■ scene 5 M'1950/03/04
〜危険な代物〜
GM:叫び続けるサイクスを三人で担ぎ宿屋へ運んだ君ら。ベットに押えつけて暴れ出さないように縄で縛りつけ、
サイクス:口にも拘束具を、
GM:カパリコ、とはめ込み、その日は収まる。さて翌日3月5日。センタロ星祭三日前です。町中でも随分店の準備や既に開かれている出店等も増えて、人々も盛り上がっている。さて、大学構内で飛行船の修理をしているロカルド船長の方では、人手が足らないのか、機械に詳しい作業員の募集がある。君らはどうかね?
アレフ:まぁ、機械について全く知らないわけではないが。
ケント:僕は全く知らないが、応募する。「僕を雇って下さい」
GM:「ややっ! お前は昨夜、船に忍び込んで寝そべっていた奴じゃないのか!?」 いかつい船員に怒鳴られる。
ケント:「ち、違います!」
GM:交渉ロール×1してみる?
ケント:(ガシャン)……お、成功。「それは人違いですよ!」
GM:弁解を続けるケントの意気込みに負けたらしく、結局その船員に仕事の話をつけてもらい、ケントはまぁ、プロペラ磨きかなんかの雑用係として雇われることになる。飛行船の知識とかもなんかあったよな?
ケント:<飛行船操縦 Lv1>があるから、多少は知ってると思う。
GM:さて、他の人は今日は何する? まず、リリー。目覚めるともう昼過ぎやけど。
リリー:サイクスさんの様子を見てみましょう。
GM:隣で縛りつけられていたサイクスは微動だにせず、目玉だけ開いてる。
リリー:「サイクスさん、大丈夫ですか?」 口の拘束具を取ってみます。
サイクス:(子供口調で)「うん。ボクはダイヂョウブ」
リリー:お医者さんを呼んできましょう(笑)。
GM:アレフは今日も釣りに勤しんでいるのかな?
アレフ:うん。弟子達にも正しいフィシングフォームなどを手ほどきしながら。
GM:手ほどきは、交渉ロール×1。
アレフ:(ガシャン)……18、成功。「そう、そこで手首を利かせて!」
GM:では、釣りを教えているアレフ、医者を呼びに出かけたリリー、で、大学構内で飛行船のプロペラ磨きをしているケントの三人。君らは、それぞれ行動をしているけど、周りの人達の話に何気なく耳を傾けてみると、町中の多くの人達も、君達が昨夜見たあの光る浮遊物体の噂話を囁き合っていることに気づく。更に町中を足早に急いでいるリリーは、何やら近頃では、頻繁に奇妙な盗難事件も起きていることを知る。肉屋の出刃包丁やら駄菓子屋の飴の瓶や、燻製屋のサケや見世物小屋の蛇の着ぐるみ等々。「ちっ、昨晩はうちもやられちまってよぉ」などと、店先でオヤジ達が盛り上がっている。被害は多発しているものの、一軒から大量に盗まれるような甚大な被害はないらしく、あまり深刻な様子ではない。さて、星祭の三日前は、このような感じですが、各自これからの具体的な行動など、あればどうぞ。
リリー:えーお医者さんは、見つかりました?
GM:ああ、そやっな。では、スズメ亭から駅前広場を横切って少し路地を入った辺りに、宿屋のおかみ、リサが教えてくれた診療所が見つかる。中には白い山羊髭を生やしたお爺さんが一人いました。「して、どこが悪いのですかな?」
リリー:「いえ、私ではなくて……」
GM:「すると誰を診てほしいのかね?」
リリー:「あの、精神科医の方ですか?」
(三人):(笑)。
GM:「まぁ……その症状の度合いにもよるが。一通りは心得ておるよ」
リリー:「実は、昨夜不思議な現象にあってから……私ではどうすることもできなくて……もしよろしければ、お家まで同行してもらえませんか?」
GM:「うむ、儂も医者の端くれ。出来るだけのことはやってみましょう」 黒鞄に診察道具を詰め込んで、爺さんは決然と立ち上がる。やがてリリーと共にスズメ亭にやってきたヤギ先生は、扉を開くなり体を硬直させる。部屋の中央には、直立したベッドに縛りつけられたサイクス。
リリー:「サイクスさん、お医者さんですよー」
サイクス:「オイシャサン?」
GM:一先ず診療鞄を開いたヤギ先生は、サイクスの瞳孔や脈を一通り調べる。そして、困り果てたように首を振る。「駄目じゃ。儂にはさっぱり、見当もつかんよ」(笑)。
リリー:ガーン(笑)!
