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■『金の瞳の女神 act2』/02

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■ act 2-2 M'1949/04/19
〜死を告げる自称天使〜

GM:えー、時はマキロニー暦1949年4月19日。夕暮れ時になって、君らはようやくレールスの街へ帰ってくる。
ハス:デュート=リグ量産機は街の外れに不時着しておいて、あとは『もしもしチャペル』(イルナ宅)まで歩いて帰るわ。
GM:了解。では君らがラクター通りに面する『もしもしチャペル』に帰ってくる頃には、辺りは既に薄暗くなり始めている。その薄闇の中で屋根やら二階のガラス窓や壁の一部などがふき飛んだ、見るも無惨な小汚いイルナの家が、両隣の大きな家と家との間に押し潰されるような感じで建っている。
ハス:容赦のない情景描写やな(笑)。そーいえば、ヤクルト博士は元気かなぁ。
GM:一階のひび割れたガラス窓から、微かな明かりが漏れてるけど。
ハス:扉を蹴り開けて入る。「ただいまーっ、ヤクルト博士!」
GM:一階の居間に飛び込んでいったハス。部屋の中央の丸テーブルには、青いローブをまとった人が君達に背を向けたまま座っていて、バリバリと何かをかじりながら新聞などを読みふけっている。
ハス:「なんですかーっ!! あんたはーっ!!!」
GM:ハスの絶叫に相手は気づき、こちらに振り向くよ。奇麗な緑髪の女性やけど、その口にはあの雪の都の特産品『雪の宿』せんべいがくわえられたままや。
コール:おいしそー。
GM:ハスと目があった彼女はくわえたままのせんべいを口に放り込み、口をとじたままゆっくりバリバリいわせた後、熱いお茶らしきものをゆっくり味わいながら飲んで、ほぅと一息つく。
ハス:こっちはそれを緊張しながら見てるわけやな。
GM:その間約3分。
一同:(笑)。
ハス:おいおい(笑)。ちょっとアンタ……
GM:「どーもお邪魔してます」と、愛想笑いなどを浮かべてる。君らは知ってる人やと思うけど。
シルバート:なんとなく分かる気がするが、実は今、気絶状態やねん。
GM:じゃあ今、ふと目が開いた。
ハス:ギャハハッ! さすがドクター(笑)。
(ソフィ):30過ぎの女日照り。
シルバート:うっ……いや、やっぱりコテチンといっとくわ。(シルバート大塚によるテ注:ソフィーの言葉がグサッときたぜ)
GM:なんや。また気絶か。他の二人は?
ハス:知らんぞ!そんな奴!! アルテミスの知り合いか?
GM:彼女も知らんらしい。で、変質者は?
コール:残影権!!

   (一同爆笑)

