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■『ボク、トムキャット』/13

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■ scene 13 M'1950/03/04
〜マキナクロス団〜

GM:さて、君らが駅前広場につくと、さすがにかなりの人で賑わっている。
アレフ:骨董品屋に行ってみよう。
GM:「ホッホッホ。いらっしゃい。今日はいつにも増して、世界各国の摩訶不思議な品々が勢ぞろいですぞ」
アレフ:「ふむふむ。ちょっと中を覗かせてもらいましょうか」
GM:「どうぞどうぞ。これなどいかがか? ゾウの首をも真っ二つに斬れる東洋神秘のカターナ、金貨200枚ですぞ」
アレフ:「そんな高価なものはとてもとても。それに私はこう見えても坊主ですから」
サイクス:そのカタナを奪う。
GM:「わっ! なんだこの男は!?」
アレフ:「これっ! 返しなさい!」
GM:「全く、なんてアブナい奴なんだ」
リリー:「すみません。まだ躾がなってなくて」
アレフ:「いやまったく申し訳ありませんでした」 そそくさと店から退散する……いや、店を離れる前にちょっと訊いておこう。「あぁ、ご主人、ちょっとお尋ねしたいのですが」
GM:「なんじゃね。儂はこの町には不慣れじゃが」
アレフ:「いえいえ。あの、この広場でやっている映写会の機械も、ご主人の店の品なんですね?」
GM:「うむ。いかにもそうじゃが。あれの人気で店も随分繁盛しておるよ」
アレフ:「私も毎日観させて頂いていたのですが、あれは最初の頃、やたら蒸気でうるさかった気がするのですが、最近、随分静かになりましたね。新しい物に取り替えたのですか?」
GM:「……いや。あれは元から静かじゃった筈だが。……きっとあれじゃろ。最近特にあの映写機械の人気が出てきたので、観客が面白半分に機械をいじったりせんよう、囲いをしたんじゃよ。それで機械の周りに人がいなくなって、機械そのものが静かに動いているように思えたのではないかい?」
アレフ:「そうですか……」
GM:「ちなみに今日の演目は『ノレパン二世』。先日好評じゃった『ノレパン一世』の続編ぢゃ。大抵二作目になるとつまらんものじゃが、儂のは別。楽しみにしていなされ。ホーッ、ホッホッホッ」 そう言うと、店主は店の奥に姿を消す。
アレフ:うむ、もう少し留まって、店の品揃えでも見てみますか。
GM:そやね、随分品々が増えたようやけど、よく見ると、どれもこれも、かなり奇妙奇天烈な物が多いことに気づく。リリーはなにやってんの?
リリー:同じく骨董品屋の品を見て回ってます。
GM:カターナ取られたサイクスも? で、ケントは?
ケント:……。(編注:年越しによる徹夜明けということで、睡魔に襲われてます)
サイクス:ピロリロピロリロピロリロピロリロ♪
GM:……それ、テープ再生した時やたら空しくなるやろから、やめて。さて、そうこうするうちに夕方になりました。駅前広場では映写会が始まりますが、君達はその場におるのかな?
アレフ:そやね、やはり気になる、というか、具体的な手がかりはやはり、駅前広場にあるような気がしますからな。
GM:ではちょっと判定してもらいたいんやけど、肝心のケントは……起きる気ない?
ケント:……。
アレフ:あかんみたい。
サイクス:ピロリロピロリロピロリロピロリロ♪
GM:では、その場に集まった人達が「おい、あれユージアさんじゃないのか?」などと囁き合っているのを、君達は耳にする。でも、そのユージアなる女性が何者なのかは、さっぱり思い当たらない。
リリー:あの、トラル君はいませんか?
