■ scene 26
〜他人任せに唱えた呪文と、全く信用されてない審査員〜
GM:モノユニは、呪術師の師匠から貰ったダン(←杖)がありましたよね? あれには元々<黒>の魔力源が込められてるから、後は手持ちのイメージを組み合わせて、どんな魔法を使いたいが考えるだけなんですけど。
モノユニ:むー。(手持ちのカードを眺めて考え始める)
GM:王子の拍手効果の方、先にいきましょうか。観客にどうアピールするんですか?
ピノ:……威厳(笑)。
モノユニ:威厳(笑)。
ハックル:(威厳溢るる声で)素晴らしい(笑)。
ピノ:王子、威厳が溢れてますわっ(笑)。
GM:そんなもので審査員まで納得するかどうか。
ピノ:とりあえずあたしは、アムールの歌で勝ったから、結構満足してるんですけど(笑)。
GM:では威厳26以上で、一人の審査員の旗の色を、無理矢理変えさせることができるかもしれません。
ハックル:無理矢理というのが腑に落ちんが(笑)。魔法もないし仕方ない、13の威厳で26以上か……
モノユニ:(GMに)これってカードは何枚くらい使えるんですか?
GM:だいたい3枚くらいで。それ以上でもいいけど、多すぎても難易度高くなるだけやから。
ハックル:ほぅっ、(ガシャン)……とりあえず、29。いや、もっといくな……32。
ピノ:おおっ。
GM:ではフローラに旗を上げるつもりだった審査員の一人が、腑に落ちない顔で、ピノの方に旗を上げてしまいました。2対1。ピノが少しリードしています。で、モノユニは結局どうするんですか? こんな日陰者に一行の運命が掛かってると思うとアレなんですけど(笑)。(マジックイメージ解釈一覧表を見ているモノユニに)あぁ、そんなんいちいち見ない方がいいです。カードの絵から、適当に連想して言って下さい。
モノユニ:え?
ハックル:波をイメージさせろ。
モノユニ:ええっ?
ハックル:ザバーンと(笑)。
ピノ:審査員を漁師気分にさせて(笑)。
セシル:(モノユニのカードを眺めながら)<百合>もあるし<四角>もあるやん。
モノユニ:へ?
セシル:<百合>ならピノの美しさを引き立たせることもできるし、
ピノ:<四角>は調和。場を和ませるとか。
GM:<小枝>は成長、増幅させる意味もあるし。そういったカードを組み合わせれば、ピノの歌を聴いた観客の気持ちを、さざ波のように増幅させることが出来ます。<黒>は創造の力になるし。
モノユニ:……なんだかよくわからないままなんですが。じゃあ、それで。
ハックル:うむ。それでいこう。
ピノ:そうしてくれると嬉しいです。
モノユニ:……うん、それで。
GM:それでそれでって。さっきからなんか、めっちゃ他人任せな呪文なんですけど(笑)。唱えるのは自分ですよ。せめて呪文名くらいは決めて下さいな。
ピノ:『魅惑』とか?
セシル:美しさを引き立たせる魔法だから、そういった感じで。
モノユニ:呪文名ですか……難しい。
GM:『ピノ最高』にでもしとけば(笑)?
ピノ:まぁ(笑)。
セシル:それはダメだ。汎用が効かないから。固有名詞は使わずに、それらしい名前を付けるのがいい。
GM:『投げ網最高』とか。
ハックル:素直に『最高』にしておきなさい。
モノユニ:あぁ。まぁ、そんなんで。
GM:難易度は<黒>10、<百合>5、<小枝>5、の霊感20。そこからMP1ポイント以上減らしたとして、19以上ってところですが。
モノユニ:うん、まぁゾロ目以外は成功すると思うんで。(ガシャン)……はい、成功。
GM:「最高ーっ!」という叫びが突然審査員席からも上がります。舞台の方では、ザザーッとさざ波の音なども心なしか聞こえてきて、歌い終わって網をたぐり寄せていたピノの美しさが際だったりする。それを見た観客達も驚きの拍手を上げる。「おおーっ、まだこんな演出があったのかーっ」とか。
ピノ:網を引き寄せつつ、「ふぅーっ」とか言って、汗をぬぐう仕草など(笑)。
GM:なんか歌以外で目立ってる(笑)。とりあえず、王子に続いて観客達もそんなピノに拍手喝采。残り二人の審査員の内、一人が騙されたようにピノの方へ旗を上げる。ピノ、準決勝進出です。
ピノ:ゴメンね。お婆ちゃん。
GM:準決勝の対戦相手はミシュリ。今回からは相手の達成値を伏せることにして、(ガシャン)……
セシル:ピノの歌は?
