▼replay_戦国霊異伝

■『波音に夢見し者』/01

←return   →next












 1994年7月21日午前1時。シューメイカーレビー第9彗星木星直撃観測という名目の下、奈良県の山奥谷瀬へと繰り出した我々、劇団『魑魅魍魎』の学生三匹+MAX上弦スミアキの友人クラッシャーI氏(仮名)の計四匹は、高さか長さか馬鹿さかはよくわからないが、とにかく『日本一』の谷瀬の吊り橋の度真ん中にてセッションを行うことと相成った。

 ところで、夏の深夜の山奥を侮るなかれ。異様に寒いのだ。筆者など三枚千円のTシャツ一枚といった出で立ちであったため、鳥肌は立つ鼻水は垂れる尿意は催すといった地獄の苦しみを味わうこととなる。おまけにマスター(涙笑)。おいそれと厠へ行くことすら許されなかったのであった。午前一時の筆者は本能的にそれらを予感していたようである。己の愚かさを呪うかのような叫びが、辺りの山々を轟かせた。

GM:セッションやるぞぉーーーっ!
一同:うぉおおおおおぉぉーーーっ!!!


『波音に夢見し者』
web mix ver_0.6

system with
『戦国霊異伝・改(劇ちみ仕様)』
[Copyright 1993 Kirameki,All Rights Reserved.]



■其ノ一
 外道坊主、大猿に喧嘩を売ること
 [越前山中、夕ノ刻]

GM:さて、時は戦国。季節は秋の終わり頃。君らは花の都京都に向けて旅を続けているわけやけど……現在地、どこがいい?
桜:越前。

そのたった一言で越前山奥を突き進むことになった一行。やがて日は暮れ…

行庵:(すごく偉そうに)「飯を炊け! 魚を焼け!」(笑)。
禊斎:「では親父殿、一緒に魚釣りに行こう」
行庵:(吐き捨てるように)「んなもん一人で行けぇ!!」
禊斎:「おーやーじーっ!」と引きずってでも連れてくわ。
GM:了解。では川を求めてさまよい歩く父子がとある茂みに差しかかると、その奥からか細い娘の声が聞こえる。
禊斎:むっ!? 耳をすます。
GM:(完全に裏がえった声で)「あぁれーっ!お殿様、お戯れをーーっ!!」(笑)。
GM:さらにしわがれた声が「よいよいよいではないかっ!」(笑)。ざわめく茂み。
行庵:ヒヒッ。「その女は儂のもんじゃあーーっ!!」(笑)。
禊斎:「落ち着けーっ!親父殿ーーっ!!……もうあかん(笑)。拙僧には止めれぬわ」
GM:「ああっ、お助け下さいっ」てその娘が茂みから飛び出し、行庵に抱きつくわ。
行庵:「ヒャッヒャッヒャッ」(笑)。
GM:でもその娘、なんか毛深いぞ(笑)。
行庵:「ん?……これは……」バッ。(と、娘の顔を覗き込む)
GM:猿や。
行庵:「ぬぅぅ。はかったなーーっ!!」ベアハッグ!バキバキッ!!
GM:「ギャアアーッ!」 その雌猿は白目を剥いて倒れてしまう。で、茂みの中から「よいよいよいではないかっ」と巨大な雄猿が出てくる。雌猿絞殺中の行庵を目撃。「なんだお前等は。俺の女を返せーっ!」 叫ぶや否や、ものすごい力で行庵の頭を鷲掴みにする。
行庵:「こんなモノくれてやるわぁーっ!」って投げ飛ばす。
GM:行庵が力一杯投げつけた雌猿は、大猿の頭を飛び越え奥の茂みのさらに向こうの方まで飛んでいったみたい。怒った大猿が「このクソ坊主っ!!」と殴りかかってくる。
行庵:「儂とやる気かぁーっ!? 上等じゃーーっ!!」