GM:いや。さっと見渡す限りでは、それらしい少年の姿は見受けられなかった。さて、本日の演目である『ノレパン二世』が映写機から映し出され、広場に集まった人達を活劇世界に引き込む。しかし、その物語がちょうど山場にさしかかった時、突然、画面を映していた骨董品屋のテント脇の白幕に、鉄骨を組み合わせた十字の模様が現れる。そしてテントの中から甲高い笑い声が響く。「ホッホッホ。ついに我々の正体を明かす時が来たようじゃな!」という声と共に、テントが派手に吹き飛び、中から戦車が現れる。広場に集まった人達は驚きの叫びをあげる。
アレフ:「なんじゃ、こりゃーっ!」
リリー:「あ。あれはこの前忍び込んだ時、店の奥で見つけた骨董品屋の戦車」
アレフ:「そんなこと、はよ言わんかーっ!」(笑)。
GM:サイクスは? 正気?
サイクス:大丈夫や。その戦車を指さし「アノ戦車ハ、イッタイーッ!?」(全然大丈夫でない言い方)
GM:戦車は屋台の骨組みを薙ぎ倒して前進。主砲を広場の人々に向ける。
アレフ:「みんな、避難するんだーっ!」
GM:「ホーッ、ホッホッホ。いかんいかん。動けばみんな血みどろぢゃ」 砲台の上が開いて、中から骨董品屋の店主が現れる。「この戦車も売り物の一つじゃが、出る弾も正真正銘の危険な代物。妙なマネをすると酷い目にあうぞ。世界各地を股にかける大怪盗団、『マキナクロス』のボス、ワッグ=ゴルゴル様の話はおとなしく聞くものだ。儂等の噂は、皆、よく聞き知っておるじゃろう?」
アレフ:さっぱり。
GM:口に出す?
アレフ:……いや、心の中で思っとく。
サイクス:「サッパリ」 言うぞ。
GM:「ムキャーッ!」 店主が片手に持っていた拳銃を発砲する。(ガシャン)……15、当たり。対弾防御する?
サイクス:する。(ガシャン)……14、回避成功。
GM:サイクスの頬をかすめた拳銃弾は、背後にいた群衆を大いに驚き脅えさせる。で、君達はそんな群衆の不安のざわめきの中、こんな話し声を耳にする。「チッ、奴め。町の真ん中に隠していたのか」「なんてことだ」……例の黒服の連中やね。ワッグ店長の方でも彼らに気がついたらしく、甲高い笑い声を上げる。「ホッホッホ。これはこれは。帝国の密偵までおったか。あんた達には随分楽しませてもらったよ」 さて、こんな感じで広場はたちまち緊迫した状況に陥っている。周りの人達は動けずにいるみたいやけど、君らはどうすんの?
アレフ:そうですな。このままではいかん。つかつかと戦車に向かって歩き出す。
GM:ワッグが発砲する。(ガシャン)……24、当たりやけど。
アレフ:い、一応回避させて。対弾防御って、普通の回避?
GM:うん。弾よけする代わり、1ラウンド内のそれ以降の行動はできんようになるけど。
アレフ:(自分のシートを見ながら)14!? (ガシャン)……失敗や。
GM:13発。徹甲力は3。
アレフ:コートの装甲で12発くらって残り8。苦痛状態。(編注:計算間違い。正しくはコートの装甲1点は、拳銃弾の徹甲力3に貫かれて、AV効果はなくなっています。故に直ダ13発が正解)
GM:頭から血を噴き出しながら、釣り坊主は群衆の中に倒れ込む。「儂がしゃべっておる時に動くでない!」
アレフ:「あんた達のわけのわからん争いに、町の衆を巻き込むなっ!」
GM:「儂の言う通りにさえしておれば、危害は加えん。そのヴァルモンの手先共は随分しつこくてな。儂は奴らをまいて、この町から更に南へと向かうつもりなのじゃ。そこであんた達、いや、この映写会の噂を聞きつけてやってきた町長に、少しばかり協力して頂くことにするよ。さて町長、おとなしくこちらへ出てこられい!」 ワッグの叫びに応じて出てきたのは、ヒロシ=ヤマガタという腹の出た中年オヤジ。「いまいち!」 ワッグは町長の傍らにいた若い娘を呼びつける。「あんたは確か、ユージアとかいう町長の娘だったな。こちらへきなさい」 途端に群集からブーイングの嵐が巻き起こる。