ピノ:今回は『波の子守歌』を歌います。精霊さんの力も借りて、(ガシャン)……えー、25に15を足して……40……です。
GM:それはかなり高い達成値ですね。今度はかなり心を込めて歌ったらしく、観客からの拍手も大きい。サクラの拍手が聞こえなくなるほどに(笑)。
一同:おおーっ、パチパチパチ。(←と、皆で拍手)
ハックル:で、判定は?
GM:ミシュリの歌もかなり良かったので、判定は微妙なところ。ピノが歌い終えると、審査員が旗を上げます。赤、赤、白、白…
モノユニ:負けたっ!?
GM:…で、セシル。
セシル:俺かい。
(一同爆笑)
ハックル:また司祭殿か(笑)。
GM:今回は赤がミシュリ、白がピノです。
セシル:むーっ……
GM:技術的にはミシュリの方が上なんやけど、ピノの魂を震わす歌も良かったと。ちなみにミシュリの達成値は38。で、ピノが40と。
セシル:むむーっ……
ピノ:なんかとっても微妙ね(笑)。
GM:司祭様はすっかり憔悴しきって、苦悶の表情を浮かべてたり。
セシル:……(ガシャン)……(無言のまま、おもむろにダイスを転がす司祭様)
ピノ:モノユニ。また『最高』とか唱える(笑)?
ハックル:司祭殿が赤旗を上げた瞬間にな(笑)。
モノユニ:誰もエリートを信じてない(笑)。
セシル:……いやいや(笑)。こちらのサイの目でも、ピノの方が上と出ましたよ。白旗を上げます。
ピノ:「王子、やりましたわーっ!」(笑)。
ハックル:「ピノよ、よくやった。あと一勝だ」
セシル:こっちの判定は32と38でした。
GM:ではついに決勝戦まで進出したピノ。
ピノ:って相手はあの歌姫エウヴァさんやろー?
GM:はい。というわけで、とっととエウヴァの演奏を始めさせて頂きます。(ガシャン)……
ピノ:(マスターのダイス目を眺めながら恨めしそうに)……なんでそんな『15』とか出してるんですかー(笑)。(編注:2D10の最高値は20ですから、そこそこいい目)
GM:はい、歌い終えました。彼女はやはり、あの酒場でも歌っていた『ラオラレランの恋歌』という得意な持ち歌を決勝戦に持ってきたらしく、彼女のその歌声が響き渡るや、会場は一瞬静まりかえる。あの「ピノ最高!」とか叫んでいた王子まで黙り込んでしまう。
ピノ:「おっ、王子っ!?」(笑)。
GM:そして彼女の歌が終わった途端、会場にこのコンテスト一番の拍手が巻き起こる。「エウヴァ最高!」とか王子の叫びも混じってたりして(笑)。
ハックル:いや、まぁ……(笑)。
ピノ:あの、エウヴァに王子を持って行かれたら、それこそ生きていけないので、私は潜在力を惜しげもなく使います。
(一同爆笑)
GM:結局王子的にはどうだったんですか?
ハックル:む。心惹かれて、「いい歌だ……」とか言ってる(笑)。
ピノ:王子ぃ。
モノユニ:王子は感銘を受けてます(笑)。
GM:他の人達はどうします? ピノはすっかり顔面蒼白で弱ってるみたいやけど。歌う前になんか力貸してあげるとか。
ハックル:じゃあ……
ピノ:いや。もう王子の為になら、歌って燃え尽きてもいいっ(笑)! それが本望です。
GM:なんか悲壮な決意してます。あのー、見物人の三人、感覚で16以上振ってもらえますか?
ピノ:ピノは王子の為に死ぬ気で歌いきります。
セシル:……あ、私8ゾロ。大成功です。
GM:了解。
ハックル:こっちも出目で17。
モノユニ:成功。
GM:じゃあ三人は気づく。舞台の袖にいる人魚が、この決勝戦で命懸けで歌おうとしてることに(笑)。なんか命果てる気ですぜ。
ピノ:あ! それで噴水広場に銅像たったらかなり素敵やん。もうちょっと潜在力使お(笑)。
(一同爆笑)
GM:というわけで、三人には、ピノの本気がひしひしと伝わってきます。
ピノ:とりあえず潜在力20点つぎ込みます。あと10点しか残ってないや(笑)。あとイェビス爺さんの力も借りて……
モノユニ:おおーっ。
GM:「歌姫エウヴァさんの歌が終わりました。それでは次に、人魚のピノさんの心のこもった演奏です」と、スカイニットが司会を進める。いよいよ最後の演奏です。
セシル:そこまで本気の心意気なら、心残りのないよう、審査してあげましょう。
モノユニ:看取る気かい(笑)。
ハックル:(笑)。
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