマブしい奴とっ(笑)。
ハックル:ソレを掴まねばっ(笑)。
(一同爆笑)
ピノ:あぁーっ、王子ぃーっ(笑)!! 追っかける(笑)。
GM:では王子は運動17以上。
ハックル:17以上ね。
GM:ピノさんも、絡み合って壺に吸い込まれるセシルとモノユニに飛びついた王子にしがみつくん?
ピノ:うん。愛の力で(笑)。
ハックル:(ガシャン)……19、成功。
ピノ:(ガシャン)……12、失敗(笑)。おいてかれた(涙)。
セシル:ヤバいな。
GM:王子なんかします? 後ろでピノが掴まろうとしてたんやけど。
ピノ:「王子っ、足ぃーっ!」
GM:王子の足は短かったらしく、掴み損ねたみたいなんで。
ハックル:仕方ない、空いている手でカブトを脱いで差し伸ばす。「ピノっ、これに掴まれいっ!」
ピノ:ハリネズミのカブトっ!? 痛そーっ(笑)。
GM:壺に吸い込まれていく王子から差し出されたハリネズミカブトを掴むんなら……ちょっと痛そうなので運動16以上で。
ハックル:いや。ハリネズミのトゲトゲ部分は私が掴もう。
ピノ:「あぁーっ、王子ーっv」と感動しつつ、ネズミの鼻先を掴もう。
GM:では痛くないので難易度は14以上で。潜在力使ってもいいよ。
セシル:14で使うん?(編注:エリート司祭様には楽勝な難易度ですが、ヘナヘナ人魚には厳しかったりするわけで……)
ピノ:8点使って……って、この『潜在力』って回復するんですか?
GM:しません。0になると真っ白に燃え尽きて死んでしまいますので注意して下さい。
ピノ:おいてかれるのは嫌なのでやっぱり使って……(ガシャン)……はい、いけました。
GM:では台所にいた君達四人は、次々と壺の中へ吸い込まれて行きました。はい、ではこちらの地縁カードから一枚ずつ引いて1D6。書いてある文を読み上げて下さい。(と、『闇』の地縁カードを机の真ん中に置くマスター)
セシル:(カードを見て)なんか『闇』やし。
GM:そりゃまぁ、壺の中ですから。モノユニさんの大好きな闇ってことで。
モノユニ:やったーっ(笑)。
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