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■『ボク、トムキャット』/16

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■ scene 16 M'1950/03/04
〜熱い抱擁〜

ケント:ちょっと待って! <着地>っていう技能持ってたわ。それでトウッと回転、体勢を整えて着地した、ということにはならんかい?
GM:さよか。じぁあ運動ロール×1、成功したらさっきのダメージは半分になる、ということにしよう。
ケント:うりゃっ! (ガシャン)……失敗や。
アレフ:WOLは?
ケント:(ガシャン)……99。
アレフ:逝ったな。
GM:さて、サイクス。一発目の射出は滞りなく完了したみたい。次はどうする?
サイクス:では二発目。
GM:って弾ないやん。
サイクス:自分が入る。

   (一同爆笑)

GM:蓋は開けたまま、片腕だけ出して発射操作するとなると、かなり難しいよ。操作ロール×1/2くらいで。
サイクス:うむ。(ガシャン)……あ、失敗。WOL……成功。
GM:じゃあ君も発射された。アレフとリリーが命からがら川岸に這い上がると、背後の公園から再び轟音が響く。片輪貴族が夜空を飛んでる。
リリー:「あ、あれは何!?」
GM:現在の距離は40mってことで、ダメージは4D10になるぞ。
サイクス:今、HP13しかないから、俺も死ぬやろな。
GM:(ガシャン)……15発。
アレフ:また逝った!?
GM:<着地>かなんかする?
サイクス:そんな技能ないって。
GM:じゃあ、背中に担いでた蒸気シンセを盾にして衝撃を和らげるとか。
サイクス:うーん、どうしよう?
GM:考える時間ないぞ。飛行船はもう目の前や。
ケント:ヒーローのように最期に起き上がって肉の壁になる!……できる?
GM:勝手にやって。
ケント:「う、受け止めなければ!!」
GM:サイクスの目の前には、開かれたハッチが飛び込んでくる。その奥の鉄の壁の前で蹲っていたケントが、突然目を見開いて血だまりの中からゆらりと起き上がる。両腕を広げて絶叫。君はどうすんの?
サイクス:そのままケント青年に抱きつく。
GM:ケントはちゃんと受け止めれたかどうか、力ロール×1してみて。
ケント:力か。今死んでるから1/3くらいとちゃう?
GM:そっか。死んでるから1/3くらいにしよか。
アレフ:死んでるから、って……(笑)。
ケント:(ガシャン)……
GM:あぁ、どんな難易度でも、WOL一回成功すればいけるで。
ケント:いや、こんな時だけ全部成功や。
GM:ケントの死に物狂いの行動で、サイクスは一命をとりとめる。ダメージはなし。
ケント:「後は頼みました」 ガクリ。
サイクス:「ケント君!」
ケント:揺すられる度に体中から鮮血が噴き出す。
サイクス:とりあえず止血や。
GM:蘇生は作業ロール×1で。成功しても失敗しても、全能力値は-1ずつ減らしてもらうよ。
サイクス:(ガシャン)……WOLで……成功。
GM:床に崩れ落ちたケントは血溜まりの中で辛うじて一命をとりとめた。HPは……4、回復しといて。
ケント:まだ気絶状態やけど、一応生き返ったか。
GM:さて、サイクスは地上の方から、呼び声を聞く。どうやら民家の屋根に上ってたロカルドからやね。「おーい! 君達。そこから縄を降ろしてくれないか! その辺りにあるはずだ!!」
サイクス:捜してみよう。
GM:壁際の床の暗がりに、巻かれて置かれていた縄束を見つける。ところが、その縄を君が引き伸ばしていると、縄束の影から小さな人影が飛び出す。「わっ!」と、相手の方も驚いてるみたい。例の少年やね。「サイクス兄ちゃん!」
サイクス:「君は確か、宿屋の……」
GM:「トラルだよ! お兄ちゃんも、この船に隠れて冒険の旅に出るつもりなの? 僕も冒険の旅に出たくてうずうずしてるんだっ!」
サイクス:「トラル少年。そりよりもこの縄の先を持っていてくれないか」
GM:「うん。わかった」
サイクス:で、もう片方を船の下の船長のもとに投げる。
狙い通り投げれたかどうか、操作ロール×1。
サイクス:(ガシャン)……失敗。
GM:縄は、民家の屋根の上で両手を広げて待っていたロカルドからは大きく逸れて、川岸の方にだらりと垂れ下がる。岸辺から成り行きを見守っていたアレフとリリーから、前方5m程の上流地点に、飛行船から縄が渡された。
アレフ:じゃあ船長の代わりに儂らが飛びつこか。「リリーさん、先に行きなさい」
リリー:「はい」 じゃあ、タッタッタッ、トリャッ!
アレフ:続いて儂もウリャッ!
GM:上空では突然の重みにトラルが引きずられる。「お兄ちゃん、助けて! 急に重くなったよ!!」
サイクス:「おお、壁に結わえておくのを忘れていた」 縄を掴んで引き止めよう。
GM:「あの奥で寝ている兄ちゃんにも手伝ってもらった方がいいよ!」
