■ act 4-11 M'1949/05/05
〜密航船内観光及び、偽名登録〜
GM:さて、次の日。君らは何してる?
ハス:今、飯喰ってる。
GM:昼飯?
ソフィ:もう時間ないやん。夜風の魔術師団が攻めてくる前に、クラーゼ博士かっ攫って脱出しようよ。
ハス:確かに、脱出準備はしといた方がいいな。
ソフィ:そうそう、この艦に小型の乗り物とかはないの?
ハス:非常脱出装置とか。
シルバート:そんなんでのほほーんと海に浮いてたら狙われまくりやん。
ハス:いや、違うよ。飛行艇タイプのやつ。ゼルディティスから飛んできた例の飛行艇を着陸させるような設備がある船なんやから、ここにも離着陸できるような飛行機械あってもおかしくはないやろ。
ソフィ:コスモゼ口でもコスモタイガ一でもかめへんから。そーゆう乗り物。(編注:某宇宙戦艦内臓戦闘機名)
GM:食堂でそんなこと尋ねられてもわからんよ。調べてみたら。甲板の下辺りとか。
ハス:(艦内地図を見ながら)この食堂の前方に、何やら広い空間があるな。
GM:一番下は積荷置場らしい。B2はまだ見てない。B1のその場所は、広間みたい。大小様々な機械類が、壁や床に所狭しと備えつけられている。それらから何十本もの導管が広間中央で横倒しにされた巨大な棒のようなものに接続されている。
ハス:波動砲みたいな感じやな。
GM:その棒の真ん中に何やら文字が書かれている。
ハス:読んでみる。
GM:『インフェルノ』
ハス:Inferno?
ソフィ:直訳すると『地獄』。
GM:その広間は階下の二つの広間より照明が明るく照らされ、作業服を着込んだ男達が忙しなく働いてる。計器類を確認したり、バルブを調節したり。さて、どうしましょう。観光ツアーのようにフラフラ艦内をふらついてる。密航団体客約5名。
ソフィ:ぞろぞろーっと行進。先頭の人が旗持って、『ここが地獄の間でございまぁす』って(笑)。
GM:で、どうする?
ソフィ:B2のここの空間、
ハス:確認しとこか。
GM:下行くってことやな。えーっと最初に行った積荷置場の真上に当たる部屋は、大広間というよりでっかい倉庫や。薄暗い照明に照らされた格納庫には、何十もの戦車が収納されている。
ハス:みんなヤークトバイパー?
GM:いや。君らが見たこともある主力戦車ヤークトバイパーは30台程で一番多いのは確かやけど、他にも色々あるよ。
ハス:そんなに大きかったんか、この船。
GM:後はやや小型ながら、バイパーよりも新型らしき洗練されたフォルムの戦車も15台程。昔帝国軍兵士だったコールにも見覚えがない。それと四本足の歩行戦車もある。
ハス:多脚砲台?
GM:ああ。
ソフィ:こんなん船に積んで何する気なんかな。
コール:上陸するんちゃう?
ハス:上陸作戦を敢行するのだ。
イルナ:ノルマンディーや。
GM:相当大規模な侵攻をやらかす意気込みが感じられる。
シルバート:港がないと、先に船が座礁しちまうよ。
ハス:航空部隊とかはないの?
GM:戦車群の向こうに例の不時着した壊れた飛行艇なら見つかったけど、そこには他に見当たらない。
ハス:うーん。脱出の手立てが見つからない。
イルナ:偵察用の飛行機みたいなんはないの?
GM:飛行機は時代的にない。それよか、その格納庫にも当然見張りの兵士がおるんやけど。胡散臭い観光客のようにキョロキョロしてた、5人の怪しい兵士に近づいてくる。「一体何の用だ?」
ハス:俺の階級は?
GM:下級衛生兵。
イルナ:私は中尉、黒船大佐!
ハス:みんな三等兵らしいぞ。
GM:うろちょろしてる間にもどんどん時間はなくなっていってるが。
ソフィ:そろそろ着くんちゃう。えーっと何やったって、血の……
イルナ:チノレンヂャー!(テ注:意味不明)
ソフィ:とにかく戦車一台かっぱらおう。「調べさせてもらうよ」とか言って。
シルバート:兵士達に言おう。「迷ってしまってねぇ」
ハス:「そろそろ上陸作戦が開始されるので、各車両の再点検を言い渡されました」
GM:お前ら、言うてることバラバラやん。
ハス:「許可願いたい」
GM:「証明書を見せてもらおうか」
ハス:何故だぁっ!
GM:そりゃ、彼らも下っぱやから、ちゃんと確認とって司令官に伝えなあかんやん。いい加減気づけよ、このパータン。
イルナ:「大佐の言うことがきけないの!」
GM:そんな黒船マークで通用するんか?
イルナ:大丈夫や。まかしとけ。
ハス:寄ってきた兵士は何人?