GM:「この若者は、これで普通なのではないのかね?」
リリー:「そ、そうだったのかな……」
サイクス:「うん、ボク普通。ボク大丈夫」(コワれた幼児口調)
GM:「ほら、本人もそう言っているし。君の心配のしすぎなんじゃないのかね」
リリー:「はぁ……」
サイクス:「ボク、とっても大丈夫」(とってもコワれた幼児口調)
GM:「らしいよ」
リリー:「でも以前はこんなじゃなかったんですが……」
GM:「ほぉ、では一体、以前の彼はどのような人物だったのかね?」
リリー:(笑)。「以前は……」
(アレフ):蒸気シンセや!
リリー:! 「以前は、町中で蒸気シンセなどを弾き鳴らしていました」
GM:「そちらの方が異常なんじゃないのかね。で、それはともかく彼は今は、その蒸気シンセとやらを弾かなくなったのかね? 一つ持たせてみてはどうかのぅ」
リリー:「ああ、そうでした。取ってきます」 ガチャリ(装着SE)
(アレフ):嵌め込まれた!
サイクス:ウィーン、ガシャン。ウィーン、ガシャン。ドッドッドッドッ……
GM:ブシューッと蒸気が噴き出し、演奏可能な状態になる。演奏するなら操作判定……ベッドに縛りつけられたままやから1/3倍で。
サイクス:演奏技能レベル3あるから1倍で、(ガシャン)……27、成功。
GM:パラリラパラリラパラリラ、と部屋の中央で巧みな演奏をしてみせるサイクス。それを見た山羊先生は満足気に頷いて、「ほれ、これで彼が正常だということが、とりあえず認められた。儂はそろそろ失礼するよ」と、扉を開けて宿を出ていく。
リリー:「どうもあれがとうございました」
GM:さて、医者からも正常と診察され縛めを解かれたサイクス。元に戻したベッドの端に腰を下ろし、蒸気シンセも傍らに置く。ヤギ先生を見送ったリリーが部屋に戻ってくるけど、今はどんな感じ?
サイクス:「どこか遠ーい場所へ行っていたような、感じ……」
GM:部屋に戻ったリリーはサイクスのそんな呟きを耳にする。
リリー:(笑)。
サイクス:「どうかな?」
リリー:「……サイクスさん、元に戻って良かったですね」
サイクス:「そうなか?」
GM:ところで君の愛用の飛行機械は何処にあるん?
サイクス:ここ。隣に。
GM:それは蒸気シンセ。俺の言ってるのは、以前フィラムでやった鳥人間コンテスト用に、君が資金を出してソフィとかいう怪盗娘を乗せて飛ばせた人力飛行機、トム=キャットのことや。
サイクス:ああ。あれか。あれは……何処か遠い所、じゃなくて、この宿屋の隣にでも置いてるとか。格納庫とかある?
(アレフ):ないやろ、宿屋にそんなもん(笑)。
GM:じゃあ君のトムキャットは、エスパーニャ大学の敷地内に置かせてもらってることにしとくか。それとアレフも最初にメカシート渡したよな。
アレフ:あ、俺も持ってたんか。(ベットの傍らを捜す) あった。えー『カルパートエストニアゴルビーZ ハス=スペシャル』? なんぢゃ、この象頭のプロペラ飛行機は?
GM:デザインやったのはアンタやろ。まぁ、その機械も現在君が所有しているということで、置き場所とか決めといてや。大学に一緒に置いとく?
