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■『ボク、トムキャット』/09

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■ scene 9 M'1950/03/04
〜ボク、トムキャット!(助走変)〜

GM:なんや、誰も助けへんのか。では、診療所を出たサイクスは、トムを抱えたまま、深夜の路地を歩き始める。ヤギ先生は、恐ろしさのあまり頭だけでなく両腕まで猫頭に詰め込んでしまったらしく、そこから抜け出せずに、助けを求める叫びをあげ続けている。
リリー:遠巻きに見守りながらついていきます。
GM:サイクスは何処行くん?
サイクス:……えー、トム=キャットの胴体のある場所へ。
GM:となると、エスパーニャ大学敷地内、航空力学部の部室やね。サイクスが部室にたどり着くと、なにやら以前盗難でもあったのか、入口の扉には巨大な南京錠がかけられている。
サイクス:じゃあその錠前を握って、
GM:するとトムはどうする? 脇にでも置く?
サイクス:……いや、脇に抱え込みながら錠前を、
GM:ヤギ先生が猛烈に足をバタつかせ、サイクスの背中に膝蹴りが入る。
アレフ:よし、今度こそ助けよう。サイクスの脇のトムから、ヤギ先生を引っこ抜く。
GM:力ロール×1。
アレフ:(ガシャン)……06! 成功。
GM:スポーンと抜ける。トム内部にこびりついていたサイクスの垢で滑ったんやろな。無事助け出されたヤギ先生は、震えながら叫ぶ。「彼を止めるんだっ! あのまま野放しにしておくと、これから何をしでかすか見当もつかん!」
サイクス:「トムゥ、トムゥー」 錠前をガチャガチャ。
GM:力ロール×1。
サイクス:(ガシャン)……77! 失敗。WOL。
アレフ:何処で使っとるんや(笑)。
サイクス:(ガシャン)……96。 失敗や。
GM:トムトムと呻きながら、錠前をガチャガチャさせているサイクス。しばらくしても何の変化もないので、ヤギ先生も一息つきながら言う。「ふむ、錠前は壊れそうにないな。あのままにしておけば、誰にも危害が加わらず少し安心じゃ。そのうち彼が疲れ切ったところで、また診療所へ運ぶことにするか」
リリー:「そうですね」
サイクス:懐から破砕手榴弾を取り出す。「ハ、サ、イ、シュ、リュー、ダァーン!」(テ注:ドラ工もん風に叫ぶ)

      (一同爆笑)

