■ scene 8 M'1950/03/04
〜ボク、トムキャット!(準備変)〜
(編注:ヤギ先生の設定も含め、以下、本リプレイの表題にもなっている〜ボク、トム=キャット!〜のシーンは、異様に盛り上がった、完全なアドリブパートだったりします)
GM:しばらく茫然と患者を見ていたヤギ先生はおもむろに話始める。「実は儂は、ちょっとした骨董品マニヤでなぁ。昼間、駅前広場の露天で、こんな品物を買ったんじゃよ」と、君達を診察室へ招き入れてくれる。部屋の奥には物々しい機械部品が各種備え付けられたやや大きめの椅子があり、それを指さした先生が言う。「これは『蒸気ショック人間更生機』と言ってな。ペトルシアのある医者が立案した画期的な装置……だと、露天の店主は言っておった。君達さえ良ければこれを試してみる、という手もある。しかし、店主の話をどこまで信じていいものか。それに、こんな骨董品をいきなり患者に使用するというのも、まっとうな医者として、人道に反する気がする。しかし儂には他の方法が思いあたらんのだよ」
アレフ:「早速使いましょう。スイッチは何処ですか?」
GM:即決かい。「うむ。起動ボタンは確かこの辺りに……」と、ヤギ先生が椅子の背面にある入力機器をしばらくいじっていると、やがて椅子全体がグラグラと小刻みに震え出し、背面から後方に突き出した何本もの導管から勢い良く蒸気が噴き出し始める。「さ、これで準備は整った筈じゃ。彼をここに座らせなさい」
ケント:やっぱりショック機というと、患者を椅子に縛りつけて、頭に電気の通る鉄のわっかはめるんやろ?
GM:あ? ああ。そやね、鉄のわっかじゃないけど、その更生機の頭部には、ネコ型のヘルメットのようなものが備え付けられている。
リリー:ネコ?
GM:仲間達に手を引かれ、椅子へと誘われるサイクスだけ、知覚ロール×1。
サイクス:(ガシャン)……19、成功。
GM:君はそのネコ頭をよく知っている。それは確かに、大学構内に格納しているはずの君の人力飛行機、トム=キャットのヘッドシンボルや。
サイクス:「トムッ!」(突如幼児の叫び)
(一同爆笑)
アレフ:「先生、早く治療をお願いします!!」(笑)。
サイクス:「トムーッ!」
GM:ヤギ先生もギョッとする。「発作か!? 彼を早く縛りつけなさい!」
リリー:「は、はいっ」 ガチャリ。
サイクス:「トムゥゥゥ!」
ケント:パチンパチンと腕輪もしていく。
リリー:ネコヘルメットもカパリ。
GM:「ところで彼はさっきから、『トム、トム』と叫んでいるが、何か心当たりはないのかね?」
サイクス:「トォムゥゥゥ!」
アレフ:「さぁ、私には何のことやらさっぱり」……なん?
GM:そやね、トム=キャットのことを思い出せるかどうか、他の人達も知覚ロール×1/2やってみて。
サイクス:「トォムゥゥゥーッ!!」
リリー:(ガシャン)……一回目成功。(ガシャン)……二回目、失敗。
アレフ:同じく。
ケント:あかん、。二回とも失敗や。
GM:すると結局、誰もエセ貴族の魂の叫びの意味はわからんかってんな。
リリー:「ヤギ先生。私達にも、全く心当たりがありません」
アレフ:「なんなんでしょうねぇ、一体」
ケント:「トム、と言えばやっぱり『トムとヂェリィ』のことだよ」
サイクス:「テュォムゥゥゥーッ!!!」
アレフ:「よしよし、すぐに直してやるからな。先生、お願いします」
GM:「うむ。わかった」 ガチャリ……しかし、機械からは特に反応なし。ヤギ先生は困ったように唸る。「ぬぬ。いきなり使うことになるとは思わんかったからなぁ、どうやら作動スイッチを間違ったようじゃ、誰か、機械に詳しい者はおらんかね?」と先生は君達を見回す。
アレフ:「私は、ちょっと。ケント君、君なら機械に明るいんじゃないのか?」
ケント:「い、いゃあ、僕もちょっと」
アレフ:ドン、と突き出す。
ケント:おっと。じゃあ、仕方ないな。ちょっと調べてみて、適当なのを押します。「んん? ここかな?」とか言って。
GM:操作ロール×1。失敗すれば、全然違うスイッチを入れてしまう。
ケント:(ガシャン)……96、大失敗(笑)。
(一同爆笑)
GM:では君は、誤って『振動 強』のスイッチを押してしまう。今まで微かに揺れていた椅子が、ガタゴト揺れ始める。そして突然、ブシューッという激しい音と共に、サイクスの頭を覆ったネコヘルメットのネコ鼻から勢い良く蒸気が噴き出すと、そのネコの頭部が猛烈な勢いで左右に振動を開始する。
サイクス:「ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ッッッッッゥゥドドドドドドドォォォオオヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛ム゛ゥゥゥゥゥッッッッ!」(痰が喉に絡んだ山男の叫び)
リリー:「せ、先生! いいんですか、これでっ」
GM:「儂はもぅ、お手上げじゃ! 君達の仲間なんだから、君達で何とかしてあげなさい!」
アレフ:「むぅ、確かに、何か操作が足りなかったのやもしれない。ケント君っ!」
ケント:「はい。もう一つ押してみましょう」 ポチッとな。
GM:操作ロール×1。
ケント:失敗。
GM:ネコ頭が猛烈な勢いで前後振動を開始する。
サイクス:「グゥオオオヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ォォォァァァァァァァァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
ケント:「違ったみたいです!」
GM:「見りゃわかるわい!」
アレフ:「リリーさん!なんとかなりませんか!? 私は機械には疎いんです!」
リリー:ガガーン! 「と、とにかく止めましょう」
アレフ:「そのやり方が分からないんです!」
(一同爆笑)
ケント:「電源か!? 電源抜くんか!?」
アレフ:だから電気ちゃうって(笑)。
リリー:「仕方ない、ヤギ先生がこの機械を買った、骨董品屋の店主を叩き起しに行ってきます」
GM:では夜の町を駆け出したリリー。駅前広場にはすぐにたどり着いたんやけど、例の骨董品屋のテントに飛び込むと、どうも人の気配がしない。
リリー:ガーン。とにかくドアをノックします。ドンドン!ドンドン!「もしもーし!」
GM:(テントにドアなんぞあったっけ?) いや、そのドアにも鍵がかかっていて、奥からの返事もない。
リリー:蹴破る。ゲシッ!