アレフ:いや、やっぱアレでしょ。中洲公園に秘密基地を設置してカモフラージュしつつ、待機中ってことで。
GM:釣りの最中、弟子が聞いてくるよ。「先生。ところで、この変わった形をした小屋は一体何ですか?」 チラリ、と中を覗いてみたりして。「中にゾウが……」(笑)。
アレフ:これこれ、そこは秘密基地です。勝手に覗いてはいけません。私個人の問題なのです。
GM:「何か釣りに関する奥義でも隠されているのでは、ありませんか?」
アレフ:「いえいえ、それは違います。ほら、魚が引いていますよ」 少し冷汗を流しながら話題を逸らす。
GM:了解。さて、大学構内で飛行船修理に携わっているケント。君がプロペラを磨いたり、エンジンの交換部品に油をさしたりしていると、船の外に降りたロカルド船長が、何やら考え深げに辺りをぐるぐる練り歩いているのを見かけるよ。「うーん、どうしたものか……」などと、呟いている。
ケント:じゃあ近づいて尋ねてみよう。「どうしました? 船長」
GM:「ああ、君は確か、今日から整備を手伝ってくれている、ケント君だったね」
ケント:「はい、船長!」
GM:「うむ、少々個人的なことなのだが、実は昨夜、私の船で盗難があったらしくてね。勿論、この町の人達を疑いたくはないのだが、何せ世界各国を旅してきて随分貴重な品々も色々あったからな。どうやら盗まれたものが、少々危険な代物かもしれない、ということが気がかりなのだよ」
ケント:「それは一体どういう物ですか?」
GM:「ふむ。君に話して一体何処まで理解してもらえるか……そういえば君もこの町にずっと住んでいたわけではないみたいだが、するとマキロニー地方を随分旅してきたのかね?」
ケント:(あっさり)「んにゃ」
(三人):(笑)。
GM:「それでは話にならないな……」
(アレフ):頼むから、情報を得る努力をしてくれ(笑)。
GM:……「あー船の仲間が言っていたが、君の友達は随分各地を旅してきたらしい、と言っていた。一つ今度の盗難品の件で、君達の意見も訊いてみたいと思うのだが、今夜、この近くの酒場、スズメ亭でその話をする、というのはどうかね?」
ケント:「そういうことならお任せください、船長! 僕が早速みんなに話して、密談場所もコーディネイトしておきます」
(リリー):コーディネイト(笑)?
ケント:プロペラからピュッと飛び降りて大学を飛び出す。仕事はもう切り上げて速攻準備に取りかかるぞ。
(四人):は、早ぇ。
GM:初日から仕事を放り出して飛び出したケントを船長は呆れて見送ってしまう。「うーむ。大変なことになる前に、片付けばいいのだが……」 さて、その日の夕方、リリーはサイクスの心のリハビリをかねて、駅前広場の映写会に出かけたのですが、その日の演目は『山羊達の沈黙』。サイクスそっくりに拘束具に巣巻にされた博士が登場。サイクスも目をらんらんと輝かせて見入っている。
サイクス:「クラリース!! クラリース!!!」(編注:元ネタ映画『羊たち○沈黙』からの台詞)
一同:(笑)。
GM:アレフも来てるのかな?
アレフ:まぁ、人通りは多いですからな。新たな信者も捜しつつ。
GM:で、ケントは、一人スズメ亭に残って、船長を迎える為の食卓のコーディネイトに余念がない、と。
ケント:テーブルクロスをかけ、グラスやスプーンを磨き、「オヤジ、来るんじゃねーっ!」と、近寄ってくる店の親父を追い返し。
GM:スズメ亭はおかみのリサが女手一つでやってる店やから、オヤジ店長はおらんと思うけど。さて、ではそういうことで、現在駅前広場にいる三人は、知覚ロール×1して下さい。
アレフ:(ガシャン)……65、失敗。
リリー:失敗です。
サイクス:同じく失敗。「ヲォ、クラリース! クラリース!! 何処へ行っていたんだ!」
GM:なんや、全員わからんかったんか。じゃあ、映写会『ヤギ達の沈黙』のは、前日までより、随分くっきりはっきり映りもよく、広場に集まった人達に好評を博している。感極まって叫んでる奴もおるし。さて、その夜、君達がスズメ亭に戻ると、一階の酒場の片隅で、ケントが誇らしげに待ち構えている。リサも呆れ返って君達に声をかける。「さっきから、あんた達の仲間が随分張り切って、テーブルを磨き込んだりしてるんだよ。他の客に変に思われないうちになんとかしておくれよ」
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