GM:ヤギ先生が顔色を変える。「き、君達は患者にあんな物騒なものを持たせていたのか!?」
リリー:「みんな、退却よ! 撤退、てったーい!」(笑)。
ケント:その部室の隣部屋に飛び込みたいけど。
GM:同じように、鍵がかかってて無理やね。さて君達の騒ぎを聞きつけて、ロカルド船長の部下達や、大学の警備員達が駆け寄ってくる。「どうした! 一体何があったんだ!!」
アレフ:「逃げてくださいっ!」 走りながら叫ぶ。
GM:で、騒ぎの中心のサイクスは?
サイクス:頭の上でピン抜く。
GM:ドカーン……?
サイクス:……いや、三秒くらいは間あると思う。
GM:じゃあ一秒目。他の四人はどうする? ちなみにヤギ先生は全力疾走。リリーは?
リリー:もちろん全力疾走。
GM:アレフは?
アレフ:全力疾走。
GM:ケントも全力疾走か。じゃあ三人は運動ロール×1。
ケント:<疾走>技能があるぜ。(ガシャン)……成功。
アレフ:あ! バタリ。
サイクス:こういう時には倒れといた方が、ええかもな。
リリー:成功。
GM:よう考えたら、一秒で全力疾走もなんもないよな。二秒目、三秒目は省略。では破砕手榴弾。確か4D爆弾やったよな。
アレフ:1m離れるごとにD6ずつ減るねんな。
GM:ああ。ではダメージ判定は各自やって。頭上のサイクスは4D6。転んだアレフは3D6。逃げ延びたその外の人は、まぁ1D6で。
サイクス:20発。
アレフ:12発、痛ぁ。
GM:20発? 部室の錠前も扉もまとめて吹き飛んだ。もちろん君も。
サイクス:ああ。
GM:大の字で、転んだアレフの隣に落下。
ケント:「だ、大丈夫ですか、アレフさん」
アレフ:「う、うう。まだ生きているようだ」
GM:呻くアレフの隣で、ムクリと起き上がったサイクス。
サイクス:「トムゥー」 一応苦痛状態やけど。
GM:集まった人達は何事かと、騒いでいる。「何だ、奴は!? 最近町を荒している連中の仲間なのか!?」
サイクス:「ボクのトムゥー」 ふらふらと部室へ入って行く。
ケント:アレフさんを引き摺りながら叫ぶ。「違います! 彼は唯のガイキチですっ!!」
リリー:あんまりうれしくない弁護やね(笑)。
GM:しかし、ケントが下がって行く先の人の輪では、長銃を持ち出す者達も現れる。「しかし彼は、危険な爆発物を所持しているではないか。他国からのテロリストではないのか!」
ケント:「いや、彼は自分の欲望の赴くままに動いている気狂いなんです。その欲望さえ満たされれば、おとなしくなるはず」
GM:「その欲望の赴くままに爆発させられては、このヨルマノックの平和が脅かされることになる!」
ケント:「確かに。彼の体にはまだ爆弾がたっぷり巻きつけられていますが」
GM:「残念だか、今、彼を逃がすわけにはいかない」 その警備隊長が合図すると、他の警備員や、水夫達が一斉に銃を構え、包囲網の輪を縮める。
アレフ:こりゃいかん。私もムクリと起き上がり、その水夫達の前で両手を広げて立ちはだかる。「いけません! 今彼を撃っては!! 彼の体に巻きつけられている爆弾が誘爆してしまいます!!」
GM:交渉ロール×1。
アレフ:やっ、(ガシャン)……13、成功。
GM:「むぅ、確かに、その可能性はあるな。よし、撃ち方、待機!」 航空力学部の部室前に描かれた半円は、張り詰めた静寂に包まれる。ところで、リリーは何してるん?
リリー:固唾をのんで見守っています。
GM:観客かい。
ケント:じゃあ、とりあえずアレフさんに発砲を止めておいてもらいつつ、僕も部室へ入ってみよう。
GM:では、警備隊長が、リリーに言う。「あんなひ弱そうな彼を一人で行かせていいのかね? 君は、彼らの仲間じゃないのかね?」
リリー:「ええ。じゃあ、皆さんも少し協力して下さい。みんなであの男を取り押さえるのです」
GM:「しかし奴は狂人だ。我々全員で取り押さえた途端、残りの爆薬を破裂させる可能性が大きい。とてもじゃないが、そんな強硬手段に訴える気にはなれない」 隊長の言葉に、部下達が賛成の叫びをあげる。「そうだそうだ。いっそ、ここから撃った方が、はやく片付くぜ!」 ヤギ先生までもが「ありゃ、もう駄目じゃ。君らもお別れの挨拶をしておきなさい」などと言っている。さて、部室の暗がりに入ったサイクス。君は、部室の奥の暗がりに、先頭部を引き千切られて無残に放置された君の人力飛行機、トム=キャットの残骸を見つける。で、君の小脇には猫頭。
サイクス:では、トムを頭に被り、飛行機に乗り込む。

   (一同爆笑)

GM:続いて部室に飛び込んだケントは、その奇怪な姿を目の当りにしてしまう。
ケント:「な、なんだこりゃーっ!」(笑)。
サイクス:トム=キャット、起動。ブルン、ブルン、ブルルルルルルッッッ。
GM:でもそれ人力やから、まず部室から外へ出す為に、機体下から突き出した自分の足で歩かなあかんよな。ズルッ、ズルルッ、と尾翼を引き摺りながら、暗がりから前進を始めるサイクス。通常は、機体の先端に取りつけられているネコ頭は今、操縦席に収まった狂人の頭部に被せられている為、より異様さを醸し出した人力飛行機が、爆破された部室の戸口に現れ、人々を震撼させる。
サイクス:「やぁ、ボク、トム! ボクの頭を返して!」
リリー:シ、シンクロ率、400%を越えました(笑)!
サイクス:「ボク、トム! ボクの頭を返して!」
GM:警備員達が一斉に銃口を向ける。「あんな気違いを、ヨルマノックの空に羽ばたかせては、星祭どころではなくなるぞ! 爆弾の雨が降る前に、今すぐ撃墜だっ!!」
ケント:(トム=キャットのメカシートを覗き込みながら)……なぁ、このトムの頭。『小型推進爆弾』とか書いてるんやけど。

   (一同爆笑)



 
 
 

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