群衆(アレフ):「痴れ者めっ! 人質なら私で充分ではないか!!」
GM:「それから、ロカルド船長とやらも、ここに来ていたな」
リリー:え? 船長さんも来てたん?
GM:来てた。わくわくしながら映画観てた。で、そのロカルドに向かってワッグは得意げに言い放つ。
「あんたの船はなかなか見事な物じゃ。マキナ=クロス団がありがたく使わせて頂くことにするよ。娘の命と引き換えだ」
「いけません!」と、それまでおとなしく捕まっていた町長の娘ユージアが、ロカルドに向かって叫ぶ。けど船長は「なんたる悪漢!」と呻くだけで、手出しはしない。そんなやり取りを楽しそうに眺めていたワッグは更に言い放つ。
「まぁ、断られたとて、あの船は既に儂らが貰い受けたも同然じゃがなぁ、見よ!」 ワッグの声に応じて、例の映写機械人形が、映写機の光を大学の方へ向ける。帳が下りた黒い空に、白い飛行船が浮かび上がっている。
「では、儂らは失礼する。娘も連れてゆくので、妙な真似は慎むことだ」と、ワッグはユージアを戦車に乗せると、広場をゆっくりと横切り始める。大砲は群衆に向けられたままで、戦車は後退してゆく、という状況。ケントは夜空に浮かび上がった飛行船にすっかり見入っている。(プレイヤーはすっかり寝入っている) で、残りの三人はどうする? 攫われた娘をよく知っている人もおらんねんけど。
アレフ:よしっ、まずは、
サイクス:蒸気シンセを持ち上げて、その場で振り回す。激しくケント青年の頭を打ちつけつつ。両腕で勢いよく振り回す。
GM:すると広場周辺の暗がりから、不思議な光がサイクス目がけて集まってくる。蒸気シンセの周りにもふわふわ漂う。しかし、それらをよく見ると、なにやらサイクスに集まっているというよりも、エセ貴族の近くの映写機械人形に、群がっているといった感じ。
サイクス:むぅ、その光の群れへと近づいて行こう。
GM:他の人は?
アレフ:やはり民衆の盾となりつつ、血みどろで叫ぼう。「無力な人間に銃口を向けるのはよしなさい!」
GM:戦車は砲門を向けたまま、近くの屋台などを押し倒しながら、駅前広場から東の通りに出ようとしている。(と町の地図を見せて状況説明)
アレフ:……ふむふむ。すると奴らは、一応民衆からは遠ざかってるねんな。
GM:ああ。彼らも逃げださなあかんし。リリーは?
リリー:「ああっ、ノレパン二世の続きが観たかったのに……」
アレフ:「非常事態に何言ってるんですか(笑)!」
GM:浮かれたことを言ってるリリーのすぐ傍らを、夢遊病者の足取りでサイクスが横切っていく。
リリー:「あっ、サイクスさん? 何処へ行くんですか?」 ちょろちょろっと、一緒についていきます。
サイクス:「コノ、エイシャキガーッ。エイシャキガーッ、ボクヲヨンデイルンデスーッ。エイシャキガーッ」
リリー:「アレフさん。サイクスさんがまた発作を起こしたみたいなんですけど」(笑)。
アレフ:「全く、こんな時に」(笑)。二人の方へにじり寄りつつ、問題の映写機械をよく見てみよう。
GM:光の群れを辺りに漂わせた機械人形の背中の部分に、無理やり組み込んだような長方形の小箱があり、そこから緑色の光が微かに漏れているのがわかる。
アレフ:よし、ではその箱をバラしてみるわ。
GM:すると、その箱が開くや、中から緑色の光と共に、小さな妖精が飛び出す。それまで宙に漂っていた発光体達も、その妖精に導かれるように、広場上空へ舞い上がる。町の人達はみんなその様子に釘づけになり、ワッグ=ゴルゴルも思わずそちらを見上げてしまう。で、君らは?



 
 
 

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