■ scene 3 M'1950/03/04
〜飛行船〜
GM:そうしてくれると助かる。さて、君らが大学にやってくると、校舎前の広い敷地には既に大きく細長い飛行船が着陸を終えていて、辺りは人込みでごった返している。そうこうするうちに、飛行船の下部のドッグ後部の扉が勢いよく開き、中から茶色の長髪を後ろで一束ねした壮年の逞しい男が現れる。「あー、紳士淑女の皆さん、どうもお騒がせしました。私の名はロカルド=モレリー。大陸を股にかけた冒険家です。しばしこの町に滞在することになりますが、よろしくお願いします」などと、にこやかに挨拶してるよ。その男の人柄のせいか、いつの間にか集まった野次馬達も和んでる。しばらくの後、ロカルドは、この大学に旧知の友がいるので、と構内の方へ去って行く。集まった町の人達は、物珍しげに飛行船を眺め回して、触ってみたりしてる奴もいる。で、君達はどうする?
アレフ:飛行船に乗っていたのは、その船長一人かな?
GM:いや、船長の他にもいわゆる水夫系の逞しい男達が数人降りてくる。
アレフ:お怪我などございませんかな、と声をかけてみよう。
GM:「ああ、やられたのは船の方だからな。俺達は大丈夫だぜ」
ケント:うわぁ、これが飛行船かぁ、ときょろきょろ見て回る。
GM:ではケントだけ知覚ロール×2してみて。
ケント:(ガシャン)……失敗。
GM:……そうか。ではその他の人達は、人ごみの中、ケントの両隣にスズメ亭のトラル少年とナティ少女がやってきて、彼を呼ぼうとそれぞれがケントのズボンを引っ張っているのを見つける。しかし先程から飛行船を見上げっぱなしのケントはそれに気づく風もなく、ズボンは見る見る内にずり落ちてゆく。
四人:(笑)。
アレフ:半ケツ状態か。
サイクス:あのままでは下着どころか、全部見えてしまうな。
リリー:変質者やね。
GM:そういやリリーは、変質者撲滅を掲げた黄十字協会の創立者じゃなかったっけ。
リリー:(キャラシート裏の設定を見直し)あ、そうやった。
サイクス:今、君の目の前で子供達の手を借り新たな露出狂が一人、生まれようとしているが。
リリー:あ、じゃあズボンを上げに行きます。
GM:力ロール×1。
リリー:<重量上げ Lv1>で×2判定として、(ガシャン)……あ、2回とも失敗。
GM:リリーの怪力で勢い良くズボンは引き上げられたものの、
アレフ:怪力過ぎて、股奥深くまで食い込んでしまう。
GM:「アッ!」という、苦痛とも歓喜とも判別し難い短い悲鳴を一つ上げたケントは、
ケント:倒れる。
GM:さっきから呼んでたのに、とその青年を呆れ顔で見下ろしたトラルは、リリーに訊いてくる。「それにしてもすごい飛行船だね。僕こんなの見たの初めてだよ! リリー姉ちゃんは、色んな国を旅してきたんだろ? こんな飛行船見たことあるの?」
リリー:「いえ、こんな大きい飛行船は、初めて見ます」
GM:「凄いねぇ。このお船は何処から飛んできたの?」と、ナティもリリーに訊いてくる。「アントンも、知りたがってるの」と抱き抱えた熊の縫いぐるみを見せる。
リリー:「うーん、私にもわからないのですが……」
GM:と、困っているわけか。で、サイクスもそのリリーと子供達とのやりとりを眺めている、と。アレフは、船員達に話しかけながら、好奇心剥き出しやねんな。
アレフ:おう。ちょっと、船内に入ってみたりして。
GM:船内は簡単に前方部と後方部に分けられていて、後方にエンジンルームがあるらしい。で、君が前方部の細長い通路を先頭のブリッヂを目指そうとすると、さすがに船員に止められる。「怪我人はいませんよ。お坊さん、お気遣いなく」と押し戻される。で、アレフが船外に出ようとすると、入口では見慣れた怪我人が股を押さえて蹲っている。
アレフ:「どうされた、ケント青年」
ケント:「ちょっと、大事なところを痛めまして。腰を叩いてくれませんか」
アレフ:「それはそれは。介抱して差し上げる」摩る。
サイクス:飛行船の前でなにやら妙なことやってるな。
リリー:うん。
GM:と、いった感じでしょうか。ちなみにロカルド船長は、この大学にいた古い友達の科学者に、飛行船の修理を手伝ってもらうつもりらしい。しばらくはここに停泊するみたいやから、また飛行船を見る機会もあるよ。さて、夕方。駅前広場は異国から来た商人や芸人達の出店で随分賑わっている。昼間ケントを追い払った骨董品屋は、客寄せとして蒸気映写機械などを実演してみせている。
アレフ:ほぉ。それは一体どのような仕組みで?
GM:蒸気エンジンで動いていると思しきブリキの自動人形が、カクカクと手回しすることによって、人形の前に据えられた投影機械が駆動する味のある機巧やね。カタカタとフィルムが回り始めると、軒先に吊した白布一面に異国の物語が写し出され、人々を大いに驚かせる。君達も思わず見入ってしまう。
ケント:おぉーっ! ほぉーっ! ぬぉーっ!
GM:わかりやすい興奮表現どうも。ちなみに本日の上映作品は『エグゾヂズト〜ディレクターズカット版〜』
四人:おぉーっ!(笑)。
サイクス:ブリッヂ男が階段を上り降りしてるんやな。
GM:周りの人々も興奮している。「他の町には、こんな変わった人もいるのか」とか言って。さて、その場には、君達の他にもスズメ亭のトラルとナティもいて皆で活劇に見入ってる。で、映写会がお開きになる頃には日もとっぷり暮れました。
リリー:じゃあそろそろ、スズメ亭に帰りましょうか。
サイクス:うむ。
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