■ scene 14 M'1950/03/04
〜好機到来〜
アレフ:つまり好機到来ってことやな。じゃあとりあえず、
サイクス:吶喊ァーンッ!!(編注:『とっか』 突撃の意) 戦車に向かって飛びかかる。
リリー:ユージアさんを助けに行きます。
GM:君も吶喊? サイクスと同じ行動になってしまうけど。
リリー:うん、仕方ない。
GM:「病み上がりじゃ、無理はするなっ!」 突然走り出した二人に、広場に居合わせたヤギ先生は驚いて叫ぶ。アレフは?
アレフ:箱開けたところやろ。この状況で何ができるかな。
GM:君も二人がガイキチのように走り出したのに気づく。我にかえったワッグが砲門を向ける。ユージアが「危ない! 逃げて!!」と叫ぶ。
アレフ:戦車との距離は?
GM:約20m。……お、ケントは起きましたか。(プレイヤー覚醒) 先程まで夜空に見とれていた君がふと我に返ると、骨董品屋の店長で、実は怪盗団『マキナクロス』のボスでもあったワッグ=ゴルゴルという爺さんが、ヴァルモン帝国から盗み出した新型戦車に乗って、町の東通りを爆走し始めたのを目撃。彼らは町長の娘、ユージアを人質に、ロカルド船長の目を盗んで確保した飛行船で、この町から高飛びする魂胆。ではまず、アレフの行動からどうぞ。決まった?
アレフ:映写機械を投げつける。
GM:で、目覚めた途端、えらい状況なケントは?
ケント:追いかける。
GM:じゃあサイクス、リリーは運動ロール×2、ケントは×1、アレフは力ロール×1、で、それぞれどうぞ。あ、豪腕坊主は、もし戦車砲の穴ん中狙うんやったら、×1/3ってことで。
アレフ:そりゃ、ちょっと無理やろ。普通に相手の気をそらすだけでええよ。
ケント:(ガシャン)……04、成功。
サイクス:(ガシャン)……普通に成功。
アレフ:(ガシャン)……91! 普通でもあかんがな。WOLで……
リリー:成功。
アレフ:ヤッ! (ガシャン)……あかんわ、失敗。あらぬ方向に投げつけてしまった(笑)。
GM:ではまず、「ユージア嬢!」と、戦車へ駆け出そうとするロカルド船長。しかし、彼の前で坊主が突然絶叫。奇声を上げてワッグ目がけて振りかぶった映写機械の中から、皆が捜していた妖精エンジン、<リリパトの匣>がスポッと後ろに飛び出し、走り出した船長の頭にブチ当たる。「痛っ!」と、突然の不意打ちに船長は頭を抑えて蹲る。
アレフ:「わっ、船長! すみません」(笑)。
GM:一方いい数字を出した寝起きのケントは、ワッグに気づかれないよう、巧みに戦車の側面に躍り出ることができた。どうする?
ケント:戦車のてっぺんまで乗り込む。
GM:了解。リリーは、普段の虚弱ぶりからは想像もつかないような華麗な二本足ドリフトで、戦車の側面に回り込み、猿のように飛びついていったケントを目撃。
リリー:とりあえず、私もしがみつきます。
GM:サイクスは?
サイクス:同じく。助走の勢いで、装甲板を駆け上がる。
GM:ユージアの下まで、一気に近づこうとしたケントは、ワッグの拳銃の標的にされる。覚悟してくれ。(ガシャン)……当たり。対弾防御する?
アレフ:最低でも反射の値が使えるぞ。
GM:よけた?
ケント:受けた。
GM:さよか。じゃあ16発。徹甲力は3。キャタピラ近くの装甲板にしがみついたリリーとサイクスの頭上で響き渡る銃声。次の瞬間、アッ、という短い悲鳴と共に、君らの頭上を血まみれのケントがスローモーションで吹き飛ばされてゆくのを目撃してしまう。
リリー:ほんま、一撃死やな(笑)。
GM:砲台から、ユージアの悲鳴も聞こえる。その後、戦車は更に猛烈な加速を始める。軍事国家ヴァルモン帝国から盗み出しただけあって、その新鋭戦車の速度はかなりのもんやね。君らは突然の加速に耐えられたかどうか、力ロール×1で判定してみて。
リリー:(ガシャン)……33、成功。
サイクス:失敗。WOL……
ケント:で、儂は、
アレフ:って君、吹き飛ばされて落ちたんちゃうん。
ケント:え? 落ちたん?
GM:落ちたくなかった?
ケント:落ちたくない。
GM:じゃあ君は運動ロール×1/3で、辛うじてボロ切れのように、砲首の先に引っ掛かっていたことにしよう。
ケント:(ガシャン)……全然あかんわ。落ちた。
GM:砲首の先で、一度力なくバウンドしたケントもそれに見とれてしまったサイクスも、まとめて戦車から振り落とされ、ドチャッと路上に転がる。
サイクス:いや、WOLは成功したで。
GM:しつこいな。じゃあ、それまで東通りをバックして走っていた戦車が旋回。突然、南通りを爆走し始める。前面に張り付いていたリリーとサイクスは、振り回された勢いで、キャタピラに巻き込まれそうになる。「オラオラ! ミンチにしちまうぞっ!」と、砲台のワッグは叫んでいる。どうする?