サイクス:「いや、彼はついさっきまで、生死の境を彷徨っていたから、寝かせておこう」
GM:一人で引き止めるんやったら、力ロール×1/2。
サイクス:(ガシャン)……、WOL……成功。
GM:船の縁で辛うじて縄を引き止めることができた。で、ぶら下がっている二人は?
アレフ:「早く上がるんだ!」
リリー:「はい。わかりました」
GM:二人とも力ロール×1。失敗したら、滑り落ちることになる。
リリー:(ガシャン)……34、成功。
アレフ:(ガシャン)……あ、失敗や。でも、だいぶ高まってきたWOLで、(ガシャン)……よし、成功。
GM:二人は夜風に煽られながらも、着実に飛行船へ上りつつある。さて、縄を手に格納庫で二人を待っていたサイクス。ガチャリという金属音と共に後頭部に冷たい銃身が押し当てられる。トラルが驚いて飛び退く。「お前ら! 一体何者だっ!」 現れた二人のうち、一人がサイクスに向かって冷たく言い放つ。「ここからは我々の任務だ。邪魔されるわけにはいかない。悪いがここから飛び降りてもらおう。下は川だ。今なら命は助かるだろう。それが嫌なら、その子供共々どうなるかは、わかっているな」
サイクス:「ふむ。どうしたものか……ちょっと待ってくれ」
GM:「さぁっ!」 後頭部を小突かれる。縄が不安定に揺れて、船の下でアレフとリリーの叫びが響き渡る。
リリー:「うきゃーっ!」(笑)。
サイクス:「でも君達、こんな所にいていいのかい? 戦車は地上に置き去りのままだよ」
GM:「うっ……」 それを聞いた帝国の密偵達は、一瞬躊躇する。このまま盗賊団の首領を捕らえ設計図を奪い返しに行くか、とりあえず新鋭戦車の回収を優先するか、迷いが生じたらしい。
サイクス:じゃあその瞬間に持っていた縄をくるりと回し、密偵の足に縛りつける。
GM:一瞬でそんなことできんのか!? 操作ロール×1/2。その緊迫した状況のさ中、ハッチの縁にリリーの手がかかる。
リリー:えらい時に来てしまった(笑)。
サイクス:一回目、成功。二回目、失敗。WOL、(ガシャン)……成功、したけど、ついに70突破したわ。
GM:幸運の使いすぎで『しっぺ返し』か。3D10振って。
サイクス:えーっと、10と8と5で、23。
GM:『口の中に蛾が飛び込んできた』。
リリー:蛾ぁ(笑)。
サイクス:「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!」
GM:突然サイクスが、咽の奥に何かが絡んだような奇妙な叫びを上げる。ロープがまた滑り落ちそうになるけど、リリーは?
リリー:とりあえず中へ這い上がろう。
GM:サイクスは?
サイクス:「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!」と、縄持って叫びながら密偵の周りをぐるぐる走り回る。
アレフ:なんかもう、ただのクルクルパーやなぁ(笑)。
GM:ようやく縄を上りきろうとしていたアレフの耳にも、そのクルクルパーの奇怪な叫びが夜風に混じって聞こえてくる。時々『シャリシャリッ』とかいう、何かを噛みつぶすような咀嚼音も混じってる。「うわっ、何をするんだ!」 アレフがハッチを覗くと、密偵をす巻きにしようとしているサイクスと、その傍らで呆れているリリー。三人から少し離れた場所で銃を取りだしたもう一人の密偵。彼らの反対側にはスズメ亭のトラルと、奥の壁の血溜まりの中で微動だにしないケントが見える。
アレフ:密偵の方は二人に任せて、ケントの<応急手当>でもしよかね。走り寄って介抱。作業ロールやった?
GM:ああ。成功したらHP1D6回復や。
アレフ:(ガシャン)……あ、失敗。WOL使う。(ガシャン)……25、成功。
GM:傍らの激しい戦闘のさ中、ぐったりとしたケントの体中を執拗に摩りながら、大声で降霊したり、人工呼吸したりしているうちに、ようやく唸りながらケントが目を開く。
アレフ:「おおっ! ケント君、気がついたか!」
ケント:「昨日死んだ猫に会ってきたよ」
GM:リリーは? 君の目の前では、密偵とサイクスが争ってる。まぁ、その争いは妙に一方的で怪しい気がしないでもないが。
リリー:密偵の足下にタックルします。
GM:力ロール×1。
リリー:(ガシャン)……76、失敗。
アレフ:WOL使ったら。
リリー:はい。WOL、(ガシャン)……00、大失敗(笑)。
GM:密偵の周りをクルクル回っていたサイクスの縄に、君も絡められた。もう一人の黒服は、その乱戦状態のリリー達か、格納庫の隅の暗がりで蹲ってるアレフ達の方か、どちらに銃を向けたものか迷ってる。で、「猫が……」とか言って、目覚めたケントはどうする?
ケント:とりあえず、奥の間へ。
アレフ:無視かい! まぁ、まだ病み上がりやし、俺もついて行こか。ということで、「あとはよろしく」(笑)。



 
 
 

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