 鷲掴みにされつつも不敵に笑い応戦する外道坊主。しかし十秒後……

禊斎:ば、馬鹿なぁーっ!! なぜ俺まで!?
GM:あ、でもキックで袈裟掛けは無理やから即死は免れたよ。とりあえず生命力1にしといて。禊斎は暴れる大猿の回し蹴りをくらい、松の大木に激突。轟音と共に森が揺れる。
(桜):「この音は何でしょうねぇ?」
(小牧):「さぁ、何でしょう?」
GM:えらい平和やな(笑)。
(桜):じゃ、二人で様子見に行きますか。
(小牧):あ、せっかく忍法の<霧銷>(編注:むしょう。カメレオンのような特技)がありますから、二人して気配を消していきます。
GM:了解。では木々などにその姿を溶け込ませて二人がその轟音の方へ近づいて行くと、やがて前方に、大木に頭から陥没してピクリともしない怪僧禊斎の姿が見えてくる。
桜:「け、禊斎さん大丈夫ですか!?」
禊斎:「はよ助けて……」
GM:桜が禊斎を大木から引き抜くと、彼はもう体中ズタボロで、ときどき虚ろに笑ってる。さて、君らのすぐ近くには巨大な獣の足跡があり、茂みの奥へと続いてるけど。
小牧:しばらく進むと……
禊斎:ち、ちょっと待って。お、俺は? ひょっとしてほってかれたん(笑)?
小牧:うん(笑)。
GM:では小牧と桜が足跡を辿っていくと、木々の合間からかなり深い谷が見えてくる。で、その崖っぷちには九尾の大猿と、そいつに頭を掴まれ今にも谷底に突き落とされようとしている行庵の姿が見える。猛烈に暴れてるわ。
小牧:二人まとめて突き落としましょう(笑)。でもまずは手裏剣投げてみます。戦闘値10。
GM:猿の防御は12やから−2の欄で1D20(編注:20面ダイスを一度転がす)してみて。
小牧:(ガシャン)……14。はずれ。
GM:では小牧の投げてよこした手裏剣はあらぬ方向に飛んでいき、谷底へと消えていく。
小牧:あぁ、後で拾おうと思ってたのに。
GM:さて、その小牧の攻撃に気づいた様子もなく行庵を勢いよく谷底へと投げ捨てた大猿であったが、必死の抵抗の甲斐あって行庵は未だ辛うじて断崖絶壁にしがみついてる状態。
行庵:フッフッフッ! こんな時のために新たに習得した真言がある! 風雲、
(禊斎):菩薩真言、か!?
GM:あぁ、空へふき飛ぶ術か。どうぞ。
(禊斎):飛ぶ、って親父殿。どこ行くねん?
行庵:もちろん真上や。法術値15から術の難易度6を引いて9の欄で、(ガシャン)…………16、失敗(笑)。
一同:あぁーーあ、落ちたな(笑)。
GM:プチッ(笑)。
(禊斎):『プチッ』って一体(笑)。打撃は?
GM:そんなん知らん。
小牧:死んだやろなぁ、いくらなんでも(笑)。
GM:で、行庵の自爆を見届けた大猿が何かを感じたらしく、小牧らの方振り向くよ。
桜:あ、まだ気配消してる(笑)。
小牧:夢銷、夢銷(笑)。
GM:チッ。大猿は森の奥へと消えていくわ。
小牧:じゃ、夢銷のまま追っていきますか。
(禊斎):おいおい、俺どーなんの(笑)。
桜:禊斎さんの魂が呼んでます。戻りましょ。
小牧:ま、お姉さんがそう言うのなら、ってことで一緒に戻ります。
桜:で、禊斎さんの手当でもしておきます。
GM:了解。しばらくして禊斎は気がつく。
桜:禊斎さん! 奴は一体何者なんですか!?
禊斎:猿だ!!

   (一同爆笑)

GM:そのままやんけ(笑)。      

その後、<観世音菩薩真言>という術で体力を回復した禊斎。話題は目下、奈落の底へと落下していった行庵のこととなる。養父の一大事であるにもかかわらずとても嬉しそうに『もう助からんな』を連発する禊斎。『流されましたね』と、そっけなく仲間を切り捨てる小牧。
そんな中、桜だけが『外道さんを助けに行きます』とみんなが見守る中、忍術<傀儡>を使い、早速愛猪牡丹を無意味に呼び出した。

GM:「ブヒッ」と出てきたわ。で?
桜:「私と一緒に外道さんを助けましょう」
GM:「ブヒ?」
桜:「さ、行きましょう牡丹」
GM:「ブヒブヒ?」
桜:「はいやぁ!牡丹っ!!」しがみついて叫ぶ(笑)。
GM:でも「ブヒブヒーッ!(こんな所降りれるか、バカヤローッ!!)」やとさ(笑)。
桜:「『ヒヨドリゴエの逆落とし』が出来たくらいやからこれもいけるのっ。だから行けーーっ!!」 ボコッ!(おそらく殴りつけた音)

──『鵯越の逆落とし』が出来たのは源義経と彼の馬であり、断じてアンタ達ではない。

GM:「ブヒーッ!!」断末魔の叫びをあげて飛び出した牡丹。早速岩につまずき桜とともに勢いよく絶壁を転がり落ちて行く。
桜:「きゃあああああぁぁぁっ!!」(笑)。
小牧:私はハンカチを振って、「お姉さん、いってらっしゃーーい」(笑)。



 
 
 

▼replay_戦国霊異伝

■『波音に夢見し者』/01

←return   →next