リリー:バイオレンスやね。
サイクス:その旋回の勢いを利用して、一気に砲台へ駆け登る。
GM:狂人凄いこと言うな。
リリー:飛び降りる。
(アレフ):もうダメ(笑)?
GM:じゃあ二人とも運動ロール×1/2。
リリー:(ガシャン)……94。WOL……11、成功。1D10で値を上げて、と……これ、70まで上がっても大丈夫やねんね?
GM:ああ。
サイクス:成功。
GM:ほんま君、しつこいな。背中に蒸気シンセを担いだまま、飛び落ちてゆく仲間にも目もくれず、猿山の頂上目指すエテ吉のように戦車を駆け登るサイクス。砲台でふんぞりかえっていたワッグとはち合わせる。「チッ、まだしつこく張り付いていた奴がいたか。おいニッチ、スピードを上げろ!」 そう叫んだワッグは、傍らに抱えていたユージアを下の操縦席へ押し込んでいる。どうする? ワッグは君にも拳銃を振りかざして叫んでいる。「さっさと降りねぇと、お前も血まみれだぞっ!」
サイクス:娘さんが押し込まれたその穴へ、ポコッと入る。
GM:ホールインワン狙うなら、運動ロール×1/3。ところでアレフは?
アレフ:駅前広場から脱兎の如く逃げ出す。青テントのある中洲公園へ。
GM:ルートは?
アレフ:(地図を見ながら)やっぱ祭り前やし大通りは混んでるやろな。川沿いを南へ全力疾走や。
GM:了解。路上に墜落したケントは起きた?
ケント:起きた。
GM:君が駅前広場を振り返ると、仲間のアレフが戦車の走っていった方向とは正反対の道へ全力疾走で逃げ出したのが見えた。ロカルド船長が「待てっ!」とか叫んでいるのが聞こえる。
リリー:(笑)。
ケント:そんなのはほっといて、戦車の後をつかず離れずの距離を保ちつつ追いかける。
GM:怪我人にそんな脚力あるんかい。血みどろの君を見て、ヤギ先生が駆け寄ってくる。
「ケント君。そのまま動くのは危ない。まずは弾を抜かないと」
ケント:「お願いします」
GM:路上で手術。ヤギ先生がピンセットでケントの頭蓋骨から拳銃弾を摘出している。途端にピュッと吹き出る鮮血。見物人達は、大道芸でもやっていると思い込み拍手喝采。で、頭に包帯巻かれてヨロヨロと立ち上がったケント。戦車追っかけるん?
アレフ:新鋭戦車で速いらしいぞ。
サイクス:通常の三倍や。(編注:ほんまかよ)
ケント:血を抜かれたショックで呆然としとく。
GM:立ち尽くすケントにロカルドが声をかける。「ケント君! 一緒にアレフ君を追いかけよう。彼にはこの事態を打開する素晴らしい作戦があるらしい。自信に満ちた足取りで戦車と反対方向へ駆け出していったよ。さっきもユージア嬢を助けようとした私を押し留める為、映写機械をぶつけた程だからな。さ、仲間は一人でも多いに越したことはない。しっかり止血を済ませて私についてくるんだ!」
ケント:「はいっ! 船長」
GM:「くれぐれも無理は禁物じゃよ」 ヤギ先生が心配そうに見送る。さて、サイクスは成功した?
サイクス:失敗。
GM:じゃあ、操縦席目がけて頭から突っ込んでいったものの、戦車が再び加速した為、入り口を塞ぐ鉄板にしこたま頭をぶつける。で、よろめいたところを、ワッグが振りかぶった銃座で追い撃ち。君は見事に吹き飛ばされる。さて、そのまま器用に受け身を取りつつ路上への着地を試みるなら、運動ロール×1。更に器用に体勢を整えつつ、戦車にしがみつくことにするなら運動ロール×1/2。こっちは失敗したら、キャタピラに巻き込まれる、ということで。
サイクス:しがみつく。(ガシャン)……一回目、成功。(ガシャン)……二回目失敗。WOL……16、成功。
GM:しつこいなぁ。戦車はエセ貴族を貼り付けたまま、町の東通りを南下、やがて西へ進路を取るべく路地を曲がる。どうやら南の噴水広場を抜けつつ、中洲公園付近で飛行船と落ち合うみたい。さて、川辺をひた走るアレフ。君を見かけた弟子達が、うれしそうに挨拶してくる。「先生、今夜は釣り日和なんですか?」
アレフ:「い、いや。それどころではないんだ」 苦痛状態で、脂汗吹き出しながら全力疾走。
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