■ scene 23
〜現物支給によってボスにハメられた部下と、司祭がインチキ呼ばわりする奥の手を用意する人魚〜
GM:では早速コンテスト当日。結局、エントリーするのはピノ一人だけ?
ピノ:はい。
GM:モノユニは?
モノユニ:壺貰ってるからもう幸せ。
セシル:「モノユニ君。その壺は別に君の物というわけでもないんだが」(笑)。
モノユニ:「わかってるよ」(笑)。(←やさぐれ発音)
GM:そういえば歌コン前日に、あの露店の鍛冶屋から注文していた陰気なカブトを渡されましたよ。「ほら、持ってけっ」って。
モノユニ:「おっ!」 ガチャリと被ってみる。
GM:注文通り(笑)、元の形からはかなり歪んだ陰気なデザインになっていたらしく、王子的には我慢ならないドブネズミカブトに仕上がっています。
ハックル:「これはちょっと違うなぁ」
モノユニ:「シッポもだらしなく垂れていて、注文通りだ」
GM:「この陰気な旦那の言う通りにしたまでだぜ」と、鍛冶屋は言う。「こんなのでいいのかな、とはしゅっちゅう思っていたが」(笑)。
ハックル:「成る程。で、幾らだ?」
GM:あぁ、そうですね。(ガシャン)……銀貨4枚。
ハックル:「うむ」
モノユニ:「やったー」
ピノ:あ。私は結局ドサクサに紛れて新品のドレスは免れたみたい(笑)。
GM:で、セシルの方には、あの銀の飾り止めを…
ハックル:(モノユニに)「だが、それをあげたということは、やはりコンテストにも出てもらわないとな」
モノユニ:「……え?」
GM:物品と引き替えに王子から参加要請が下りました(笑)。
モノユニ:「ええっ!? ……俺練習とかしませんでしたよ、ボス」(笑)。
ハックル:ボスって(笑)。
ピノ:ま、数撃ちゃあたるってことで(笑)。頭数頭数(笑)。
ハックル:「ということだ。数撃てば当たるのだ」
モノユニ:「えー」
GM:ところで出場するピノとモノユニは、それぞれ持ち歌を三曲以上、決めて欲しいんですけど。曲名とか决まりました?
モノユニ:いや。もう出んでいいと思ってたんで。全く決めてなかったですよ。
ピノ:えーじゃあ私は、『我が麗しのアムール』と『漁火(いさりび)』、それから『波の子守歌』 あ、『サナンの思い出』を入れると四曲になってしまいますよ? 三曲にしないとダメなんですか?
GM:三曲以上なら何曲でもいいです。そこから歌いたい曲を選ぶって感じで。
ピノ:良かった。とりあえず『我が麗しのアムール』は外せないので(笑)。
GM:じゃあある程度レパートリーのあるピノさんが、モノユニに持ち歌を教えます?
ピノ:教えます(笑)。「とりあえず『漁火』の歌詞はこんな感じで…」と、仕込み始める(笑)。
モノユニ:「……え?」
ピノ:「これは朝早く、イカ釣り漁船に乗り込んだ漁師達のテーマで…」とか解説しつつ(笑)。
GM:あ、モノユニにはピノみたいなテーマソングはないの? 『日陰者のテーマ』とか。『ペット師匠万歳』とか。
モノユニ:いや、そういう華やかな芸はちょっと。とりあえずピノさんが歌うのを横で聞いておきましょう。
ピノ:歌います歌います。たっぷり仕込んであげます。
GM:では感覚15以上で、自分と同レベルの歌を教えることが出来ます。
ピノ:(ガシャン)……10。
GM:失敗ですね。
ピノ:はい。
モノユニ:イェーイ(笑)。
GM:では全て半分ずつのレベルで、モノユニはピノの持ち歌を伝授されます。
ピノ:ということは『漁火』はレベル2。
モノユニ:『漁火』……レベル2。(←復唱しつつ書き込み)
ピノ:『波の子守歌』は3。
モノユニ:子守歌は3……
ピノ:で、『我が麗しのアムール』がレベル2で(笑)。
モノユニ:レベル2(笑)。
ピノ:『サナンの思い出』がレベル3。
モノユニ:レベル3。
GM:はい。というわけで、時間もないので早速翌日。歌姫コンテストの開催です。出場者の参加受付が開始されています。出場するのがピノとモノユニということですが、残りの王子と司祭様はどういう行動するん?
ハックル:「司祭殿、どうしますかな?」
セシル:「ふむ……」
GM:ちなみに、コンテストはトーナメント勝ち抜き形式。勝ち負けは、当日参加者の中から選ばれた5人の客が審査員となって決められることになっています。それぞれ赤旗と白旗を挙げて、その数が多かった方が勝ちという仕組み。
ピノ:(相変わらず持ち歌の解説をモノユニに続けています)……でも『我が麗しのアムール』には、こう……空に降り注ぐ太陽とか……そんな明るい感じのイメージの曲なんで……(笑)。
モノユニ:大丈夫大丈夫。その辺りは、僕の方でアレンジして歌いますから(笑)。全部陰気に歌うから(笑)。
ピノ:『漁火』なんて、夜明け前の漁師の力強い歌なのに(笑)。
GM:歌の話をしてる二人、2D10振ってもらえます?
