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■『波音に夢見し者』/02

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■其ノ二
 牡丹、麓の村にて鍋にされかけること
 [漁村、翌日早朝]
 
翌日、谷川にそって山を下って行った禊斎と小牧は、海辺の村へとたどり着いた。

禊斎:村人捕まえて聞くぞ。「この辺りに目付きの悪い坊主は流れて来なかったかな? 年格好はこれこれで……」
GM:「ああ、そのお坊さんなら、すぐそこの家のヨネ婆さんが看病しとるよ。なんでも洗濯しているときに、どんぶらこーどんぶらこーと禿げ頭が流れてきたそうな」
禊斎:「ほぅ。案内してもらえませんかな?」
GM:「ええ、すぐ近くですよ。それにしてもあんた達はいい時に来なすった。今日は川の神様からの授かり物で、丸々とおいしそうな猪も流れてきたんでねぇ」
(桜):ぼたんーっ!!(笑)。
禊斎:鍋か(笑)!
小牧:そんな不吉な名前付けるから……(笑)。
GM:で、ヨネさん家に着いた君ら。表の引き戸を開けた途端、君らの視界の度真ん中、部屋の中央の囲炉裏で煮えたぎっている鍋の真上に、両足を縛られて逆さづりにされてる牡丹の哀れな姿が飛び込む。「ブヒブヒーーッ!」
桜:「私の牡丹ーっ!」囲炉裏に飛び込む!
禊斎:い、いつの間に現れたんや(笑)。
GM:「なんじゃなんじゃ!? あんたらは?」
桜:「この猪は私のペットなんです。お願いします、返して下さい。ああ、牡丹」 すりすり。
GM:ところがそれを居間の隅の布団の中で聞いていた行庵。ヨネさんが作ってくれたお粥を撒き散らし……
行庵:「こんな飯はいらぬーっ! 肉はどこだーーっ!! ん? そいつぁ、うまそうな猪だ」(笑)。
禊斎:「何を言ってるんだおやじぃーっ!!」
行庵:喰う。猪を鍋に放り込むぞ。
桜:「ああっ牡丹ーっ!」(テ注:さっきからこればっかし)
行庵:「さぁ婆さま。もっと薪をくべられよ」
禊斎:「待てぃ親父。僧が肉を食うことは固く禁じられているはず!!」
行庵:「んー? 何を青二才がーっ!! 儂は喰うぞーっ!!」(笑)。
小牧:では私も御相伴にあずかりますか。
GM:了解。では牡丹が鍋に放り込まれる三秒前。桜の心には走馬灯のように牡丹と過ごした楽しい思い出の日々が駆け巡って行くのであった。『はははーっ!待てーぼたーん!』(笑)。
禊斎:「いい奴だったのに……」(笑)。(編注:白人三平の忍者漫画『カムイ外伝』より)
GM:牡丹が絶叫する。「助けてブヒーッ!」
桜:「ううっ、ぼたーんっ!!」(泣)。
小牧:じゃ、突然お姉さんに加勢します。行庵に向かって<爆炎龍>(笑)。
桜:「ああっ小牧っ! ありがとー!!」