ハス:なにが残影権だぁーっ(笑)!!!
コール:すまない。(編注:以上、侍魂を世に出した会社による別の格闘ゲーム、餓狼伝説より。主人公の弟の必殺技で、肘を突き出して相手に突進する攻撃。ちなみにこの餓狼シリーズの1999年作品、mark of the wolvesは、隠れた名作と評判。個人的には、この大阪の格ゲー会社最高の完成度を誇る傑作だと思います)
(ソフィ):謝るんなら最初から言いなさんな(笑)。で、みんなほんまに知らんの?
コール:「あ、あなたはこの前、助けてくださった方ではございませんか?」
GM:「ええ。そうよ」やって。ほれ、彼女は前回というかゲーム時間では今朝、ヴァルモン軍の兵士達に囲まれてた君らを魔法で助けてくれたラビエル民族の商人、リアラって名前で…
ハス:あーっ!! 思い出した!
GM:リアラは君らがアルテミスを連れてきてるのを見て安心する。で、まぁそんな感じでみんなで一息ついてると、開けっ放しの扉をくぐってヤクルト博士が帰ってくる。
ハス:「ヤクルト博士、アルテミスを取り返しましたよ」
GM:「うん。よくやってくれた」 博士は近くの大衆食堂まで晩ご飯を食べに行っててん。ところでソフィはその食堂で働いてるわけやけど、そこでヤクルト博士から色々面白そうな事を聞き出した、と。で、持ち前の好奇心で、博士の後を尾けてきたわけ。
ソフィ:うん。家の前の電信柱にでも隠れながら中の様子を伺ってる。
コール:なんで電信柱が(笑)。
GM:あるねん。この家の前だけにな(笑)。
シルバート:セミのようにひっついてるん?
ソフィ:いや。星ヒューマの姉さん状態や。
一同:なるほど(笑)。
GM:家の中ではリアラがヤクルト博士に、ちょっとした贈り物があると言って地下室にみんなを呼ぶ。
ソフィ:あたしはその隙に家の中に忍び込み、階段の上から地下室を覗き込んでる。
ハス:なんちゅー娘や。
GM:薄暗い地下室には何やら大っきな物が置いてある。リアラが布のカバーを外すと、中からは見たこともないような奇妙なデザインのエンジンらしきものが鈍い銀色に輝いている。「これが超科学アート=アルケミーによる最高の動力機関、無限エンジンよ」
一同:おぉーっ!
ハス:こ、これが無限エンジンですか……
GM:ハスの隣ではヤクルト博士があんぐりと口を開けたままよだれを垂らし、目だけをランランと輝かせている。「こ、こんな物、貰っちゃっていいんですか!? 私は金貨1000枚なんて持ってませんよ」と震える声で言う。それに対してリアラは、「いいんですよ。あなたなら正しい事に使ってくれるでしょ?」と言って笑ってる。それを聞いた博士はうれしさの余り、不可解な叫びをあげてエンジンに飛びつき、頬擦りし始める。
ハス:は、博士……
GM:感無量の博士をそのままに君らは再び一階へと上がって行くけど、ソフィはどうする?
ソフィ:そやね。足音を立てないようにして丸テーブルの下にでも潜むわ。
一同:(笑)。
シルバート:そこまでして隠れる必要もないと思うが。
GM:そんなソフィはさておき、リアラがまた話し始める。「今から言うことが、ここに来た本当の目的。アルテミス、あなたにこれをつけてもらいたいの」と、懐から青い宝石のはまった指輪を取り出す。彼女が言うには、今のアルテミスは額の『ルナークの瞳』っていう緑の結晶によって、うなじに取りつけられた機械を制御してるんやけど、それでもまだかなり不安定な状態らしいわ。そこで万が一、うなじの機械が発動してしまった時にこの指輪が一時的ではあるけど役に立つだろう、やって。「つける、つけないは皆さんで決めてもらって結構。まだ会ったばかりで信用しろというのも無茶だしね」
ハス:指輪、か。
GM:一応指輪はシルバートに渡しとこか。
ハス:気絶してたんちゃうんか!?
GM:目を半開きにして話は聞いていたと。
シルバート:「血、血が足りない……」
GM:(笑)。やっぱりハスに渡しとくわ。
ハス:じゃ、とりあえず頂いておくけど。さて、これをはめさせるべきか否か。
GM:「私はリアラさんの言うことを信じてもいいと思います」と、アルテミス。ヤクルト博士は未だ地下室や。
ハス:ふーん。でコールはどう思う?
コール:「今日は疲れたな。ゴキゴキ」
ハス:肩なんか鳴らしやがって。俺に判断を任せる気か。
コール:「それよりシルバートさん。あの、そろそろ寝ませんか?」
GM:アンタ……いきなり何を言い出すか。
コール:ベッドに呼び寄せる。
ソフィ:なんか、やらしい表現(笑)。
シルバート:私はさっきから寝てるぞ。
GM:じゃあ二人そろって診療所のベットにでも寝始めたことにしておいて。結局指輪はどーすんの?
ハス:じゃあつけとこか。アルテミスの手をとってはめました。
ソフィ:ちょっと待ったぁ!
ハス:へ?
ソフィ:ハスがアルテミスの手を取るときにテーブルの下からスッ、と手を突き出す。

   (一同爆笑)