ピノ:あ、7ゾロ。
モノユニ:8。
GM:はいはい……(と、シナリオ帳に書き込み)……あ、良かったですね。トーナメント組み合わせ。二人がかち合うことはないみたいです。潰し合ってくれたら、それはそれでおもしろかったのですが(笑)。
ピノ:陰気なモノユニには負けたくない(笑)。
GM:では早速コンテスト開始ってことで。えー時間の都合上、この辺は省略します。(と、対戦図の片側に線を引くGM)
セシル:片ブロックは省略、と。
GM:エウヴァさん。あのアムール亭でも歌ってた歌姫さんが、準決勝まで勝ち抜いてきています。
セシル:(笑)。さすが本物の歌姫。
ピノ:えっ!? そんな人と対戦するんですかっ(笑)!?
モノユニ:こっちは一回戦敗退とかしそうやのに(笑)。
セシル:何言ってるんですか。君達はあそこまで勝ち抜かなくてはならないんですよ(笑)。
GM:で、問題の君らのブロックなんですけど……え、第一回歌姫コンテストに続き、今回も司会を引き受けているスカイニットが発表します。「では(第三ブロック)一回戦。対戦者は、薬師リーン対、日陰者モノユニです」
一同:(笑)。
モノユニ:わーっ(笑)。
ピノ:がんばってーっ(笑)。
セシル:あ、私。審査員として、そこに居ることにします。
GM:いつの間にか紛れ込んでいたと(笑)。
セシル:ええ。しかしながら判定は公平にしますよ(笑)。
モノユニ:さっき『勝ち抜け』とか言ってた奴が、早速邪魔しに来やがった(笑)。
GM:ほんまや(笑)。目つきが全然公平にする気じゃないみたいなんですが(笑)。
セシル:大丈夫大丈夫。ちゃんと公平にするから(笑)。文句はダイス目にでも言って。
GM:(ガシャン)……えー、病み上がりのリーンさんは、29出ました。
モノユニ:29ぅ?
GM:対するモノユニは、どの曲をどの能力で使うかを宣言してから、ロールして下さい。ちなみに使った曲と能力は、次の試合以降、使えませんので。
モノユニ:おーっ。
GM:後は潜在力使ってもいいし。家宝に誓いを立ててもいいし。パワーアップする方法はなんなりとあります。好きにして下さい。
セシル:私の判定は、<美学>を使って行います。
GM:はいはい。
モノユニ:技能に<歌唱>ってのも元々持ってるのですが、これは曲技能とかち合わないんですか?
セシル:<歌唱>は足せるのでは?
GM:そやね。複数の技能を足してロールするのは、基本的には良くないと思いますが、今回は<歌唱>+<曲>ってことで、OKです。
モノユニ:……ふつーに勝ち抜いていける気がしてきた(笑)。
セシル:(モノユニのシートを覗き込み)……そやな(笑)。
GM:って、その技能、そんなに高かったん?
モノユニ:<歌唱>5もあるんで。
GM:でもその技能に使える能力は毎回違うものを一個ずつなんで、絶対苦手な能力で振る必要も出てくる筈ですよ。
セシル:あぁ。つまり勝ち抜く気があるんなら、一番高い能力を後々まで残しておかなければならない、ってことですか。
GM:そういうこと。高い技能があっても、低い能力でロールする必要も出てくるから、毎回絶好調で勝ち抜けるってこともないかと。王子は何してるん? 司祭様は早速、どちらにしようかなーとか、審査員席で赤旗白旗を楽しげに眺めていますが。
ハックル:王子は……普通に応援だ。
ピノ:あの、魔法で歌心を増幅させるというのは……アリ?
セシル:それはインチキでしょう(笑)。
GM:いや、もう何でもありでええよ。
セシル:ありなん(笑)?
GM:ありにしないと多分、勝ち抜けない(笑)。
ピノ:じゃ<紫>と<ランプ>と<犬>で、『暖かい音で皆を和ませる魔法』とかって、出来ます?
GM:出来ます。今舞台で陰気な歌を歌い出そうとしている人には逆効果かもしれませんが(笑)。
ピノ:あ(笑)。じゃあ、あたしん時に使お(笑)。
GM:最後の非常手段にでもとっとくといいでしょう。で、ついに舞台に上ったモノユニは? 一斉に観客達の注目を浴びますが。
モノユニ:うわっ、降りたいなぁ。
GM:でも陰気なカブト分のノルマが王子から言い渡されてますし(笑)。
モノユニ:あ……仕方ない……一回戦だけ勝っとこ(笑)。(←勝てるものと思ってる人)
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