──人の家で火を放ち感謝される娘、小牧。

小牧:えー忍術値10から難易度12を引いて−2の欄で、(ガシャン)……うわっ、18。
一同:暴発や(笑)。
GM:牡丹炎上(笑)。とてもおいしそうや。
行庵:「焼く手間が省けていいぞぉ」(笑)。
GM:牡丹絶命まで後一秒。足を縛りつけていた縄が断たれ、鍋めがけて落下を開始した。
桜:……仕方ない。外道さんに向かって<変移抜刀霞斬り>(笑)。
GM:(牡丹はいいのか!?)りょ、了解。行庵の目には猪のみが写ってるからチャンスや。
桜:忍術値8から17引いて−9の欄で、(ガシャン)……3!やった!!
GM:3か……いい所に刺さったな。行庵のどこらへんがいい? 急所?心臓?脊髄?脳天?
桜:じゃあ脳天(笑)。ダメージは2D10やから、(ガシャン)、17発! で、でかい(笑)。
禊斎:殺ったか!?
行庵:……気絶(笑)。
GM:恍惚と猪を眺めたまま倒れ伏す行庵。「あんたら、なに仲間割れしとるんじゃ!」 絶叫するヨネ。そのさなか、飛沫をあげて鍋の中に落ちた牡丹。
桜:「ああっ牡丹ーっ!!」(テ注:……)
小牧:助け出します。
GM:全身火傷の上ちょっと燻ってるけど、なんとか一命は取り留めたようや。「ブヒッ!」
桜:じゃ、火傷の手当をして……
GM:いや、牡丹は脱兎の如く逃げ去った。
桜:よかった……でもこれどーしよ(笑)?
禊斎:この親父なぁ……どうする(笑)? 猪喰おうと思ったらいきなり脳天パックリやろ。
小牧:都合よく忘れてくれるといいんですが。
桜:あ、でも<変移抜刀>……やから見えてなかったんとちゃう(笑)?
GM:いや、変移抜刀ってのは、走り寄りながら姿をいっぱい見せて相手の隙をついて斬りかかることやで。(編注:元ネタの『カムイ外伝』での解説によると、相手に斬り込みへの左右の揺さぶりをかけつつ、すれ違いざま、背面に構えた忍刀で抜刀する、という奥義です) 行庵の目には忍刀片手に近づいてくる桜桜桜桜桜(以下略)なんやけど(笑)。
桜:じゃ、外道さんの背後から突き刺した、ってことにしておきましょう(笑)。

──変移抜刀する意味って一体……

[小牧]:(現実世界に戻って)しかしここ、冷えるねぇ。
[行庵]:そら吊り橋の度真ん中やからなぁ。
[GM]:でもイズミ君まだ結構着てるやん。俺とかMAXなんかシャツ一枚やで。
[小牧]:……下からすんごい冷たい風が吹き上げてくるんやけど(笑)。

GM:さて、ヨネさんが腰を抜かしながらも言う。「まあ、この坊さんは寝かせておいて、あんた達はご飯でも食べなされ」
禊斎:では喰う。
桜:いただきまーす。なに料理?
GM:ま、精進料理みたいなものや。不思議なことに、漁村のくせして魚の料理がないよ。
禊斎:「なぜじゃ? 何故魚がないんじゃー?」
GM:「すまないねぇ。実は最近、ぱったりと魚が釣れんようになってねぇ。全ては海神様の祟りなんじゃよ」
小牧:「じゃあ岩に鎖で女の子を縛っておけば……」(笑)。
GM:「いやいや。これにはちゃんと訳があってのう。実は最近、村の外れの祠に妙な化け猿が住み着いたのじゃよ」
小牧:「その猿の尻尾は九本なのでは?」
GM:「おおっ! そうなんじゃよ。とんでもない奴でのぅ。海神様の供え物をムシャムシャと食べよるんじゃ!」
小牧:「御馳走様でした。さ、みなさん帰りましょうか(笑)」
禊斎:「うむ」(笑)。
GM:(ぼそっと)「それに祠近くに住んでおった巫女様も行方知れずになってのぅ」
禊斎:「巫女様……とは?」(笑)。
GM:「詩奈様といってな。それはそれは優しくて綺麗な娘じゃったよ」 それを聞くや否や、ムクリと起き上がる行庵(笑)。
桜:ゲッ(笑)!!
行庵:「なるほど(笑)。それでいくら出すと言うのだ?」(笑)。

   (一同爆笑)
──話の分かる坊主である。

GM:「おおっ、この坊様は何ということを」
行庵:「まぁよかろう。あの猿には恨みもあるしのぅ。叩き殺してくれるわーっ!」(笑)。
桜:(よし!さっきの事もう忘れてるみたい)「それでその祠はどの辺に?」
GM:「ああ、この村から北へ少しの所じゃ」
小牧:みなさん。本当に行くんですか? やめましょうよ。昔から『君子危うきに近寄らず』って言いますし(笑)。
行庵:儂は一人でも行くぞ。
禊斎:俺にもあの猿に恨みがある!!(笑)。
小牧:とかなんとか言って。みんな巫女さんが目当てなんでしょ。巫女さんが(笑)。

──まさにその通り。煩悩密法僧達の悟りは遠い。

GM:で、桜はどーすんの?
桜:ま、外道さんも助けて頂いたことですし、恩返しします。
GM:「では外道さ……いやお坊さんの体調もなんだし、今夜はここで休んでいきなされ」
行庵:(ニヤついた声で)「うむ。厄介になるとしよう」



 
 
 

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