ハス:俺は気づかずその手を握ってはめるねんな。我ながら間抜けやな(笑)。
GM:「あの、これ私の手じゃない……」と、困り顔のアルテミス。
ハス:「なにーっ! なんじゃこりゃー!!」と叫びながら、指輪を引き抜こうとするぞ。
ソフィ:「フッ、無駄よ無駄無駄無駄ぁぁぁぁぁっ!!Fuuuu」 手を握る、グーッ!
ハス:「な、何者!?」
GM:ハスがその手を引っ張ると、丸テーブルの下からニタリと笑う大衆食堂の娘が現れる。
ソフィ:「この指輪はあたしの物よ!」
ハス:「大衆食堂の娘がなんでこんな所にいるんだーっ!!」
ソフィ:「おや? 何のことかな。あたしはただの大盗賊、ソフィ」
ハス:「なにが大盗賊だーっ!その指輪を返せっ!!モンキーレンチを構えるぞ!!」
ソフィ:「おやおや。いいねぇ、活きのいいのは」と、暗殺針を手に忍ばせてとく(笑)。
GM:そーやってハスと睨みあってる隙に、リアラが指輪を抜き取るよ。
ソフィ:あーあ。
GM:「そんなことをしてるより、これを見て」と、リアラがさっきまで読んでいたらしい新聞をテーブルの上に広げるよ。
ハス:どれ、覗き込むぞ。
GM:どうやら今日発行されてばかりの最新号らしく、見出しにはでかでかと『旧ユークリード、帝国軍に包囲される』とある。
ハス:(地図を指さし)ここやな。
GM:ああ。その記事をよく読んでみると、2日前、旧ユークリードの都へヴァルモン帝国軍の戦車部隊、80台近くが北の浮動国境を越えて侵入し、都を包囲したとのこと。都の住民にはまだ被害は出ていないが、都の中心にある城を開け渡すように要求しているらしい。また、フィラム軍がこちらへ来るそぶりでも見せようものなら住民の命はない、と脅してもいるそうや。
コール:なんかスケールのおっきな話やね。
ハス:フィラム……どっかで聞いたな。
GM:ペトルシア国の隣にある強国や。で、それに対してリアラが言うには、都の住民がどんなに開け渡しを拒んでも時間の問題やって。何でかわかる?
ハス:飛行船かな。
GM:当たり。今朝この街を飛び立ったあの巨大軍用飛行船が、ヴァルモン帝都への帰路にあたることもあってか旧ユークリード方面に向かってるねん。あんなもん見せつけられたら都の住民も(テ注:以下、ハスの声にかき消されて解らない)
ハス:ウヒャヒャ。この街も散々やったからなぁ。
コール:でもなんでそんな所を包囲しだしたりしたんやろ。飛行船と関係あんのかなぁ。
GM:アルテミスを狙ってるのが帝国軍だけでないとしたら?
ハス:各国の注意をそらすんか! この件で。
GM:そやな。わざわざ包囲している都へ飛行船を向かわせれば、各国の軍事機関も、アルテミスがその飛行船に乗っている可能性が高いと考えるはず。で、その隙にヴァルモン軍は、アルテミスを地方鉄道で学究都市、そこからは大陸鉄道で帝都まで連れて行こうと計画していたということやろな。なんせ大陸鉄道なら、他国の襲撃を受けることもなく、一番安全に帝都まで行けるルートとも考えられるから。
ハス:へっへぇ。しかしその途中に、俺ら予想外の妨害が入ったと言うわけやな。
GM:ま、そんなことを話ながらみんなでテーブルを囲み、雪の宿などをかじってる。いつの間にかソフィも椅子一つ占領してるわ。で、明日からみんなどうするつもり?
ハス:敵さんがまたアルテミスを奪いに来るかもしれんけど、今は無限エンジンの改造に着手だーっ!と、階段降りてくわ。
GM:部屋の隅のベットの上の二人は?
コール:よだれ垂らしとく。
GM:流血シルバートはどうする気? 目を覚ましたことにして一言どーぞ。
(ハス):そうか、ドクターあの大佐に切りつけられて重症やってんな。
シルバート:「うぅ。明日のことってもなぁ」
ソフィ:「もうそんなこと悩まなくてもいいのよ。あなたは死んだの。そしてここは天国!」
GM:丸テーブルの上で微笑む怪しい娘。
シルバート:「あんた、大衆食堂の娘さんか。やれやれ、またこんな所に来て……」
コール:こんな所って……(笑)。
ソフィ:「おや、何のこと? あたしはただの天使。ほほほほ。あなたは死んだのよーっ!」
(ハス):どーする、こいつ?
シルバート:ひとまず……ほっとく。
一同:(笑)。

── 結局、今後の事もほっとかれていた。

 しかしそれではマスターが途方に暮れてしまうということで、アルテミスの手料理などを食べながらみんなで今後の方針を検討し始める。

GM:ようやく地下室から上がってきたヤクルト博士が言うには、各国の情報局みんながみんな、旧ユークリードに注目するとは限らず、昨日のこの街の騒ぎや今朝の地方鉄道の一件に気づいた者もいると考えた方がいいだろう、やって。となると、今もこの街が監視されてる上に再び帝国軍が襲撃してくるかもしれないので、我々としては軽はずみな動きは見せず、常に周囲に目を配っておく必要があるだろう、とのこと。

 なら殺られる前に殺ろう、と騒ぎ出したハスであったが皆にたしなめられ、とりあえずは、しばらく普通の生活をしつつ、辺りを警戒しておこうということになる。



 
 
 

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