▼replay_Gear Antique

■『ボク、トムキャット』/15

←return   →next












■ scene 15 M'1950/03/04
〜飛ぼうとする人達〜

GM:君の後からは、ロカルドとケントも走ってくる。さて、アレフがようやく中洲公園が見えるところまでやってくると、既に上空には飛行船が停滞していて、地上の戦車に縄梯子を降ろしている。人々は何事かと、遠巻きに見守っている。一方、ワッグ一味にも気づかれることなく最後まで張り付き通したサイクスは、すぐ上の操縦席辺りで、部下達がワッグに話しかけているのを聞く。「ワッグ様、急いで下せぇ。娘はあっしが引き上げやしょう」等々。しばらくすると、一味が飛行船へ乗り込んでいったのがわかる。
サイクス:と、いうことは、もう戦車に人はおらんのかな?
GM:まぁ、そういうことになるわな。なにすんねん?
サイクス:そりゃ、もう、乗り込む。
GM:じゃあ、サイクスは嬉々として頭からポコッと操縦席へ潜り込んだ。
サイクス:戦車の動かし方とか、わかる?
GM:さっぱりや。
サイクス:<軍事知識>があるんやけどな。
GM:じゃあ知覚ロール×1/2。最新型やから、仕組みはちょっと理解しずらいと思う。
サイクス:(ガシャン)……一回目、成功。(ガシャン)……二回目失敗。WOL……07、成功。
GM:突然閃いたサイクスは、自分の体の一部のように戦車を動かし始める。
サイクス:キャリ、キャリ、キャリ。仰角30°! キャリ、キャリ、キャリ。
GM:「ワッ、ワッグ様! 戦車が勝手に動いてます!」「知らんわい! それより儂らをとっとと引き上げぃ!」 アレフ達がようやく中洲公園にたどり着くと、上空の縄梯子からそんな叫びが聞こえる。
アレフ:あいつら、盗んだ戦車おいてくんか!?
GM:……そうなるな。(編注:シナリオミス。まぁ、設計図さえあればいい、ということで) さて、その頃リリーは?
リリー:戦車の後をゆっくり追っかけてます。
GM:そろそろ中洲公園に着く頃かな。人込みをかき分けて進むと、川辺からアレフ達が、戦車に駆け寄っているのが見える。
ケント:飛行船の高さはどれくらい?
GM:家の高さで二階分と少し。ワッグを回収する為、かなりの低空飛行状態。風に流されるように少しずつ南、川下へと移動してる。その飛行船目がけて戦車砲が、砲門を向けている。
アレフ:俺らはそん中に誰が乗ってんのかは知らんねんな?
GM:そやね。でもその戦車の中から、「ギョウカク30°!」とかいう奇妙に甲高い独り言が響いてくるから、誰が乗り込んでるかは、予想できなくもない。
アレフ:ケント青年とロカルド船長に、あの戦車を動かしているであろうガイキチの説得をしてもらおう。私は青テントに飛び込む。カルパート=エストニア=ゴルビーZ(ゼータ)・ハス・スペシャルの、緊急発進準備に取りかかろう。
GM:ゾウ頭がもげたままやけど。まぁ、飛べるかどうか試してみて。で、ケントはどうするん? ロカルドが驚いて言う。「あの戦車、船を撃ち抜くつもりだぞ。私の船は修理すれば直るが、あの中に捕らわれているユージア嬢はどうなるんだ!」
ケント:「とりあえず、ガイキチは放っておきましょう。それより船長! 僕を飛行船へ投げ込んで下さい!」
GM:無茶言うな。「ケント君。私にそんな怪力はない。あの砲門の中にでも入るのなら話は別だが」
ケント:「南斗人間砲弾こそ無茶です!」(編注:世紀末バイオレンス拳法アニメ『北斗の○』より)
サイクス:「大丈夫。まだ弾は入ってないYO」
GM:「ケント君。冒険者を目指さんとする男なら、命を懸けなくてはならない時が、いつかは来るものだ!」
サイクス:「大丈夫。装填はこれからSA。サァ、キャモーン!」
GM:「私は船を先回りして、川沿いの家の屋根から、あの縄梯子に飛び移ってみるつもりだ」
ケント:「僕も行きます!」