GM:力ロール×1。
リリー:28、成功。
GM:テントのくせについていた鉄板製の厳重な扉を、キック一発でブチ抜いた怪力リリー。踏み込んだ場所はかなり広い空間になっているみたいやけど、暗くてよく見えない。
リリー:「すみませーん。もしー」
GM:暗がりを歩き回ると、君は突然、固いものに頭からぶつかる。
リリー:ギャウッ! うー、これは一体なんでしょう? マッチを擦って明かりを付けてみます。シュバッ。(点火SE)
GM:君の目の前には巨大な円形の鉄板が横に幾つも広がっている。
リリー:なんですか? こりゃ? もう少しよく見てみます。
GM:すると君は、それが戦車だということに気づく。
リリー:ほぉ。こんな所に随分物騒なものが。と、それはさておき、今は店の主人を捜しましょう。さらに奥へ行ってみます。
GM:おらんね。しばらく捜してみても、そこには、売り物の変なガラクタしか見つかりませんでした。
リリー:うーん。仕方ありません。一旦ヤギ先生の所へ帰りましょう。
GM:君が診療所へ戻り扉を開けると、もうもうと蒸気が噴き出す。
リリー:わぁっ(笑)。
ケント:サウナ状態。
アレフ:中では未だに「これかにゃ?」とかいってボタン押しまくってんねんな。
サイクス:「ヌグォォォヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛!」
アレフ:「とりゃっ!」
GM:猫頭が回転する。
サイクス:「グルェェッッヅヅヅヅヅヅツ!」
アレフ:「駄目だ、さっぱりわからん」
GM:ヤギ先生も途方に暮れている。「仕方ない、折角の掘り出し物じゃったが、患者の命がかかっておる。壊してでも止めてしまうか!?」
アレフ:サイクスの状態は?
GM:叫びっぱなしやろ。まぁ、やられっぱなしってのもあれやし、どうする? 自力で脱出してみる?
サイクス:「ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛ヲ゛」?……応。じゃ、一応自力で拘束具を除去してみよう。
GM:力ロール×1/3。
サイクス:でも今、おかしいんやで(笑)。
アレフ:力が尋常でない、と言いたいんか(笑)。
GM:へいへい。じゃ1倍で。まぁ、WOL使えば、1/3も×1判定でいけるんやけどな。(編注:Wind of Luck、つまり『幸運の風』判定。使いすぎるとちょっとした『しっぺ返し』が起こりますが、なにはともあれ、失敗を成功にすることができる、プレイヤーの心の拠り所ルールです)
サイクス:(ガシャン)……22、成功。「アァーマァーズゥォォオオオーン!」……そういや、今回まだWOL使ってないな。
リリー:WOLのないギアはちょっと、考えられへんね。
GM:突如、不可解な雄叫びをあげたサイクスは、両手両足の拘束具をまとめて引き千切り、万歳ポーズで椅子から跳ね上がる。
アレフ:「だっ、駄目だぁーっ!」
ケント:「とうとう狂っちまったか!」
GM:回転で勢いがついたまま、サイクスの頭から飛び出した猫頭のトムは、一度天井にぶつかった後落下。ゴロゴロと床を転がり、ヤギ先生の足もとへ行く。先生は発狂したサイクスに脅えるあまり、その場に屈み込むと、慌ててそれを被り、隠れたつもりになった。「あぁ、くわばらくわばら」
サイクス:「トムーッ!」
アレフ:先生の方へ近づいて行くねんな。
サイクス:「トムッ、ボクのトムーッ」 歩いていって、トムを掴み上げる。
GM:ヤギ先生も中に入っているが。
サイクス:まとめて。
GM:おもむろに頭を持ち上げられたヤギ先生は、宙に足をばたつかせながら叫ぶ。
アレフ:「こらっ、やめるのだーっ!」 後ろから羽交い締めにする。
サイクス:そのまま進む。「さぁー、いぃーこおぉーぅ、やくそくのぉーしまへとぉー♪」(編注:おそらく昔のアニメ『海○トリトン』の主題歌か何かだと思います)
アレフ:力一杯引き止める。
GM:力ロール×1。
アレフ:(ガシャン)……駄目だっ、失敗。蒸気で浮き出したサイクスの首の垢に手を滑らせてしまった。「皆さんも手伝って!」
ケント:「いゃ、僕は」
リリー:えらいことになってしまった(笑)。
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