GM:ざっと8人。
ハス:辛いな。
GM:何の考えもなく突発的に動くのやめろよ。いちいち相手すんのも面倒やわ。
ハス:だって、こいつがゆーてんねんもん!
GM:飛びかかろうとしてるのはアンタや。
ソフィ:とにかく逃げ出す為の足だけは確保しとかなあかんやん!
シルバート:戦車で逃げれるか! 海に飛び込んだら終わりや。
ソフィ:水陸両用車両とかはないん?
GM:新型は潜れるよ。一応密閉式やから。
シルバート:どーやって動くねん。それ。
GM:水底進んで行くんやろ。時間は限られるけど。
イルナ:手が生えてくるくる水掻きながら回るねんな。
ソフィ:泳げタイヤキ君か(笑)!
GM:君ら、倉庫の片隅で兵士達に囲まれて、一体何時まで妄想する気?
シルバート:『ハッ!?』って(笑)。
イルナ:とりあえず兵士の一人に訊問。「おい貴様。階級は何だ?」
GM:「二等兵であります」
イルナ:何や二等兵か。
GM:お前より上や。
イルナ:俺は大佐やってゆーてるやろ!
GM:「お前……髭がないな?」
イルナ:「当然だ。女だもん」
GM:「女の三等兵? そんな奴、いたか?」
イルナ:三等兵ちゃうゆーてるやろ! 黒船大佐や!
GM:「その妙なワッペンはなんだ!?」
イルナ:「服がないから着てるだけだぁ!!」
GM:「あぁ、分かったから、車両点検するのなら証明書を提示しろ。まさか忘れたわけではないだろう?」
イルナ:「いやん、エッチv」
コール:嫌やなぁ(笑)。
GM:押し問答にも飽きたらしく、シッシッ!って追い払われる。
ソフィ:あ、邪険にされた。三等兵差別だっ!
シルバート:「逃げろっ!」 今のうちに逃げる逃げる!!
ハス:蒸気エレベータに飛び乗って地下の作戦本部(医務室)へ!
イルナ:一時撤退!
GM:また戻るんかい。
ハス:医務室の表札の隣に大っきな垂れ幕があんねん。
ソフィ:『クラーゼ博士救出&脱出大作戦本部』(花輪付き)。
ハス:これで怪しすぎて、医務室には誰も近寄らないだろう。……さて、新型戦車をかっぱらうとして、あれに何人乗れるんかな。
ソフィ:小型やからよーさんは無理なんとちゃう。
ハス:他の戦車ってどんなんあったっけ?
GM:新型がクルフサージャン。多脚型がシュワルツハーゲン、輸送車両がエセルダ。で、主力がヤークトバイパー。最大乗組員がそれぞれ3人、3人、10人以上、4人、といったところかな。詰め込んだらもう少し入ると思う。
ソフィ:ま、2台パクッたらええね。
ハス:(GMが渡した戦車のシートを見て)おお、これがシュワルツハーゲンか。スターウォーズゥみたいでカッチョええやん。一台はこれに決まり。
GM:戦車選びより、君らがどー動くかの行動方針、先決めや。
ハス:戦闘が始まったらカッ払いに行く。
ソフィ:やっぱり上陸作戦があるんかな。
ハス:周りが慌ただしくなった時に奪う!
シルバート:これこれ。まずクラーゼ博士を助け出してから、戦車の所へ行かなければならないじゃないか。
ハス:陽動作戦。一組が戦車で暴れてる隙に、もう一組が博士を救出。
ソフィ:得意やな。陽動作戦。
GM:それと変装しかでけへんやん、アンタら。
ハス:突撃作戦。コウサ君の時みたいに戦車で博士のところまで突き進む。
ソフィ:得意やな。突撃作戦。
GM:それは作戦ではなく本能やん。アンタの。
ソフィ:陽動作戦。まず第一班がクラーゼ博士を救出する。第二班はB2倉庫へ向かい、新鋭戦車クルフサージャンを2台略奪。ガーっといって合流して逃げる。
GM:クラーゼ博士の周りに強力な護衛がおったらどうする? ガーっとは簡単に合流できんかもしれんやん。
ソフィ:それは……ま、そこはなんとか。
シルバート:刺し殺せばいいやん。
コール:あの幹部連中って刺しても死なんと思う。
イルナ:戦車組が上がってきて大砲打ち込めばおしまいやん。ホッホッホ。
シルバート:クラーゼ博士も木端微塵であの世行き。
ハス:意味ないやんけ!
囚われ人が可憐な娘でなく、中年親父であったことが、彼らの救出意欲を著しく殺いでいた。緊迫感、いつにもまして零。結局、良案が彼らの焦げ茶色の脳から捻り出されることもなく、なんとなく二手に分かれ、いつにもましてユルユルな陽動救出脱出作戦が敢行されることになった。
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