GM:「そんな傷だらけの体ではもう走れまい。君には君にしか出来ないことがあるはずだ。さ、あの戦車を動かしている仲間に手を貸してやりなさい」 それだけ言うと、ロカルドは川下へ走り去ってゆく。
ケント:「そんな船長! 見捨てないで!!」
GM:ようやく戦車の側までたどり着いたリリーは?
リリー:「ケント君。男にはやらなければならない時があるのよ」
アレフ:いきなり説教かい。
GM:交渉ロール×1。君の傍らでは、「おいてかなぃでぇ……」と、血みどろの青年が泣き崩れている。諭すのは大変そう。
リリー:(ガシャン)……08、大成功。
ケント:「そうか! 男にはやらなきゃならない時があるんだね!!」
リリー:「そうよ!」(笑)。
ケント:ムクッと立ち上がり、砲身の中に飛び込む。
GM:操縦席のサイクスが弾を装填しようと戦車砲後部の引き戸を開けると、ケントと目が合う。
サイクス:「距離、50! 弾種、南斗人間砲弾! 装填完了!」 ガシャン!!
GM:平然と蓋される。さて、アレフ。準備も終わり、そろそろ発進できそう。
アレフ:飛べる?
GM:エンジンなんやったっけ?
アレフ:人力。
GM:サイクスのトム=キャット同様、いきなり地上から飛ぶのは難しそうやね。最低でも走り込む滑走路はいるやろな。
アレフ:一応、両翼の羽根がクルクル回って緊急浮上もできそうやけど。
GM:じゃあそれで滑走路を短縮できるとして、操作ロール×1で川岸から浮上できます。
アレフ:(ガシャン)……失敗や。今こそ幸運の風を吹かさなあかんな。Wind of Luck!! (ガシャン)……失敗!
GM:人力飛行機械を両脇に抱え込み、「浮上!!」とか絶叫しながら公園から川面へ飛び出したアレフ。しかし、無茶な助走と跳躍による負荷に耐えきれず、ゴルビーZの両翼はあっけなく折れ、運転手は川へ墜落する。しかも瓦礫と化した飛行機械に巻き込まれる形で、坊主は夜の川を勢いよく下流へ流されていく。アレフは死に物狂いで脱出?
アレフ:「アァッ! 足が! 足が抜けないぃ!! 誰か! 誰か助けて!!」(笑)。
GM:その祭りのパフォーマンスを、多くの野次馬と一緒にリリーも見てる。えー、今動けんの、君だけみたい。
リリー:仕方ない。助けに行きます。「救護班、出動」(笑)。
GM:どうやって助けんの? アレフは沈みながらどんどん川下へ遠ざかっていってるよ。
リリー:そりゃもう、泳いで。ザバン、ヂャブヂャブ。
GM:運動ロール×1。夜の川に飛び込んで人命救助となると、ちょっと難しいやろ。
リリー:(ガシャン)……76、失敗。
GM:では川の中ほどで、ようやくアレフのもとへたどり着いた、と気を抜いた瞬間、リリーは足をつってしまう。
リリー:「ああっ!」
GM:アレフと残骸と一緒に沈んでいく。さて、人間を装填したサイクス。発射するんやったら、操作ロール×1で飛行船に命中や。ただ、やっぱり実際にそんなことやって人間の体がもつかどうかは甚だ怪しいところやけどな。
サイクス:そこはそれ。もってもらおう。(ガシャン)……25、成功。発射! 「てぇーっ!!」
ケント:「ヒョーッ!!!」
GM:そやな、戦車から飛行船までの距離を30mとして、ダメージ3D10進呈。(ガシャン)……飛行船とケントにそれぞれ14発。どうよ?
ケント:マイナス1です。

   (一同爆笑)

アレフ:クチャッ、と逝ったか。
サイクス:んん? 違ったかな?
ケント:飛び散ったん?
GM:いや、飛行船後部のハッチが開いていたらしく、ケントは見事にその中へ撃ち込まれたわ。で、その格納庫の奥の壁に奇妙な体勢で激突。壁に血を引きながら、床に崩れ落ちる。そこで絶命。
アレフ:息絶えたか。
リリー:なんの為に撃ったんや(笑)。

   (一同爆笑)



 
 
 

▼replay_Gear Antique

■『ボク、トムキャット』/15

←return   →next